2018年05月12日

セクハラ・パワハラ事件のあっせん申請について


私があっせん申請に係る代理人及び訴訟になった場合の補佐人の受任を受けている事件で、私は、早期解決を目指し、先ずもって、被申立人(以下「相手方」という)との裁判外和解を勧めた。結果、金額の隔たりが大きく、和解は成立しなかった。

私が上記の和解を勧めたのは、委任者(以下、原則として「当方」という)側には手持ちの証拠がないことと、徹底交戦の場合解決までに長期間を要することである。まして、申立人は重度のうつ病が治っていないのだからなお更である。

相手方にとっても悪い話ではないので、相手方受任弁護士もある程度の妥協をしてくるものと思っていたが、私が立ち会った2回の面談ではそれがなかった。しかし、当方は、度重なるセクハラ・パワハラで重度のうつ病になり、意に反して退社しなければならなかったのであり、原因や相当因果関係に係る立証がないからという理由だけでは到底納得できるものではない。

徹底的に争う覚悟はできているが、当方の武器となる客観的、具体的、積極的な証拠は今現在何もない。ほとんどの証拠は相手方のパソコンに入っており、当方のスマホに入っていたラインの情報は、裁判所からの令状等がないといただけない。相手方はこの問題のパソコンは、不具合があったので、廃棄したといっているのである。

裁判になれば、申立人同様の理由で辞めた人が多数いるので、その内の一人を選び証人になっていただく予定である。しかし、本件では在職中申立人は営業部に属しており、直属の上司である営業部長からセクハラ・パワハラの被害を受けたのであるが、総務の担当者及び営業部の主幹等に何度も相談しており、管理者である主幹に対しては、具体的に配置転換の希望も出していたのである。

結果、相手方は何の手も打たず、これらの被害の防止に係る策も、教育もしていなかった。この不作為は、労契法第5条の定める安全配慮義務に違反しており、これは民法415条に定める債務不履行に当たる。債務不履行については、基本的に債務者側に立証責任がある。従って、本件について上記の証拠がないからと言って当方に一方的に立証責任があるものではなく、双方に一定の立証責任があるのである。

しかし、これだけでは相手方は折れてこないものと思われる。就労実態は、深夜まで拘束されているいたことが何度もあるが、給与明細書を見ると、残業手当についてみると、早出残業手当相当分のみの支払いしかなく、実際の残業時間の1/3も支給されていないのである。また、天引き内容にしても、労使の書面による協定はあると思われず、36協定も結ばれていないようである。

所轄の労働基準監督署に聞くと、労災申請した場合調査した結果は、本人であれば資料がいただけるとのことである。また、事件の内容もセクハラを通り越して、ストーカー行為の疑いも濃いものであり、刑事告訴も含め徹底交戦の準備をしている。労基署には申し訳ないことだが、当方は、この労災申請が通らなくても申請のメリットは大きいのである。しかも、事件の進捗によっては、当方から取下げも可能なのである。

既に、5月10日(木)には労災申請をしており、同日中に負傷又は発病年月日、及び療養のため労働できなかった期間等に係る相手方の証明をもらう第7号様式及び第8号様式を既に送付済みである。続いて、5月15日(火)には、社労士会労働紛争解決センター愛知へのあっせん申立てを予定しているので、相手方に出席を促す意味と、和解のメリットを考えさせるタイミングとしては、これらの申請は、絶好の時期に重なったのである。

一応は、あっせん、労働審判、提訴、及び刑事告訴と段階を踏んで進める予定で、裁判にまで発展した場合の委任先弁護士事務所まで決めてあるが、相手方の出方次第では和解についても選択肢の一つとしているのである。

相手方受任弁護士は若く経験も浅いことが目に見えているが、この事件がいかに労力を要し、実入りの少ない事件であるかを知らないはずがない。従って、直接関係しない側面からの攻撃は、相手方への和解勧告の意味をも持つのである。少し先にならないと結果は分からないが、世の中には色々な事件があるので、こんな場合の使用者側の反応の一類型として、読者諸氏にも見守っていていただきたい。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:18| Comment(0) | 3 人事・労務

2017年08月19日

増加傾向にある許しがたいセクハラ・パワハラ事件


昨日の相談である被害者の女性M.Y様は、2年強勤めた職場を、上司によるセクハラ・パワハラでいたたまれなくなり退職している。

これが原因で、現在健康保険法に基づく傷病手当金を受給中である。治療費及び精神的・経済的損害を会社から支払ってもらうべく愛知労働局のあっせんの手続きにつき相談した。

上司である男性営業部長は、当初親切で油断したが、今思えば必要以上の仕事上の手伝いをしてくれていた。ある日、交際を求められ、お断りしたところ態度が急変しセクハラだけではなくパワハラも始まったと言う。

本日はセクハラ・パワハラの内容自体については省略するが、少し変わった組織でM.Y様の場合、部長の下に課長、係長等の職位はなく部長直轄で仕事をしていたとのこと。

この営業部長が昨年4月に地元豊田市の勤務地から、営業部長を兼務したまま岡山工場の副工場長に就き、数日後には岡山に赴任した。

ところが、その後も営業部長を兼務しているのでM.Y様は、毎日日報をその営業部長に送らなければならない。ほぼ毎週金曜日になるとM.Y様を罵倒する内容の多量のメールが来て耐えられなくなった。住居近隣○○心のクリニックに通院し完治に努めたが治らず、生活の当てもなかったが止む無く退職した。

本日私が言いたいことは、これら事件の増加対策の重要性と労働局の指導等に対する疑問である。

前者については人道上の見地からも許されることではないが、個人的には経済的基礎を失うことがどれほど大変なことかを加害者にも知らしめたいほどの憤りを覚える。被害者が選択も回避もできない職務上の権限を悪用する利己的行為であるのだから、これは断じて許せない。

後者について、おや!?と思ったのは、労働局の担当者が事情を聞いた後、会社の方も行き成り労働局から呼び出し状が来てもびっくりするからM.Y様から会社宛にメールを出すよう勧めた点である。

その際いくらくらい請求するのが妥当かも一切言わず、M.Y 様が決めることだと言うのである。彼女はこのようなケースの世間相場が分かる筈もなく、そのメールで30万円を請求してしまった。これが慰謝料だけかと思ったら、医療費及び精神的・経済的損害を含めた請求額であるという。

さらに質問すると、本当は、労災請求までしたい意向がある。結果、退職までしているものの請求額が30万円では相場の感覚がゼロといえる。

しかし、請求者本人が会社に対してメールで30万円を請求したのだから、会社がこれで承諾してきた場合、通常その金額で一件落着となってしまい、M.Y様は、後に後悔をすることとなる。

会社の担当者も知り合いのようであるが、会社からは、回答を今月25日(金)まで待ってくれと言って来ているという。

回答次第では、再度の相談があるようであるが、これを労災請求までするとなると相当の手間暇を要する事態となる。業務起因性等の相当因果関係の立証は勿論だが、直接の証拠となる受信メール自体が、会社のケイタイに来ていたもので、既に機器を返還してしまった現在手元に最も重要な証拠がないのである。証人になってくれる人は複数いるというが、そんなに簡単なものではない。

相談者は大学は法学部であったが、さぼっていたので、今、法律の重要性を知り、一所懸命勉強しなかったことを後悔していると言われる。自分なりに、色々な市販本を読み研究しているようで、私への相談の前には、既述の労働局のほか、短い時間の無料相談ではあるが、弁護士相談も受けてみえる。

しかし、当事者が、経験もないのに実務の急所を把握するのは容易なことではなく、現実は、市販書を通読した程度で、立ち向かえるものではない。どんな本でもそうだが、自分の本当に知りたい部分について、満足できるまで書かれている本はほとんどないのが現状である。

労働局紛争調整委員会のほかにも、社労士労働紛争解決センター愛知があること、その特徴をお話しし、H.Pの案内もした。

宣伝になり恐縮だが、当センターは、サポート社会保険労務士のほか、弁護士もお一人サポート体制に入っていること、期日は、問題によって、1回から3回が予定されること、及び平成30年3月31日申立てまでの手続き費用が無料になっていることを強調させていただいた。

私は ADRを担当する者の姿勢として、世間相場に全く触れないのはどうかと思うのだが皆様はどの様にお考えでしょうか。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 16:40| Comment(0) | 3 人事・労務

2014年07月26日

賃金不払い  論外の現実

 昨日、嬉しい報告があった。今月1日(火)に、賃金不払い問題について相談を受けた市内在住のK.K様から、本日が給料日で、明細が届き、実際にそのとおりの振込みがあったとの報告を受けた。お礼がしたくて電話したとのこと。一安心した。支払われたといっても、実は1カ月前の賃金である。

 労基法と実態については、労働時間については多くの落差を目の当たりにしていたが、まさか、賃金について、こんなに堂々と違法が罷り通っていたとは思わなかった。K.K様も自分にも悪かったところはあると反省してみえたが、これは仕事上のことではない。直接の上司の交際相手につき、奥様に、「どうもおかしい」と話してしまったとのこと。それ以来、上司との間で気まずくなって、退職したとのことである。

 給料日に明細ももらえず、担当者に話すと、「社会保険料と相殺したら支払う賃金はない」と回答されたとのこと。K.K様に言わせると30万円ほどはある筈だと言う。労基署へも相談に行ったら、「明細書が無いようでは動けない」と言われたという。おかしな対応で驚いたが、明細書が無ければ、違法事実は一つ増えるので、反って動き易くなる筈である。これは明らかに役所の逃げである。もっと、正義感に燃えて、責任ある行動を採っていただきたい。

 私は、最初に電話で概要をお聴きした時に、調べる内容と、紙面で渡せる記載内容を頭に描いた。従って、相談当日は、事実関係の確認を済ませた後、この紙面を渡し、この問題は貴女が独自で解決できると宣言した。私の事務所名も記載した、この紙面を会社の担当者に読んでもらえば、必ず目的は果せる筈だと告げたので安心して帰られた。相手のあることゆえ、全く心配していなかったというと嘘になるが、処罰等とのバランスを考えれば愚かな選択はしない筈だ。しかし、このような問題が起っているということは、使用者が知らない間に、中間管理者が無謀な行為をしているのだから、我々が予測できない事態も起こり得る。

 私のお渡しした資料は、A4半分くらいの内容である。会社に対する申出等は何も書いてない。労働者にとって賃金がいかに大事なものか、これに関する強行規定には何があり、この行為が該当する条項・内容、これに係る罰則規定・内容、及び最近の判例名等を記載しただけだ。

 このお客様は、ブログの愛読者ではなかったが、最近ブログの愛読者からの照会が表に現れてきた。私は、しばらくブログを読んでいただいていると知ると、それだけで嬉しくなってしまい近親感を覚える。一昨日、昨日と遠方では、岩手県と東京から電話を受けたが、後者は携帯番号からであったので、携帯会社はどこかとお聴きしてしまった。一般的には、携帯から固定電話への通話料は無視できないほど高くなるからだ。偶然、私のスマホの会社と同じであれば、料金プランによっては、無料通話も可能だから、そのときは、私のスマホの番号をお伝えしている。事務所のフリーダイヤルは、9:00〜19:00の時間制限と、東海四県下の地域制限を掛けてあるので、超遠方の方は、メール環境があれば、メールの利用をお勧めしている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 08:37| Comment(0) | 3 人事・労務