2022年04月02日

行政や最高裁の意向に従わざるを得ない社会保険審査会

令和4年3月31日(木)付けで、待ちに待った社会保険審査会からの裁決書が届いた。しかし、結果も理由もとても納得できるものではなかった。

懸案の障害年金の支分権消滅時効の問題である。近畿厚生局社会保険審査官が却下した事件を審査会が受理してくれたので公正な判断を期待したのである。公開審理は、昨年の12月15日(水)であり、それから3カ月半も経っているので、判断に躊躇しているのかと期待したのだが、結果、結論も理由も到底納得できるものではなかった。

この時間は、理由をいかに表現するかに費やされただけのように思われる。担当審査長は、司法習修機関の 教官をされてきた方であるので、せめて理由だけでも明確にしたしていただけるのではないかと期待したが やはり無理であった。

理由は二つ、一つは、審査会の先例が既にあること、二つ目は、誤った最高裁判決である44号判決の引用である。

その両方が間違ったものであり、相反する先例や判決も示しているが、これを無視された。立場上、審査会に期待する方が無理であったのかもしれないが、法令と良心にのみ従った判断が出される可能性も捨てがたかったのである。

この結果、益々、日本年金学会に提出する論文の重要性が増したことになる。早く退院して、完璧な論文を できるだけ早く提出する覚悟である。

入院2回目のアップです
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2022年02月12日

待ちに待った社会保険審査会からの裁決書


昨日、2月11日(金)、厚生労働省保険局から配達証明郵便物が届いた。

通常裁決書は、月末か月初めに届くので、これを待ちに待った裁決書と期待するにはちょっと時期がずれていると感じたが、やはり、裁決書の到達ではなく、類似事件の公開審理の案内書であった。

類似事件というのは、言わずと知れた「障害年金の支分権が、裁定前に時効消滅しているか否か」を問う事件である。

今回のこの事件は、第二部会の係属で、前回は第一部会の係属であったので審査長以下の委員も異なることとなるが、今回は出席を控え、「公開審理の意見陳述に代えた文書」を提出する予定である。

既に、 前回の出席でこの事件に対する対応の概略は理解できており、主張すべきところはほとんど主張してあり、かつ、提出すべき書類もほとんど提出してあるので、文書の提出についても、強調すべき部分と代理人と同じ考え方の先例を提出(事件番号等の引用のみとするかも)のみとなる。

この文書で、何を強調するかは、別途公開するかもしれない。なぜなら、今までの社会保険審査会の判断が、余りにも国寄りで、公正公平を旨としていなかったからである。

今回、この資料を受け取って新しく分かったことが2つある。一つは、令和3年4月15日(木)の口頭意見陳述において、「回答できる立場になく差し控えたい」と2度も述べた二人の担当者が厚生労働省事業管理課 工藤年金審査専門官と同長谷川年金審査専門官であったこと と 社会保険審査会の本拠地の場所が来月3月14日(月)から、厚生労働省の庁舎から少し離れた所に変わることである。

この案内の事件では、社会保険審査官が保険者意見に従い年金法の適用時期を誤って棄却しているが、これは改正法の適用時期を「受付」時点と誤った基本的な誤りである。

口頭意見陳述において、回答する立場にない人が保険者代表として出てくる意味は全く分からず、これでは長い期間待たされただけで、何のための口頭意見陳述であるか全く理解できない。

保険者及び社会保険審査官が法の適用時期を間違えているのだから、全く無法地帯と言っていい。これらの方々が、障害者にとって最も重要な権利である障害年金について実務を携わっているのだから全く信用ならない。

社会保険審査会の本拠地が、厚生労働省本省と少しぐらい離れたところで、その独立性が強化されるとは思えないが、それでも、心機一転頑張っていただきたいものである。

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2022年02月05日

国会図書館の2回目の利用


平成20年11月28日裁決に、老齢年金の場合においても、裁定前に支分権は発生していない(行使はできない)旨の裁決があり、これを論文作成や裁判に活用したく、東京のお客様に国会図書館に行っていただいた。

その前には、念のため、この裁決が、裁決例による社会保険法 加茂紀久男 の第一版又は第二版に載っていないかを図書館からこの2冊を借りてきて確認したのであるが、掲載はなかった。

裁決集に載っているかどうかも分からなかったが、二人の意見は、たぶん載っているだろうというもので、幸い当たっていた。

この内容については、2009年4月号の「月刊社会保険労務士」に関連記事があり、承知していたのであるが、書証として提出するには、一般的には、裁決例の方が適当と思われる。

これにより、何を証明したかったかといえば、原文を借りれば、
@「裁定を経る前の受給権なるものは、実体的な権利であるというものの、実質においては裁定請求権に近い、現実的な実効性の希薄なものであること」、

A「実効性の希薄な年金受給権について、裁定を経ない状態のままで、法令上の本文が規定する各支給期月の到来により個々の支分権まで発生するとするのは、事柄の実態から乖離した観念操作の嫌いがあること」、及び

B「支給の繰下げの可能な老齢基礎年金について考察した場合、現実に裁定請求があるまでは、支分権が発生するかどうかも、その内容も確定しないこととなるが、裁定前に受給権が発生しているとする例外を認めることは、甚だしく一貫性を欠いた法制度を認める結果になるものであり、それよりも、常に裁定があって初めて支分権が発生すると解する方が勝っていること」
である。

A においては、国の運用は、観念操作の嫌いがあるとまでいわれているのだが、これは、立場上、相当に遠慮した表現であると思われる。

この掲載情報を調べるため、厚生労働省保険局総務課社会保険調整室に電話した。この事件の事件番号は、平成20年(国)第330号である。担当者にこの事件が裁決事例集に載っているかどうかを尋ねても回答できないのである。

載っているのは、認容裁決を中心にごく一部である旨をいうのみで、聞きたいことは情報提供してもらえない。それくらいのことは、言われなくとも分かっているが、更に質問すると、国会図書館を案内するのみである。

以前も同じようなことがあり、国会図書館を利用するのは、今回で2回目になるが、今回の努力は、具体的な大きな成果に繋がるかもしれない。

裁定前に支分権が発生していなければ、消滅時効は当然に進行することはない。

国は、このような小学校低学年の児童でさえ分かるような事柄に対して、何時までも抵抗を続けるのであろうか。

高裁や最高裁までが、屁理屈を恥かしいとも思わず続けているのであるから、瀬木比呂志教授(絶望の裁判所、及びニッポンの裁判等の著者)に、行政訴訟に対して真面な判断のできる裁判官はごく少ない旨の批判を受けることとなるのである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:38| Comment(0) | 13 社会・仕組み