2015年04月18日

そろそろ原点回帰時期 !?

 来週から、再来週にかけて、裁判にまで発展してしまった公的年金の消滅時効問題の重要な期日や判決が集中している。地元の事件では、4月22日(水)に、私が、改正社労士法に基づく補佐人として、受任弁護士と共に名古屋高裁の法廷に立つことになっているが、私の考え方が、どこまで裁判官に通じるかは未知数である。しかし、被告国からは、私と受任弁護士が議論を重ね作成した控訴理由書に対して、反論らしい反論はない。

 被控訴人の反論内容は、「控訴人の主張は、原判決の判断に誤りがあるとして種々の点を指摘するが、いずれも、原審における主張の繰り返しか、独自の見解に基づいて原審の判示を論難するにすぎず、到底原判決の事実認定及びこれに基づく判断の根幹を揺るがすものではない」と主張する以外は、原告の請求額が、実務運用の計算方法と比べると9円多いと指摘するのみである。この9円の差は、400万円を超える請求額に対して、被告の実際の支払月(偶数月)に合わせた場合の端数整理の問題であり、本事案の争点ではない。訴状で主張されている争点に関し、原審判決では争点としての認識もなく、判決文には全く触れられていない旨を指摘しているのに、その点についてさえ反論がない。

 この被控訴人の反論後に、私が、第一審の誤判断の前提になっている部分の事実関係について意見書で実態を陳述するので、本来は、被控訴人は、これらに対して反論して来るべきであるが、これ以上反論すると矛盾点が増すばかりで、自己に不利になるので、控訴審は1回の期日で結審する可能性もある。

 現在の運用の「法解釈違反という一般論」に限っても、純粋に法解釈論でいえば、原告側が負ける筈がないのに、第一審の名古屋地裁の本人訴訟では、十分な論争をしてない状態で、結審の打診もなく終結しているのだから、裁判長の指揮権は大きなものである。そして、裁判所という司法の最先端で、政治的判断としか思われないような判決理由が示されているのだから、私の忌憚のない感想は、「目を見張るほどの科学の進歩に比べ、法曹界の改革が驚くほど遅々たるものである」というものだ。

 いずれにしても、この公的年金の消滅時効の問題については、今月中に今後の取るべき道は予測できる状態になる。勿論、決着はまだまだ先のこととなるが、進むべき方向や行き着き先が見通せるということである。

 私が、社労士を志したのは、この不合理な運用を法改正等でもって改善させることが一番大きな目標であったのだが、実は、今一つの目標があり、それは、「日本の産業を支える中小事業主様へのお役立ち」である。これも大きな課題であるが、開業当初は、就業規則及びその周辺社内規程の全面改正や労働トラブルの解決や予防に従事していた。

 年金時効問題のような分かり難い、かつ対象者が認識し辛い問題に、開業当社からお客様が付く訳がなく、社労士業として一般的な業務で、私の企業法務の経験を活かせる業務を受けていたのである。消滅時効の問題に関する現在の多くのお客様は、新聞記事やたまたまホームページ等で出会った偶然の積み重ねから成り立っている関係なのである。数件は、弁護士の先生からの紹介もあったが、その先生は、新聞記事や月刊社労士、ホームページ・ブログ等から情報を得られているので、いずれにしても、ごく限られたチャネルからしか顧客になっていないのが現状である。重度の精神障害者が直接情報を得ることは、色々な事情で成り難いので、親や子供等を含めた支援者からのご縁もあって成り立ってきたものである。

 従って、現在ご縁のあったお客様は、一面、一定以上の知識や環境に恵まれた方であるとも考えられ、実際は、この情報を必要とするほとんどの障害者の方は、情報自体を知ることもなく、裁定請求から5年を経過してしまうこととなるものと思われる。

 考えれば切がなく、心配すれば切がないので、当面、私ができることは、司法に間違いのない判断を促すことであるとこれに傾注している。幸い、これが出来易い環境を社労士法の改正で整えていただいたので、私の持っているものは全部吐き出す積りでいる。

 ところで、タイトルの「原点回帰」であるが、3月で開業3年半となったのだが、折よく私が目指す第二の目標に係る、タイミングの良い提案等に恵まれたのである。一つは、当市では初めて、ある事業者と当市が官民共同事業として、豊田市「くらしのべんり帳」を今年6月から市内全世帯に配布する。偶然、私の事務所にもお話があったので、「労働問題」についても、少し宣伝させていただいた。これは、A4版カラー刷り、150ページ程度のものが予定されており、3年間使われる。

 そんなことをしている最中に、商工会議所から「2015アラパーのご案内」が届いた。名古屋商工会議所が事務局を引き受け、県内22商工会議所が年に一度の大商談会を開催するというのである。しかも、全て無料。

 まだまだ、第一の目標に係る時間が多く、余り業容を拡げることはできない当事務所ではあるが、このエントリー用に特別企画の商品を用意したのである。言ってみれば、社労士としての手続業務をしない相談・指導業務専門の安価な顧問契約である。幸い、私は企業法務経験が豊富で、経理部所管案件以外の全ての分野での法律相談を受けてきており、企業で起り得るほとんど全ての事案について相談・指導に応じられる。端的に言えば、社労士が行う経営コンサルティングである。

 勿論、宣伝をしたからと言って、直ちに顧客化に結び付くものではないが、ここでは、今までに蓄積されたリーガルマインドやTQC活動やその支援の経験、及び国との裁判で勝訴した経験が活かされ、効能面においても経済性の面においても顧客に満足いただけるサービスが提供できるものと自信を深めている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 17:55| Comment(0) | 2 所掌範囲

2015年02月28日

私の業務活動範囲について

 先週18日(水)、19日(木)と自家用車で神戸まで往復した。久しぶりの車での遠出で、出発前には、所要時間、体力、疲労度合等色々考えたが、走ってしまえば、心配したほどのことはなかった。行きは約2時間半、帰りは阪神高速の渋滞もあり、2時間45分であった。片道230km程度はあるので、相当のスピードでぶっ飛ばしたことになる。

 今までの代表的な遠距離ドライブを振り返れば、20台後半には、1200CCのダットサンブルーバードで、豊田から鳥取砂丘までの約450kmを休みなしで約10時間運転し続けた。埃の舞う、道路幅も狭く地道の環境であった。また、東名高速道路もない頃に、友人5人で、レンターカーのクラウンで東京モーターショーを見学に行ったこともある。掛川の渋滞・排気ガスと箱根山越えは難儀であったが、楽しく行ってこれた。NTT時代の在職30年表彰の休暇では、九州1周約2000kmを一人の運転で旅している。

 これらの昔話の時は、若くて体力はあったが、道路も未整備で車の性能も今ほど良くなかった。そのことを考えれば、齢は取ってきたが、道路も車の性能もグレードも上がっているので、今後も神戸くらいなら日帰りの日程が組めそうである。

 3月は、社会保険審査会の公開審理に出席するが、東京は混雑するし、駐車場もなく、高速道路料金も高額になるので車ではいけない。公共交通機関が発達しているので、車でなくても不便は感じないものと思っている。

 このように考えると、私が、実際に現地まで行って活動できる範囲のイメージが湧いてきた。現在、北は北海道札幌市から、南は九州宮崎市まで、遠方のお客様から仕事の依頼を受けているが、ほとんど、インターネッと、メール及びFAX等の遣り取りである。

 しかし、今回の体験で、現地面談等を要する業務でも、相当広範囲にカバーできることが確認できた。神戸には、車で行ったため、有馬の湯にはたっぷり漬かってこれたし、今までは、電話、FAX及びメールの遣り取りだけであった「あいおい法律事務所」の藤原精吾先生からは、約1時間有益なお話をお聴きすることができた。

 先生のお話では、ドイツでは、裁判所が6種類あるそうである。民事、刑事、行政、税務、労働及び社会があり、それぞれが3審制まであるそうである。我が国は、3審制と言っても、ほとんどの場合、実質2審制である。社会法が発達しており、個別の窓口に告知義務があるそうである。そのようになっておれば、今私が問題にしている事件も起きようもない。また、「裁判の闇」という新書版があり、アマゾン等で入手できるとのことであるが、一読の価値がありそうな概要説明を受けた。

 これらの得難い経験をすることができたのも車のお陰であるので、これからは、神戸程度までの距離であれば、車で出掛け、見分を広めたく思っている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 21:27| Comment(0) | 2 所掌範囲

2014年03月22日

士業の周辺業務

 今日の話は、生活保護費の返還請求問題である。私は、少し前に、「同じような事件が続くものだ」と書いた記憶がある。偶然とは全く面白いものである。以前から疑問に思っていたことに私自身が実際にぶち当たった。相談内容は、「長い間、生活保護を受けており、2カ月前に障害年金の裁定請求をした方が、市の生活保護の担当者から、遡及5年間分の一時払いの年金から支給済みの生活保護費の返還を求められた」というものだ。

 過日、隣の支部所属の親しくしている社労士から、その社労士への委任者の色々な事情を話されたのち、「もし障害年金が認められなかった場合、この人の場合、生活保護しか道はないのか」との相談を受けた。その時は、私もひとり親家庭の福祉、及び生活保護に関する漠然とした知識しかなく、日本法令の「年金相談第5号」の終りの方に生活保護の記事があったよ、と言って、後日PDFファイルを送った程度で事を済ませていた。今度は私が実際の事例に遭遇したのだ。少し研究してみたので、訪問者の皆様にも、貧困に苦しんでいる方への支援をお願いしたい。

 労働社会保険諸法令には生活保護法はない。しかし、実務では、障害年金を担当しておれば、強い関連性のある事柄で、これに関する知識は必須事項だと思う。いわば、障害年金と生活保護との併給調整のような問題である。実際に、返還請求手続きに入る場合は、行政書士の専門分野になると思うが、司法書士でも弁護士でもこれを業としても違法にはならないものと推測する。ところが社労士が行う場合は、法に抵触する筈だ。私は、行政書士の資格は有するものの登録はしてないので、これを業として行うことはできないと認識している。

 私へのホームページ経由での問合せは遠方の方が多いのだが、今回は豊田市内の、しかも比較的近くにお住まいの方だつた(この方は、平成2年から2級相当の障害をお持ちで、ご自分で、認定日請求と事後重症の違いも分からず裁定請求をしているので、補充意見書等を出す必要があるのかもしれない)ので、市の担当者に直接電話で遣り取りした。市の実際の取扱いはどのようにしているのかをお聴きしたところ、「返還を求めている」との回答であった。根拠規定を確認したところ、生活保護法の第63条とのことである。

 そのような併給調整を聞いたことがなく、道理にも合わないと感じたので調べてみた。すると、第63条は、本来生活に充てられるべき資力があるものの、直ちに最低生活のために活用できない事情がある場合に、取り敢えず保護を行い、当該資力が換金されるなどして最低生活ができるようになった段階で、既に支給した保護金品と調整を図ろうとするものであることが分かった。

 従って、生活に充てることができる形(現金あるいは現物)に具体化しない資力(資産)を保有している場合には、保護費用が生活の糧として当該資力(資産)を代替する期間(保護受給期間)の支給済み保護費用に相当する額が法第63条返還金の対象となるものである。従って、生活保護の申請時に未だ裁定請求もしていない障害年金は返還の対象ではないのである。※

 大豊田市において、間違った法解釈により貧困者をなお更苦しめていては大問題と思い、電話で教えを受けたTさんと再度電話で話をした。第63条の趣旨を伝え、第78条(不実の申請その他不正の手段により保護を受けた者)該当者への返還請求とは、全く別物であるので、正しい措置をお願いした。

 Tさんは、全く素直な方で好印象を受けた。「私の一存ではできないので、上司と相談して対処させていただきたい」との回答であった。念のため、Tさんも実際にお客様対応をされているのかをお聴きした。ケースワーカーだから、勿論対応しているとのことであった。ということは、今までに、返還請求により苦しい中返還をしてきた人が相当数いるものと推測される。例の私の事件については、公の機関としては最高位にある国においても法解釈を誤っている(違法の要素は約10コあるが、国はその内の1コについても、名古屋高裁を説得できていない)のだから、このような公共機関による法解釈誤りは、日常茶飯事になっているのが現状である。困ったことではあるが、俄かには直らない。

 前述した親しい社労士について触れる。この方は、開業して数年になる私の先輩になるのだが、障害年金を専門に精力的に活躍してみえ、障害年金の裁定請求を何百件と経験してみえる。企業の顧問先も友達に引き渡し、今では障害年金に特化してみえる。彼女曰く、「将来は、気の合った10人で障害者支援のNPOを作りたい、個人では公共機関や医療機関に話しも聴いてもらえないが、NPO法人であれば聴いてもらえる!!」

 既に、その道の先輩である千葉の社労士を尋ね、勉強させてもらってきたとのこと。私とは意気込みが違う。このような事情で、今後もこのブログに登場するかもしれないので、以後彼女をM.Sさんと言わせてもらう。

 M.Sさんが言うには、既述の返還請求の取扱いは、市町村等によってまちまちで、全く違うという。概して、東京都は、「これからの分でいいですよ」、九州では、「徹底的に追及する姿勢」、岐阜も同様という。愛知県では、刈谷市、知立市は隣の行政区に転居すれば追及なしとのこと。また、どこの県の話かは忘れたが、中には、「気持ちがあったら、返してください」という担当者もいたという。これってなにー!?と興奮してみえた。同じ法律の下にある取扱いが、こんなに違うのは、おかしなことであるので、例え、周辺(又は附属)業務といえども、真実を探究する必要がある。

※ ここでも、「支分権がいつ発生するか」の解釈によって、取扱いが変わってくる要素がある。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:58| Comment(0) | 2 所掌範囲