2018年02月10日

擬制自白


先週アップした第3の1の私の主張は、東京高裁の事例であったが、私は、名古屋高裁においても既に同様の主張をしている。

しかし、被控訴人は、この名古屋高裁の主張に対しては何の反論もしてこなかった。 反論したくてもできないのである。裁判所が忖度し、結果判決においては裁判所が国に味方してくれるものと思っているのかもしれない。

反論をしない理由たるや、「必要な範囲で反論すると」逃げているが、反論したくても反論できないのが実情である。 今までの被控訴人国の主張からは、反論しようと思うと沢山の矛盾が出てきてしまい反論できないのである。ありきたりな言葉で言えば、被控訴人国は グウの音も出ないのである。身体の障害に対する判決とはいえ、 最高裁判例があるのだから黙っているのが一番賢く、おかしな反論をしてボロを出すよりも寡黙を守ったのかもしれない。

しかし、これは私の主張に対して自白し認めたのと同じである。このような擬制自白のある裁判において、高等裁判所が、なおかつ国を勝たせるにはどのような理由を持ち出すのであろうか。

私は、この事件について勝訴するためには、こんなに色々な主張は必要ないと思っている。以下の一つで十分である筈と考えている。

法定条件は条件の規定が類推適用されること

障害年金の支分権が間違いなく停止条件付債権であることは、裁定が法定条件(国年法第16条)であり、「法定条件」は、「条件」の規定が類推適用される(「民法概論1民法総則」 川井健、甲第23号証、297頁8行目)ことから説明が付く。そして、その内容の一部である初診日証明も裁定請求者(受給権者)に義務付けられている。

初診日が決定しないとその後のことは一歩も前へ進まないことで普遍の真理として証明できる。従って、障害年金の裁定は、被控訴人や原審がいうように単なる確認行為ではない。

条件の規定は、単独行為には適用されない。しかし、契約の類型と比較して考察した場合も、裁定請求と裁定は、申込みと承諾の要式との関係と同じであり、別の側面から考察した場合でも、初診日証明ができていない状態は、法律行為に追完・追認を要する状態、詰り、法律行為の効力が発生していない状態であるので、裁定の前には支分権は、法律上有効となっていない。有効となっていない支分権について、消滅時効が進行することはない。

障害年金を受給するには、3つの要件が必要不可欠である。これを簡記すれば次の3要件である。

@ 被保険者期間中に初診日があること(20歳前障害は例外あり)
A 一定の期間において国年令別表又は厚年例別表1の定める障害の状態にあること(この一定の期間にも、初診日は必ず絡む。)
B 初診日の前日において保険料納付要件を満たすこと(20歳前障害は例外あり)

被控訴人のように、初診日を除いて考えれば、各支払期月の到来によって、その翌月の初日に、支分権消滅時効の進行が始まるという考え方が出てきてしまうが、実際には、そのような事態は、絶対に起こり得ない。

しかも、初診日は、裁定請求者(受給権者)に証明義務(甲第23号証、裁定請求書に記載し、医証等の提出義務がある)がある。それができなくて、障害年金の請求自体を諦めざるを得なかった人はあまた居る。

この現実を見れば、障害年金請求上の裁定(初診日証明を含む)が障害年金支分権発生の停止条件である(以下この考え方を「停止条件付債権説」という)ことは明らかであり、これは万人が認めなければならない事実である。

これは、名称や形式のことではなく、法定条件は条件に関する規定が類推適用されることになっている(同、297頁8行目)ことから明らかである。

私は、最新版の主張で、障害年金の裁定請求及び裁定には双方が避けて通れない初診日証明について、これが法定条件であり、法定条件は条件の規定が類推適用されると主張の補充をした。名称や形式を問わず、初診日証明前に支分権の法律的効果は生ぜず、消滅時効が進行し、時効が完成することはあり得ない。これは誰もが否定できない絶対的な真理である。

読者の皆様からも、この主張の弱点等があれば、ご指摘いただければ幸いである。最強の弁護士軍団でさえ、主張構成できないでいるのだから、多くの目で見れば、思わぬ見方、考え方があるかもしれない。

ここで一つ考えていただきたいのは 能力のない私が なぜこの主張構成ができたのかである。それは、私は四六時中このことを考えているからである。そして採算度外視で一生懸命にこの問題に当たりライフワークにしているからである。 加えて言えば、労働社会保険の一定の手続きにおいては、有償で受任できる唯一の資格保持者であるからである。ついでに社会保険労務士(社労士)の宣伝もしたいところであるが、次回に委ねる。これからも、この姿勢は大事なことであると思っているので宜しくお願いしたい。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:13| Comment(0) | 日記

2017年09月16日

大阪高裁控訴審 予想どおり第1回期日で結審


控訴審の第1準備書面は、先週公開した内容に、下記の第1を前文の次に加え、順次繰り下げた後、先週のブログアップの翌日これをFAX送付し、原本は、13日(水)の期日当日提出した。


第1 被控訴人の主張に欠落している点
1 裁定請求には支給決定の必然性は存在しないこと

 障害年金の支分権の消滅時効の起算点について、被控訴人の主張の根拠とする点は、いつでも裁定請求をすることができ、裁定を受ければいつでも支分権を行使することができるという点にある。
 しかし、被控訴人のこの主張は、裁定請求を行ったとしても、必ずしも、支給決定を受けることができない点を無視している。
 裁定請求を行ったことによって、当然に障害年金を受給できるのであれば、受給資格者の任意の判断によって、受給していない状態を解消することができるのであるから、裁定を受けていないことは事実上の障害といえよう。
 しかし、裁定請求を行ったとしても、厚生労働大臣の判断によっては、支給決定が必ずなされることにはならない。不支給決定を受けることがあるのである。このように、裁定請求を行っても、障害年金を受給することができるか否かは、厚生労働大臣の判断にかかっているからこそ、裁定を受けていないことは法律上の障害に該当するのである。
 被控訴人の上記主張は、裁定請求を行ったとしても、必ずしも、支給決定を受けることができない点を欠落させている。

2 老齢年金と障害年金の違いから分かる障害年金の受給要件の曖昧さ
 老齢年金は、一定の年齢に達した場合に支給されることになるが、その年齢に達したか否かは、誰がみても一目瞭然である。
 しかし、障害年金(特に、精神障害を負っている者)の場合には、老齢年金と全く事情が異なる。
老齢年金の場合の65歳到達という要件と、障害年金の国年法別表1又は別表2等との該当性を比べれば、受給要件の明確性が全く異なることは明らかである。
 被控訴人が何と言おうと、障害等級は診断書等によって総合判断されること及び障害等級をめぐって多くの審査請求や裁判が起されていること自体が老齢年金との違いを実証している。
 繰り返すが、最大の違いは、障害年金には障害認定があり、これが被控訴人のいうように受給要件を客観的に満たした時に受給権が発生するとはいえないことである。
 この障害認定には、診断書が重要な資料として機能しており、特に、精神の障害においては、日常生活能力の判定等があり、これは医師が直接見ている訳ではないので、その内容を伝える者の能力により、大きな差異が生じる。実際に、この伝え方によって、受給の可否が分かれる例も少なくない現状にある。


私は、厚労省の職員と私を証人申請していたので、それが不要なら1回で終わり、逆転勝訴と判断していた。結果は、1回で結審している。証人尋問については、裁判長は被控訴人の指定代理人に意見を聞かれた。指定代理人は「必要ないと思います。」と回答した。そこで裁判長も、裁判所としても「必要ない」と考えるので、結審すると宣告された。私は、この「必要ない」に係る二人の考えている理由は、おそらく、正反対のものであると感じたが、果して、結果はどうであろうか。私の逆転勝訴の判断の根拠は、以下のとおりである。

 裁判長が証人尋問不要と考えたのは、私の陳述書だけで十分だと考えたものと思われる。(別の言い方をすれば、控訴人が証明したいことを、証拠(証人尋問)により証明する機会を奪い、それによる控訴人敗訴は、公平を旨とする裁判所では採り辛い。)

 大阪高裁では、訴訟救助の申立ての疎明でも、勝訴見込みありと判断していたこと。

 今回の第1準備書面で、時効完成の立証責任は被控訴人にあり(年金法の受給権保護規定)、それが果たされていないことを明確に主張していること。

 被控訴人の答弁書には、被成年後見人の事理弁識能力については、何の反論もなかったこと。

  である。

本訴の原審は7回の期日の後結審している。名古屋地裁の2回とは違い、十分議論してるので、私は、高裁は1回で、控訴理由書と今回の第1準備書面で十分と考えている。判決は、11月17日(金)13:15 である。読者の皆様の予想はいかがなものでしょうか。楽しみにしていてください。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:16| Comment(0) | 日記