2013年05月04日

電話相談について

 私は、メニュー外ではあるが突然の電話相談についても広い気持ちで快くお受けしている。勿論無料相談になる。差し迫った困難があるときにかかって来るから、社会における本当の需要の実態を知るには新米社労には良い勉強になるからである。これらの相談は圧倒的に労働者側からの相談が多い。

 それでも、数日前に、F.Dからスマホに転送された電話には、少し変な気持になった。岐阜県の妊娠初期のパートさんである。私の事務所が社労士事務所であることを確認すると、ご自分が誰かも名乗らず、行き成り質問が出された。「妊娠による体調不良で、先月勤め始めた会社を即刻辞めたい」という。会社にその旨伝えると、「15日までは辞められない」と言われたという。「本当に辞められないのですか」と言うのが、彼女の聴きたいところである。労働契約書も、労働条件通知書もなく、解雇予告が要らない試用期間中の者であるのか等も分からない。自分がサインして押印したものを会社に提出しただけだと言う。戸外にいたので、事情を話し、電話番号と氏名をお聴きして、後から電話する旨伝え電話を切った。

 帰宅後電話すると本人が出た。期限の定めのある労働契約であることは察しが付くが、確認できるものはない。期限の定めのある労働契約は、やむを得ない事情がある場合を除き、原則として、どちらからも途中で解除することはできない旨一応は原則論を話す。しかし、労働者側からの申し出の場合、止むを得ない事情のある者にまで、法律により労働を強制することはできないので、事情のある者は期間の定めがあっても、何時でも解約の申し出ができることになっている。使用者側は、特別法によって、天災事変等、及び労働者側責任で監督署認定時以外は、30日以上前に解雇予告する等の義務があるが、労働者側は、その効力は民法上半分以下の期間である2週間経過後に発生する旨説明する。

 それでは、「2週間経たないと辞められないのですか」と質問が続くことになる。契約上はそれが義務だが、貴女は妊娠初期の体調不良者で、大事な時期に居るので、会社に良く事情を話して体調の悪いときは休ませていただく旨伝えるようアドバイスする。質問者は、それでも不安だから、「休むとどうなりますか」と聴いてくる。貴女の都合による契約違反(債務不履行)だから、会社が損害賠償を請求できるのが法律上の建前ですが、お聴きする限りの状況から判断すると、会社はそこまでやってこないと考えられるので、「できるだけ円満に話が付くように説明してください」と説得する形になった。

 なお、「会社が納得しなかったら私はどうしたらよいですか」と再質問してくる。ご自身や生れて来るお子さんの体が一番大事だから、私だったら、当方の事情を一方的に通告し、体調不良時に限定し、休む方を選択する旨伝える。

 それでもなぜ辞められないのかが分からないようである。逆に貴女が経営者だった場合、契約内容のことを忘れて、「はいはい、明日から辞めてください」と言えますか、と質問しても答えは返って来ない。権利と義務が同じものの裏表であることが分かっていないようだ。

 ある意味無責任な回答であったが、電話相談に対する応急措置としては、満点の応対はできない。自分がどちらかを選択しなければならない場合、「私だったら」と例え話を出すのが一番分かり易いと思ったが、どんな気持ちで受け止めてくれたかは分からない。それであるのなら、最初から冷たくお断りする方が相談者のためになるのか、迷うところである。わざわざ岐阜からF.Dに掛けてくることを考えると金銭的な余裕があるとは考えられない。

 私の事務所のF.Dは、東海四県下からに絞ってある。「転送を受けただけでも、転送を使わせてもらって申し訳ありません」と丁寧におっしゃる方もみえるので、人間と言うものは、実に千差万別である。

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2013年03月02日

情報の伝達

 先月18日(月)と20日(水)に福岡県の弁護士のI先生から、平成24年4月20日(金)の名古屋高裁の判決について照会があった。私が成年後見人法廷代理人として国と争った事件で、その内容は、年金の消滅時効の完成の有無、詰まり支分権の消滅時効の起算日等についてですが、遅延損害金の起算日が1カ月分認められなかったことを除けば、ほぼ完全勝訴した事件である。

 今までは、なぜか北海道等の北の地域からの照会が多かったのだが、忘れたころになって、遂に九州からも照会があり、文字どおり、北は北海道から南は九州までこの問題に興味を示された方が現れた。今週になり、宮崎県の障害年金の受給権者Mさんから、福岡のI先生から電話があったと思いますが、とのことで直接相談についての照会をいただいた。この方も、色々と苦労され、障害認定は受けたが、支分権の支払は5年分の遡及しか認められず、強い不満を抱いてみえる。

 この方は、まだお客様になられる方かどうかも分からないので、当初から無遠慮に、どこでこの情報をお知りになったかを聴くことはできないが、私のホームページからではないようであるので、是非、解明したい内容である。

 名古屋高裁勝訴の新聞記事は、私の知る範囲では、中日新聞と日本経済新聞の地方版だけである(取材は共同通信社であるので、私が知らないだけかもしれない)ので、本来、遠方の方には、この情報は届きにくい筈であるが、時々突然の照会が舞い込む。内容が複雑であり、しかも、障害者自身がこの情報を直接掴むケースは少ないので、情報の伝搬は遅々たるものだが、着実に少しずつ進んでいるようにも感じる。

 もしかしたら、新聞記事では、弁護士の代理人が付いていたような表現になっているので、相談先は弁護士事務所が最適と思い、時々ではあるが、各地の弁護士の先生に相談が入っているのかもしれない。この問題は、いずれは改善すべき重要な事項を含んでいるので、不満を我慢せず、できれば訴訟でも、不服申立でも少しでも多く起こしていただき、世論、公論を喚起する機会にしていただきたいと私は常日頃から思っている。

 Mさんについては、なぜ福岡の弁護士を選ばれたのか? I弁護士は辣腕で有名なのか? 宮崎は弁護士自体が少ないのか? それとも偶然の出会いなのか? 色々考えてしまう。世の中には色々なことがあり、多彩だ。人は知らないことだらけで死ぬまで未熟だ。人は考え方次第で幸せになり、心の持ちようで福が向うから寄ってくる。一人でも多くの人に幸せを感じてほしい。人生を楽しんでほしい。

 これを書いている最中に手元に置いているスマホのメール着信音が鳴った。PCメールを確認したところ、Mさんからのメールであった。私に請求手続きを依頼したい旨のメールをいただいた。それでは、実務を優先することにいたします。



posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 22:01| Comment(0) | 5 広報

2013年01月19日

新聞の力

 3日前、私が第2回目の年金時効問題無料相談キャンペーンをしていた最後の日の前日、豊田市の人から電話照会があった。今までは、何故か市内の人からの照会がゼロであったから、嬉しくもあり、勇気付けられた。ご本人は精神障害者で、小さな新聞記事に気付くのは困難と思われるが、父親が昨年4月21日(土)の名古屋高裁判決の中日新聞の記事を切り抜き保管してみえ、昨年11月29日(木)掲載の同紙豊田版「ミニみに情報」の無料相談の小さな記事を見付けて電話してくれたものだ。

 この件に関する照会は、今までは、北海道、岩手県、新潟県、広島県、と遠方の方が多く、何故か北海道からの照会が一番多くあった。これは、直接私のホームページを見たのではなく、「さむらい(士)さんのお仕事」等他ののサイトで紹介していてくれていたからのようである。近県では岐阜県岐阜市、愛知県では知多市と春日井市からの照会で、市内からの照会は初めてである。

 この内の、裁定請求から5年が近い人について、実際に行動しているが、まだ方向性は見えてきていない。この具体的行動は、取り敢えず、本人名義で内容証明による支払の催告をすることで、支払いの請求と時効の中断をすることに始まり、却下されることは予想しながらも社会保険審査官に審査請求をして、その決定を待って、社会保険審査会への再審査請求をすることだ。

 後者においては、既に、名古屋高裁が示した考え方と同じ考え方を説示した裁決が3回もあるので、期待はしているが、現在は、この再審査請求が受理され審理されるかどうかも分からない状態だ。聞くところによると、審理されるかどうかの判断だけでも、2〜3カ月かかるとのことだ。

 今回の市内からの照会に対して、私がなぜそんなに喜んでいるかと言えば、一つは、疑念を抱えた関係者が、名古屋高裁の判決記事自体を大事に保管していてくれたことだ。この父親は、この記事の事案は最高裁に上告(実際には、上告ではなく、上告受理申立書が出されている状態)されていると思っているので、静かにその成り行きを見守っていたのです。二つ目は、中日新聞の記者の行為が陽の目をみたことです。この「ミニみに情報」に掲載された小さな記事は、中日新聞豊田支局の若い記者が、私の事務所を訪ねてくれ、忙しい記者が約1時間半も私の主張・考え方を吟味してくれ、これは正しい主張だと理解した上で出してくれた記事なのです。矢張り新聞の力は大きく、小さな記事でも、見る人はみてくれていたのだと実感した。

 これらのことから分かったことは、問題を抱えている人は実際には多く居ることと、居ても直ぐには行動を起こせないので、最高裁の行方を見守っているということだ。

 そこで私は、一昨日(1月17日(木))まで、この問題に特化して実施してきた無料相談キャンペーンを恒常化することにした。事実を知っても家族の反応を含め、反応は色々あるが、大事なことは、この問題を一人でも多くの人に知ってもらうこと、理解してもらうことだと思っている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 23:51| Comment(0) | 5 広報