2018年12月22日

逃げの一手の最高裁 責任感の欠片もない


先週、最高裁第三小法廷から12月11日付けの調書(決定)が届いた。既に公表中の井原様の上告理由書等(H30.8.11アップ 障害年金支分権消滅時効問題に係る上告理由書等の公開について 最終版控え、H30.11.1アップ上告受理申立て理由補充書)に対する決定である。

(別紙)
第1 主文
1 本件上告を棄却する。
2 本件を上告審として受理しない。
第2 理由
1 上告について
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法第312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
 本件の申立て理由によれば、本件は、民訴法318条2項により受理すべきものとは認められない。

要点は、以上のお決まりの文言であるが、上告人及び申立人は、公開資料をお読みいただけば分かるように、このような予想された拒否理由が成り立たないように各理由書を作成している。

上告については、民訴法第312条第2項第6号(判決理由の不備:判決理由を付せず、又は食違いがあること)に関して誰が見ても明らかなように証明している。

上告受理申立てについては、民訴法第318条の定める「法令の解釈に関する重要事項を含むものと認められる事件」であることを、十分すぎるほど説明している。

これでは、触れたくない事件について、高裁と最高裁が庇い合っているだけで、最早この問題は司法では解決できない要素を含んでいることになる。

まして、平成29年には、行政庁までが類似事件の異議申立てを違法(脚注1)に却下しているのだから、司法も行政も無責任極まりない。

高裁が、無茶苦茶な判決を出し、これに対して異議を唱えても、最高裁は受け付けないのであるから、この問題については、司法に正義を全うさせることは不可能といえる。残された道は、政治やマスコミに期待する以外現実的な道はないに等しい。ただ、主管庁については、上記の明らかな矛盾を追及することが可能である。

これらの違法に対して、本年10月5日には、5人の最高裁判事に対して訴追請求状が出されているが、過去の請求容認事例は、ごく稀で、明らかな反社会性を問題としている事件だけであり、裁判自体の判断誤り等を理由とするものは皆無である。訴追は困難と思われる。

また、この訴追は、何人もできるのであるが、この事件について、上告受理申立てをした者又はその代理人がしなければ、迫力に欠ける。従って、現実の問題としては、この訴追に期待することは難しい。

身体(左下腿切断)の障害にかかる平成29年10月17日最高裁判決の基となった上告受理申立てがどうして受理されたかであるが、確たる理由は何もない。類似事件について高裁の判断が割れているから、最高裁で統一的な判断を示すことを希望する旨が書かれているだけである。

これでは、最高裁は、「幾つかの上告受理申立て理由書の内、保険事故そのものの性質について、判決理由の書き易い老齢年金に類似した身体(左下腿切断)の障害を選んだだけである。」と言われても文句は言えないはずである。

障害年金と他の種類の年金の違いの有無についても、高裁により判断が分かれており、消滅時効の起算点、及び支分権の支払期月(期限)自体についても高裁により判断が分かれている(本件についても我が国最高位にある学者の見解を引用した主張に対して、国からの反論もなく、裁判所は理由を付けて否定もしていない)のであるから、これらを指摘した本件上告事件等が、棄却等されることは、この2つの事件を比較するだけでもあってはならないことである。
それこそ、訴追請求状を提出する必要があるかもしれない。

昨年の異議申立て大量却下以降、既に2件の高額案件の異議申立書を提出し、現在も3件目の提出を準備中であるが、この内の1件は、当初事後重症であったものであり、他の1件は、20歳前障害が明らかであった事案であるが、長年裁定請求の受付さえされなかった事案である。

今回の最高裁の判断によると、これらの権利行使可能性ゼロであった事案(脚注2)についても裁定前に既に時効消滅していることになってしまうが、この考え方・判決は、明らかに最高裁判例に反する。


(脚t注1)
この付記は事実の通知であって行政庁の処分ではない VS 別件事件の裁判では、「厚生労働大臣は、国民年金年金決定通知書(甲第2号証)に、「平成22年1月以前の年金は、時効消滅によりお支払いはありません。」と記載することで、消滅時効の援用の意思表示を行った。」(名古屋地裁 平成28年(行ウ)第74号 未支給年金支給請求事件 平成28年8月5日付け第1準備書面8頁下から1行目)と正反対の主張)

(脚注2)
民法166条の「権利を行使することができる時」(時効消滅)には、単に、その権利につき法律上の障害がないというだけではなく、さらに権利の性質上、その権利行使が現実に期待できるものであることをも必要と解するのが相当(最高裁昭和40年(行ツ)第100号同45年7月15日大法廷判決・民集24巻7号771頁、最高裁平成4年(オ)第701号同8年3月5日第3小法廷判決・民集50巻3号383頁)である。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 14:31| Comment(4) | 1 障害年金

2018年12月15日

セクハラ・パワハラあっせん事件の和解成立


今週12月10日(月)、本年5月15日(火)に社労士会労働紛争解決センター愛知にあっせんを申請していたセクハラ・パワハラ事件の和解が最後のチャンスである第3回期日で成立した。他の機関に依頼していたら、スタートまでに待たされ、1回の期日で終わってしまうので、結果、本件のように相手方とのやり取りの中で証拠固めをするより仕方ない事件では、地元の機関を選択したのは正解であった。

相手方代理人弁護士は、セクハラ・パワハラ(相当因果関係、有責性のある)の事実自体の存在を否定し、従って、使用者には安全配慮義務に基づく責任はないというものであったが、搦手からの攻撃の効果があったのか、和解は何とか成立した。

相手方は、解決金については、30万円は当初から払う意思があったようであるが、申立人がこれで納得できる事件ではなかった。まだうつ病は完治しておらず、不本意な退職を迫られた身としては、これで清算条項まで入れられた和解はできず、同様の被害者も多くいたので、依頼者は弁護士を含めあちこちに相談していたのである。

当方に積極的な保有証拠がなかった事件であるので、結果、80万円で和解できたことにはほっとしている。当初の請求額は360万円であったが、それは証拠の揃った類似事件からの概算であったのでこれとは比較できない。依頼者も、一人では、とても続けてこれなかった事件であると振り返り、和解には喜んでいただけた。

メールやライン情報を申立人は一刻も早く忘れたく削除していた等の関係で直接的な証拠を保持せず、専門業者にラインの情報の復活依頼もしたのだが、事件となった事実以前のごく一部のデータしか復活できず、これについては効果はなかった。

通院回数も相当数あったのだが、主治医が労災申請等に消極的な方であったので、取り寄せたカルテにも、労災がらみの表現は意識的に書かれておらず、主治医は、仮に申請したとしても、「苦労ばかり多くて、せいぜい50万円も取れればよいところ」との姿勢であった。

相手方には、セクハラ・パワハラのあったこと自体は認めさせようと、これ以外に原因となる要因はないことを色々な側面から主張したが、相手方は、最後まで、指導・教育の範囲内、業務上の必要の範囲を越えていない等争う姿勢であった。

それではどうして和解ができたのか? となるが、主な理由は、残業代の誤った支給方法にあったものと思われる。

加害者(被疑者)T.Mは、「帰るな」、「明日までにやれ」と命令しており、相手方も、その言葉自体を否定はしていなかった。岡山から豊田への電話の回数については、1日に50回程度との当方の主張に対して、1日に10回程度はあった旨を弁解している。そして、その内の2〜3回は、昼食時間帯に及び、食事やトイレの時間が取れないほどであったのである。この弁解は取りも直さず書面による自白である。

先の残業命令についても、労使協定を結んでいる形跡はなく、残業手当の支払いが、日ごとに30分未満の端数が切り捨てられており、労災申請については、平均賃金の回答はあったものの、事業主が記載押印(企業コードを含む)して返送すべき、申請書自体を返してこない事実もあった。

残業代の請求については、申立人は5万円ほどで、ほとんどの期間分が時効対象であったのだが、相手方はそれでも時効援用を主張してきた。しかし、仮に労災の申請をすれば、相手方は、少なくとも約250名の違法な残業分の清算をしなければならなくなり、大きなダメージを食らう。

加えて、当方のライン情報がセクハラ・パワハラの事実前のものであったことに乗じ、相手方は銚子に乗って、「削除して存在しない」と主張していたライン情報を書証として提出してきたのである。

和解不成立の場合は、労災申請は勿論のこと、労働審判、裁判まで行う意思のある旨を示したところ、あっせん委員からは、証拠の不存在を懸念している旨の発言があった。

住所の分からない同様の被害者、及びセクハラ・パワハラの事実以後のラインの情報につき、証拠提出の嘱託をする旨をはっきりと発言し、これが相手方にも伝わったようで和解成立の鍵となった。

正攻法ではなかったのが残念だが、結果、依頼者にも満足していただけた。


本日は、勤務等部会と政治連盟との合同研修会に参加し、帰宅が遅くなりブログのアップも遅くなってしまった。定期訪問者に対してはお詫び申し上げる。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 23:06| Comment(0) | 3 人事・労務

2018年12月08日

100回通う積りだった年金事務所 !!


先月27日(火)に石川県からご夫婦で来訪されたK.F様は、障害の原因が生後約10カ月の頃の火傷であるにも拘らず、初診日不詳との理由で裁定請求を長い間受付けてもらえなかった方である。

初診日以後、入院・通院の事実や、障害者手帳保有を説明しても、役場へ行けば役場の職員と社会保険事務所(年金事務所)とのやり取りに終始し、直接社会保険事務所に出向いても裁定請求書の様式すらもらえなかったようである。

ところが、平成27年6月15日(月)に金沢北年金事務所で担当されたKさんという女性は、優しい方で、「私の身内にも障害者がいます。Fさん大丈夫です。」と励ましてくれたそうです。これ以上話すと私の立場が悪くなるからと男性の担当者と替わられたそうです。

翌年4月に来訪した時は、不思議なことに初めて受付けされたのです。当時は何も知らなかったが、平成27年10月1日から初診日証明の手続きが改正され緩和措置が実施されていたのである。

私は、Kさんが対応した時には、既に初診日の取扱いの変更が決っており、その旨の暗示があって翌年の裁定請求に至ったと思ったのだがそうではないようである。K.F様は、強い意志の下、「100回でも年金事務所に通う積りであった」とおっしゃったので、これが認定日(遡及)請求が認められることに繋がったのである。

本人いわく、このような事情で、「権利の上に眠っていたわけではないのに時効消滅させるのはおかしい」との信念の下、認定日請求が認められた後も、遡及5年を越える分の年金(計算してみたところ2500万円超)の支給を求め、審査請求、再審査請求及び本人訴訟(取消訴訟)をしてみえるのである。

提訴前には、何人かの弁護士の先生に相談したり、一部訴状を訂正してもらったりしたようであるが、弁護士の先生が年金には詳しくなく、着手金が高額であるので、ご自身での提訴を決意されたのである。

この事件は、そもそも取消訴訟では勝てないし、見せていただいた訴状の内容では原告の真意が伝わっていない。

来訪日即決で、厚生労働大臣に対する異議申立て、並びに次の段階である本人訴訟について、最高裁まで争う覚悟での本人訴訟支援の依頼を受けた。

訴訟については、前回の岡崎のY.O様同様、最後の手段まで争う強い決意である。

幾人かの弁護士の先生と既に相談済みであるにも拘らず、敢えて遠方の私を信じて選んでくださったことに関しては誠に有り難いことで、私の元気の源になっている。


この方は、私が平成24年4月20日(金)に名古屋高裁で逆転勝訴したことまでは既に把握してみえた。最初の電話では、その後の結果を確認する要件であったように感じられた。

経緯等をお話しした後、来訪の意向をお聞きしたので、私のブログは大半が年金時効問題であるので、関係分の記事をお読みいただいた後おいでいただけば効率的である旨お伝えしたところ、関係分は全部読んだとの回答であったので、これも凄いことであると感心した。

リンクで添付した資料まで読まれたとのことだから、この問題に対する熱意が窺われる。訴状を読ませていただいても、決して私利私欲で貫徹を目指しているのではないことが明確に現れている。国の運用は、道理が通らないのである。


私の場合、このブログがお客様との絆を強める媒介となっており、週一の大きなノルマともなっている。

この問題の今後の展開は未知の世界である。関係する最高裁判決を担当した5人の裁判官に対して、訴追請求状まで出されている現実を踏まえ、私も精一杯の努力を継続していくので、皆様には、今後ともご支援をお願いしたい。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 16:56| Comment(0) | 1 障害年金