2019年06月08日

平成29年最高裁判決に対抗する身体の障害者による提訴


私が、行服法に基づく異議申立てをして、平成29年6月から7月にかけて一挙大量却下された事件の該当者のお一人で、今でも私のブログへの定期訪問者である東京都のA.K様であるが、今週6月4日(火)に本人訴訟提起を決断された。

理由は、「納得できないから」の一言である。請求額約1,715万円の手数料(収入印紙代)は、74,000円、及び予納郵券代約8,000円は、提訴のための必須費用である。

私は、何か月か前までは、平成29年10月17日最高裁判決が出てしまったこと、及び裁定請求さえすれば認められる点においては老齢年金と同じ事情であるので、「今、提訴することは賢明ではない」旨を電話でお伝えしていたのである。

ところがその後、民法第166条1項の「権利を行使することができる時」の国の解釈が間違っていることを発見し、その旨を説く権威ある文献を多数発見したので私も考え方を改めた。これは、次のとおり3通りある。

私法上の債権について時効の進行が開始する起算点は、権利を行使し得るとき(民法第166条)、すなわち権利を行使するのに法律上の障害がなくなったときからである。これは、法律上の権利の行使ができないのに時効期間を進行させることは、時効制度の目的からみて承認し得ないからである。この結果、起算点は、@ 確定期限及び不確定期限のある債権については、期限到来の時、A 期限の定めのない債権については、債権成立の時、B 停止条件付債権については、条件成就の時からそれぞれ時効が進行する(我妻榮著新訂民法総則485頁)。」(会計法精解696頁11列目〜同頁16列目)

国の説明・主張の出発点となる根本部分であるので、裁定に係る「条件未成就」、及び支払期月に係る「期限未到来」に行き付くのである。

従って、本人訴訟支援は勿論、許可されれば、A.K様の事件についても、民訴法第60条の補佐人も引き受ける予定である。

今まで私は、年金決定通知書を受けてから既に5年を経過している方、及び身体の障害の方の場合、真にやむを得ない事情と思われる裁定請求遅れの方しか受任していなかったのであるが、上記の民法の解釈誤り及び未だに「障害年金の支分権が裁定前に時効消滅している」というとんでもない説明(裁決例による社会保険法 [第2版] ―国民年金・厚生年金保険・健康保険― 加茂紀久男 著者 民事法研究会 平成23年12月1日「裁定の法律的性質は確認処分であると解されているにせよ、受給権の行使には必ず裁定を経なければならないとされており、裁定前に支分権を行使することなどおよそあり得ないところからみれば、裁定がないうちに年金の支分権の時効期間が進行を開始するとは考えられない。」(101頁6行目〜同頁9行目))を国が繰り返していることを考えると、身体の障害であろうと、年金決定通知書を受けてから5年を経過していようと不服申立ても提訴もできるとの考え方に変わってきた。

5年を経過していると、このことについて、特段の主張を加える必要があるので、勿論、5年以内に越したことはないが、5年が経過しているからといって、諦めてしまう必要はないのである。この事情は、国が反省し、間違った説明を改めるまで継続する。

特に、不服申立て(原則として、行服法旧法の厚生労働大臣に対する「異議申立て」及び改正新法に基づく「審査請求」)については、上記で述べた、収入印紙代や予納郵券代は必要ないのであるから、納得できるまでやってみるのがベストな選択である。勿論本人でもできるし、基本的には代理人(有償で行う場合は、弁護士又は社労士に限られる)でもできる。
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2019年06月01日

K.F様の本人訴訟の展開


一昨日、30日(木)に、昨年11月27日(火)に当事務所をご夫婦で尋ねられたK.F様からの2回目の訪問を受けた。12月8日(土)「100回通う積りだった年金事務所!!」の主人公である石川県の方である。今回もご夫婦で車で来られ、打ち合わせ終了後は、猿投温泉 金泉閣 で保養されてから帰路につかれるとのこと。

この方からは、行服法新法による審査請求事件を受任して既に厚生労働大臣に対する審査請求書は提出しているが、既に提訴済みであった本人訴訟を係争中なのである。

鼻腔のできものを除くため2カ月ほど入院してみえたとのことで、裁判の期日を延ばしてもらっていたので進行が遅れている旨の説明である。

1時間半ほど関係書類を見せていただいたり、質問をして、相手方準備書面の間違いカ所(反論ができ反論すべきカ所)を指摘させていただいたが、被告の主張に変わったところはなく、基本的に従来の説明・主張と同じであった。

K.F様の請求は、処分の取消しであり、私の請求は、時効が完成していないことによる給付請求であるので、これには大きな違いがあり、私は、既に提訴済みの訴訟について委任契約上本人訴訟支援をしていない。

ご本人は、審査請求、再審査請求、及び提訴と順序を踏み、全て期限前に手続きをしてこられたのであるが、争いの原因である処分自体の違法性を原告が証明することは極めて困難であるので、私は引き受けていない。

この事件についても、最高裁まで争うとおっしゃってみえるが、私は、経緯上、提訴済みの第一審については精一杯やって、それで敗訴すれば、取消訴訟は諦めて、私が支援する給付請求での提訴を勧めている。

ご本人は、納得できないからやっているとおっしゃるが、どうせやるからには、逆転できる可能性がある方法を選ぶべきで、出直しの方が全てで有利なのである。

ご本人は、宅建主任(現在の宅建士)もやってみえた経験があり、道理は理解でき、「私は権利の上に眠っていた者ではないので、従来の裁判例とは事案が違う違う」とおっしゃるのである。

であれば、問題にしているのは消滅時効であるので、請求内容と合致していない。

多少の法律的知識があるからといって、私の作った主張構成等を理解できるわけではない(ご本人の言)とのことであるので、次回は、私の略歴書も添付して、民訴法第60条の補佐人許可申請をして、給付請求で(私は、この処分の取消しでは勝てる可能性はほとんどない旨お伝えしてある)一緒に争いましょうと勧めているのである。
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2019年05月18日

5年経過後でも提訴はできる!!


障害年金支分権消滅時効の未支給年金請求であるが、結論から言って、「年金決定通知書を受けてから5年が経過していても法的な請求はできる」と最近になって自身の考え方を改めた。

私は、従来、年金決定通知書を受けてから5年を経過している依頼者に対しては、「私の主張からいっても時効消滅していることとなるから」との説明で、不服申立てや本人訴訟支援の受任を特段の事情のある事案以外ではお断りしてきた。

しかし、国の主張・姿勢を考えると、これは間違いであったのではないかと思い始めている。

年金事務所等から、「既に時効消滅している」と説明されれば、ほとんどの国民はそのように思って、不満が残っていても、不服申立てや訴訟を諦める。

そして、実際に5年経過してしまった方の不服申立てや訴訟に対して、「5年が経過しているから請求できない」という反論は国からはほとんどないし、裁判所もこれを問題にしていないよう(今までに行ったのは、特段の事情ありとして、相応の書証を提出していたからかもしれない)である。従って、判決理由で触れられたことも一切ない。

5年経過後の提訴等では、それでも国は請求を拒めない理由を色々主張しているが、その骨子(実例抜粋)は以下のとおりである。参考にしていただければ幸甚である。

1 消滅時効の主張が信義則に反して認められない場合
最三小判 平成19年2月6日民集61巻1号122頁は、

「普通地方公共団体が、上記のような基本的な義務に反して、既に具体的な権利として発生している国民の重要な権利に関し、法令に違反してその行使を積極的に妨げるような一方的かつ統一的な取扱いをし、その行使を著しく困難にさせた結果、これを消滅時効にかからせたという極めて例外的な場合」

には、消滅時効の主張が信義則に反して認められないと判断した。

2 本件内簡に基づく年金決定通知書が国年法及び民法に違反したものであること
 被告は、本件内簡に基づき、年金決定通知書に『「年金特例法」に該当する場合を除き、平成15年9月以前の年金は、時効消滅によりお支払いはありません。」と記載し、本件不支給部分が消滅時効によって消滅している旨を通知した。
 しかし、上記のとおり、本件不支給部分の消滅時効の起算点は、平成21年1月29日付け年金決定通知書を受領した時点であり、同時点において、平成15年9月以前分の障害基礎年金は消滅時効によって消滅していなかった。
 よって、本件内簡に基づく年金決定通知書が国年法及び民法に違反したものである。

3 重要な権利であること
 本件不支給部分の障害基礎年金は、原告の生活を支えるために必要な年金であり、本件不支給部分の支給請求権は、原告の重要な権利であることは明白である。

4 被告が積極的に原告の権利行使を妨げたこと
 被告は、違法な年金決定通知書、催告書に対する回答、及び異議申立ての却下の決定書の送付によって、原告に対し、本件不支給部分が消滅時効によって消滅したものと思い込ませたのであるから、被告は積極的に原告の権利行使を妨げたといえる。

5 被告が消滅時効の主張を行うことは著しく正義に反すること
 原告は、統合失調症にり患しており、国から、年金決定通知書を受領し、それによって、本件不支給部分が消滅時効によって消滅したと通知されれば、それを信用するほかなかった。大事な年金証書を紛失し、2度まで再発行していただいている状況からも分かるように、日常生活すら満足に行えない状態だったのであり、被告による年金決定通知書の記載が違法なものであると認識しようがなかった。
 このような状態において、被告が消滅時効の主張を行うことは著しく正義に反するといわねばならない。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:10| Comment(0) | 1 障害年金