社会保険労務士の重要な仕事の一つに相談指導業務があります。この内容が顧問契約の重要な部分となる場合もある訳です。これについて、社会保険労務士法第2条第1項第3号には、「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」、とあります。文章にすれば、何の抵抗も無く表現されるこの内容は、実務上は非常に難しい側面を有しており、特に、労働に関し、会社を良くして行く施策の実行では、それぞれの職場の実態により、正解は区々で、答えのない問題に対処していくことになります。
事業主から、具体的な問題について相談された場合でも、即答できる場合は寧ろ例外的で、無責任に回答することは躊躇されます。事業主様自体、相談前に考えて考えて、悩み抜いて相談してみえる場合が多く、込み入った事情を確認もせず、即答できるものではありません。
相談や悩みの原因が、実務や法律の知識の欠如であれば、それを分かり易く説明すれば足りますが、事業主の理念を周知徹底するとか、ある特定の社員の更正とかの問題では、様々な場面が想定され、一歩一歩階段を上がっていくように地道な努力が必要です。これは、スポット契約では、中々果たし難い部分ですので、ここで顧問契約の機能が発揮できます。一朝一夕にできない仕事ですので、普段からその会社を見て、考え続ける必要があります。
これは、相談指導業務というより、その会社の事業主様や、そこで働く従業員様と価値観を共有して、一緒に考え・行動することにほかならず、社労士の良心と、絶え間ない努力が必要な内容だと痛感しています。また、事業主様が、包み隠さず、なんでも相談してくださるほどの信頼が得られていないと、上辺だけの対策になってしまい、実効性の薄いものになってしまいます。
この業務は、本当に難しい業務ですが、難しいからこそ遣り甲斐があり、ファイトが湧いてきます。暫くして感謝の言葉をお聴きしたときは、ウイン・ウインの関係の企業が一社でも増えたと確認できたような気がして、これ以上の仕合せはないと、充実感に満たされます。
2012年03月17日
社労士の行う相談指導業務
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 21:34| Comment(0)
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