2019年12月07日

単純明快にすべき障害年金に係る行政の運用


先週の記事内容について、あるお客様から、次のようなコメントをいただいた。

「いつもお世話になっています。

障害者の障害等級は、誰かが認定しなければ決まらないと思いますが、行政行為が事実行為だとすると、障害等級を認定するのは、行政ではありませんよと言っていることになるのでしょうか?だとすると、いったい誰が障害等級を認定するのでしょうか?ここらへんで、行政の言っていることはおかしいと思います。

間違えていたら、すいません。」

通常に考えれば、おっしゃるとおりの疑問が生じます。素直な疑問で、その疑問が生じるのは国の推論におかしな点があるからだと私は考えます。だからこそ、私は、同じように考えれば、年金事務所の職員が説明もできない理屈は間違っていると断言したのです。

障害年金の認定は、裁定という行政処分で行われており、現在は厚生労働大臣(以前は、社会保険庁長官)が行っています。

国の説明では、これは単なる確認行為で、裁量権はないとしています。私は、裁量権のないのは、老齢年金だけで、障害年金には裁量権があると主張していますが、今のところ、裁判所までが裁量権はないとしています。

障害認定基準には、幾重にも、「総合判断」があり、厚労省の公表資料でも、著しい地域格差が認められ、3年間の平均不支給率が12.5%もあったのですから、裁定に裁量権のあることは明白です。

なぜ、こんな不合理な運用になってしまったかを考えると、平成7年11月7日の本村年金訴訟上告審判例にその旨の表現があるからです。しかし、それは、通算老齢年金について書かれた部分であり、障害年金とは事情が異なるのですが、裁定に係る規定が同じであるので、頭の固い裁判官は、異なる理由は見い出せないと判断してしまうのです。

規定に根拠を見付けるのであれば、裁定に係る規定ではなく、支給要件に係る規定の違い(国年法26条VS30条)を確認すべきなのですが、これが、高裁で「裁定には裁量権はない」と判断されてしまうと、実質的には、これを覆すことは不可能に近いのです。我が国では三審制を採っていますが、民事訴訟では実質二審制と言っても過言ではない現状なのです。

この事件で、私が問題にしている年金決定通知書への時効消滅した旨の「付記」ですが、仮に、国が主張するように、裁定と切り離して行われた場合でも、担当した国家公務員は法に従った行為しかできないので取扱要領等に基づき行っていることとなります。

その取扱要領は、厚生労働大臣の意思そのものであるので、この行為が行政処分でないなどと言ったことは法律的解釈としてはあり得ないことです。

従って、これらの行為は、不服申立ての困難な障害者に対して国が行う姿勢とは言い難く、一人でも多くの職員が、改善の必要性を感じてほしいところなのです。


本日は、社労士の日(12月2日)の記念事業として行われている無料相談会に出掛ける。愛知県社労士会では、先週と今週の土日で、各支部2〜3カ所で行われているが、成年後見については、2年前から(今年で3回目)各支部1カ所に限定して実施している。

私の所属する三河中支部については、他の会員に任せて、私は今年も三河西支部(刈谷市アピタ会場)の応援である。時間に余裕があれば、現場の様子をfbに投稿させていただく。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 00:37| Comment(1) | 1 障害年金

2019年11月30日

裁判における争点のずれ


私は、障害年金支分権消滅時効の問題について、本題(支分権の時効の起算日及び弁済期の法解釈誤り)と入口論(本題に対する異議申立ての却下の違法)について、国と争っており、昨日は、後者の第3回期日であった。

3回目になっても、争点そのものの認識がずれており、原告、被告及び裁判官の3者で肝心の争点が合致していないのである。

昨日は、民事訴訟にしては珍しく、その点について、少し話し合いの時間が持て(通常、提出書類の確認とそれぞれに対する陳述、及び次回期日の選定で終ってしまうことが多い。しかし、時折例外もある。金沢地裁のK.F様の事件では、次回期日は、進行協議期日である。)、その意味では有意義であった。しかし、一番大事な争点について、未だこのような状態であることに不安を覚えた。

被告だけであれば、わざとずらしていると考えられなくもないが、裁判官までが、本題に関する消滅時効の成否の有無が、本訴えに関係していると思われるような確認のための発言があったのである。

この裁判では、国家賠償法に基づく損害賠償の形式を採っていて、その損害の原因は、国家公務員の違法(本来受理すべき厚生労働大臣に対する異議申立書を違法に却下したこと)にあるとする訴えである。

そこで争点となっているのが、遡及5年を越える年金について、年金決定通知書に付記された裁定の内容である時効消滅している旨の記載の行為である。

原告は、社会保険審査会の見解に基づき、その付記は、裁定の一貫としてなされたもので、行政処分性があると主張しているのであるが、被告は、時効消滅は単なる事実行為だから行政処分性がないと主張しているのである。

時効消滅自体を裁定とは切り離して単独で捉えれば、事実行為であることに相違ない。しかし、原告が訴えていることは、裁定と同時一体不可分のものとして唯一の例外もなく行われている「付記の行為」に対する違法である。

詰まり、この付記の行為には、行政処分としての厚生労働大臣の意思が含まれており、行政処分性のある事実行為であるので、行服法の対象となることは明らかであるのだが、その争点そのものに対する認識でさえ、3者間で合致していなかったのである。

しかも、社会保険審査会は同じ問題を受理しており、関係事項については、文献を引用して十分に説明しているにも拘らずである。

障害年金支分権消滅時効の問題は複雑であるので、訴状の中では、本題との関係について分かり易く説明しているのであるが、裁判官でさえ、本題の消滅時効の成否が本訴と関係していると思っていたようであるから不安は消えない。

本題については、色々な事情があり、色々な考え方があるので、本訴とは全く関係せず、本訴はあくまで、入口論について違法な却下を問題にしている旨を明確にできた点では、昨日の期日は有効であったと評価できる。

次元の低い話ではあるが、私が関係した多くの行政訴訟に関する裁判をその観点から見てみると、肝心な争点がすれ違ったまま、原告敗訴の判決が出されている事件が思い返される。こんなことはあってはならないことと思うのだが、元裁判官であった弁護士の先生にお聞きすると、現実には、誤った判決はいくらでもあるようである。これが本件に関する裁判の実態である。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 17:18| Comment(1) | 1 障害年金

2019年11月24日

障害年金の遡及請求を勝ち得た方に −障害年金支分権消滅時効問題も審査請求期間内であれば不服申立ては受理される−


私は上記の審査請求について、審査請求自体は、受理されたのであるが、その効力は通知にも及ばないとされている違法な内簡を根拠に棄却され、これに対する不服は、社会保険審査会において、2件の事例を「事実行為」を理由に却下されたことがある。

従って、従来、事実行為についても受付けされるはずの行政不服審査法に基づく厚生労働大臣に対する異議申し立てを20件以上行ってきた。

しかし、加茂紀久男氏の裁決例による社会保険法 によると、裁定の内容には当然に時効消滅が包含されている旨を、「時効による権利の消滅は、直接法律の規定に基づいて発生する法律効果であるが、裁定請求に対する応答としての処分は、このような法律効果を含めて、当該給付の行われる時点までに生じた、給付の受給権の発生、消滅に関する一切の事実を考慮に入れた上で、その時点での受給権の有無及びその内容を公的に確認する行為であり、裁定の前提となる権利の発生・消滅に関する事項のうち、消滅時効だけが、前記処分における判断対象から除外されているということはあり得ない。」と簡潔に表現されているのである。

この表現は、最高裁判例を念頭に置いた深い意味のある内容であるのでしっかりと吟味していただきたい。

上記によれば、社会保険審査官も社会保険審査会も、裁定通知を受けてから3カ月以内の不服申立て期間内であれば、審査請求を拒否することはできず、受理せざるを得ないのである。

そして、今までは、昭和45年9月10日付け「内簡」又は「特別の法律の規定に基づかない行政措置」を理由に審査請求等が却下されてきたのであるが、そのいずれもが、裁判上の棄却理由としては認められていないのであるから、保険者国が遡及5年を越える年金の支払を拒否できる理由がなくなったのである。

なお、裁判上の理由としては、国は、上記の2点を採用せず、法律の解釈として、基本権に対する権利不行使を支分権に対する権利不行使とみなした主張をしていたのであるが、最近、このブログでも何度も説明しているように、国の推論の出発点である民法第166条1項の「権利を行使することができる時」の解釈自体が間違っていたのだから、この主張も成り立たなくなった。

一言でいって、年金事務所の職員が説明もできないような運用をすべきではないし、そのような無理のある説明が正しいわけがない。

無制限支給の当否の問題は残るが、現在の運用が違法である限り、違法・不当な支給制限には、抗議の意思表示をすべきである。

この期間は、年金決定通知書を受けてから3カ月以内という短期間(その方に最適な違法・不合理理由等の検討には相当の検討期間を要するため)であるので、該当者等は、大事なチャンスを見逃さないよう遠慮せず私に無料相談をかけていただきたい。

手続き自体も、裁判とは異なり、手数料(収入印紙代相当)も予納郵券代(郵便切手)もいらないのであるから、該当者又はその支援者等は、躊躇なく、権利の回復・救済と行政の違法を正す行動に移すべきである。



昨日は、本ブログの定期発行日であったが、愛知県社労士会三河中支部のバス旅行(交流会)でアップできなかった。朝、始発のバスで、集合場所に到着したのが、集合時間過ぎの発車2分前(勿論、その旨は幹事了解済み)で、帰宅は、終バス近くであったので、久しぶりの外出に疲れてしまいそれからのパソコン投入はできなかった。

毎週土曜日更新をご存知の定期訪問者の方からは、昨日も多くの訪問があったことが確認できるが、期待外れにさせてしまい深くお詫び申し上げます。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:53| Comment(0) | 1 障害年金