研修後の懇親会での話を鮮明に思い出す。私の名刺を見たある社労士が、「ヤル気の喚起・醸成には何をしたらよいですか」と聴く。私が答える前に、「掘り起し以外にない」と言う。「何度も何度も言って聞かせる」、そうすれば、「清水が湧き出るがごとく、意に沿う方向に向く」という。
これは一つの真理ではあるが、私はもっと多面的な工夫が必要と思っている。例えば、トップや上司等に尊敬できる人物がいるだけでも、従業員はヤル気になる。そんな上司が、しっかり見ていてくれたことを知れば、なお更である。それ故、トップは常に自己研鑚は必須で、幹部の育成は重要である。その他色々な要素はあるが、その企業、従業員の置かれた環境によって、ヤル気醸成のための最善の支援策は違ってくる筈だ。
一般論で言えば、私は、経営者も従業員も共通的に重要視し、納得の基軸である「顧客志向」を軸としている。このテーマは、労働問題を手掛ける社労士の永遠のテーマで、何時も考え模索している内容ですが、我々のできることは、あくまで支援であって当事者になれないことを肝に命じなければならないと思っている。
この社労士が、折角、良いテーマを提供してくれたので、私の考えていることを少し述べます。この前提条件として、インセンティブ等の施策は考えないこととします。
最近、何かの資料に、100年以上継続している老舗優良企業の70%以上が、社是、企業理念等を持っていると書かれていました。代々続く優良企業でもこれをお持ちでない企業が相当数あります。私は、これは大事なことで、これを作る過程でもヤル気の喚起・醸成はできるものと思っているので、名前は、夢・ビジョン、将来像、何でも構わないので、これを作ることをお勧めしています。
以下、アトランダムになりますが、重要事項について述べます。☆指導・育成を含め、上司・先輩・同僚との関係。特に経営陣との信頼関係は大事です。☆あるべき社員像を示す。真面目な社員も目指すべき方向が分からなければ進めません。☆的確な事業計画を作る。これがないとベクトルが合いません。折角の力が打ち消しあって小さくなってしまうことも起こり得ます。☆適切に褒める・叱る。環境にもよりますが、7〜9割褒めて、3〜1割程度叱るのが効果的と思われます。それもできるだけ自然流で。☆挑戦・研鑽の機会を与える。失敗を恐れず、成功体験を味あわせることが掛替えのない経験になります。☆基本を鍛え、絶えず質問に回答させる。この場合の上司の質問力が鍵となります。☆時間の使い方を工夫させる。急ぐ内容、重要な内容を認識させてプライオリティを付けさせ、自ら効率的に動けるよう創意工夫を促す。また、もっと進んで、1日24時間の使い方を、会社の小さな視点で捉えず、社員一人ひとりを尊重した態度で育成する。
これらは、捨て置けない重要な内容であるので、近く体系的な資料として纏めたいと思っている。
2013年04月27日
ヤル気の喚起・醸成
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| 3 人事・労務
2013年02月09日
有期労働者に関する法改正対応策
労働契約法及び高年齢者雇用安定法の改正に伴い、その多くが非正規社員である有期雇用労働者をかかえる中小企業の経営者は、現在、無期転換制度と現在の就業規則や労働協約との複雑な関係に直面し、大変な状況に陥っています。大変な状況というのは大きく二つに分かれます。その一つは、法改正の趣旨が理解できず、不要な心配をしている場合です。他の一つは、ある程度法改正の趣旨は理解しているが、自社の雇用の実態が、法改正の趣旨どおりに実施できないような、幾つかの事由がある場合です。
後者については、改正法自体が、経営者に理不尽な無理なことまでを要求していないこと、及び、経営者自身が、ある程度問題を認識し、時期的なことも含め、相応の対策を考えているのでそれほど心配にはならないが、問題は前者です。
前者の経営者は、不安が膨らみ対応策も方向も分からないので、効果のない余分な事をいくつも行ってしまいます。しかし最近は、これらに対応可能な、通達、解説書、マニュアル本等が幾つか出てきています。会社によっては、今年3月までにしなければならないことが沢山あるので、必然的に、解説書等も、段々と分かり易く具体的になってきています。 これらを読んで理解できる 経営者は良いのですが、誤解してしまう可能性のある場合は、これらの内容に詳しい社会保険労務士や弁護士に相談されるのが最善と思われます。後からではどうにもならない問題もあるので、この見極めはしっかり行っていただきたいと思います。
ここでは改正法について、労働契約法の雇い止め法理についてのみ述べます。労働契約法第18条(平成25年4月1日からは、19条となる)の適用について言えば、一つは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態が存在した場合、いま一つは、労働者が期間満了後の雇用の継続を期待することに合理性が認められる場合です。 前者が東芝柳町工場事件の最高裁判例の考え方を採ったもので、後者は日立メディコ事件の最高裁判例の考え方を採ったものです。
現在では、前者の場合はほとんど見当たらないので、現実の対応としては、後者の場合について考えれば良いものと思います。また、いわゆる純粋型の有期雇用の場合、期間が長期になったとはいえ、原則どおり期間満了をもって雇用契約は終了になります。経営者が本当に心配しているのは、やる気も無く、健康にもすぐれず、何度注意しても悪癖が治らないやる気も能力のない者に対してまで継続雇用しなければならなくなるのではないかという不安です。しかし、このような場合、改正法自体が、懲戒解雇、及び退職事由に該当するような場合にまで、継続雇用を要請していないので、本来は全く心配要らないことなのです。しかし、従業員の不始末等について、きちっと書類に残してない会社が多いので、実際に契約を終了させるときには安心できる状態でない場合が多いようです。
これからは、顧問社労士の腕の試される機会が増えるものと推測しています。
後者については、改正法自体が、経営者に理不尽な無理なことまでを要求していないこと、及び、経営者自身が、ある程度問題を認識し、時期的なことも含め、相応の対策を考えているのでそれほど心配にはならないが、問題は前者です。
前者の経営者は、不安が膨らみ対応策も方向も分からないので、効果のない余分な事をいくつも行ってしまいます。しかし最近は、これらに対応可能な、通達、解説書、マニュアル本等が幾つか出てきています。会社によっては、今年3月までにしなければならないことが沢山あるので、必然的に、解説書等も、段々と分かり易く具体的になってきています。 これらを読んで理解できる 経営者は良いのですが、誤解してしまう可能性のある場合は、これらの内容に詳しい社会保険労務士や弁護士に相談されるのが最善と思われます。後からではどうにもならない問題もあるので、この見極めはしっかり行っていただきたいと思います。
ここでは改正法について、労働契約法の雇い止め法理についてのみ述べます。労働契約法第18条(平成25年4月1日からは、19条となる)の適用について言えば、一つは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態が存在した場合、いま一つは、労働者が期間満了後の雇用の継続を期待することに合理性が認められる場合です。 前者が東芝柳町工場事件の最高裁判例の考え方を採ったもので、後者は日立メディコ事件の最高裁判例の考え方を採ったものです。
現在では、前者の場合はほとんど見当たらないので、現実の対応としては、後者の場合について考えれば良いものと思います。また、いわゆる純粋型の有期雇用の場合、期間が長期になったとはいえ、原則どおり期間満了をもって雇用契約は終了になります。経営者が本当に心配しているのは、やる気も無く、健康にもすぐれず、何度注意しても悪癖が治らないやる気も能力のない者に対してまで継続雇用しなければならなくなるのではないかという不安です。しかし、このような場合、改正法自体が、懲戒解雇、及び退職事由に該当するような場合にまで、継続雇用を要請していないので、本来は全く心配要らないことなのです。しかし、従業員の不始末等について、きちっと書類に残してない会社が多いので、実際に契約を終了させるときには安心できる状態でない場合が多いようです。
これからは、顧問社労士の腕の試される機会が増えるものと推測しています。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 23:04| Comment(0)
| 3 人事・労務
2012年01月14日
就業規則は最も重要な会社法規!!
就業規則は、会社、社員は勿論、これが賃金制度の根幹を成すものですので、国家経済的見地からも重要な役割を果すものと言えます。会社を守れ、従業員のヤル気を喚起するのに、最も有効なツールが就業規則です。これが認識されず、「労基法上作成義務があるから」、と作成するだけで、改正・周知を疎かにしている会社の実損害は莫大なものです。
本日は、「就業規則で何ができるか」、という視点で、その重要性を列記してみます。
1 トラブル予防(@内部告発、A未払残業、Bセクハラ、パワハラ、加害行為、C競業避
止、コンプライアンス経営)
2 リスク管理(@情報漏洩、B解雇、B発明・発見・特許)
3 効率的経営:事業主の思い具現(@ヤル気喚起、A理想の社員像、Bパソコン・車両・
携帯使用)
4 合法性・合理性堅守(@作成・届出・周知義務、A法定必定内容:法改正によるポン抜
け防止 要、B不備・ミス防止:一発倒産も起る)
5 安定性補強(@会社も社員も安心感抜群、A本来業務専念)
6 社員の健康維持・向上(@相談窓口設置:早期発見・予防、A教育・研修・訓練)
本日は、「就業規則で何ができるか」、という視点で、その重要性を列記してみます。
1 トラブル予防(@内部告発、A未払残業、Bセクハラ、パワハラ、加害行為、C競業避
止、コンプライアンス経営)
2 リスク管理(@情報漏洩、B解雇、B発明・発見・特許)
3 効率的経営:事業主の思い具現(@ヤル気喚起、A理想の社員像、Bパソコン・車両・
携帯使用)
4 合法性・合理性堅守(@作成・届出・周知義務、A法定必定内容:法改正によるポン抜
け防止 要、B不備・ミス防止:一発倒産も起る)
5 安定性補強(@会社も社員も安心感抜群、A本来業務専念)
6 社員の健康維持・向上(@相談窓口設置:早期発見・予防、A教育・研修・訓練)
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 22:53| Comment(0)
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