2013年12月14日

充実した一日

 昨日は、ほとんど名古屋に居たのだが、満足できる充実した佳き一日であった。一昨日、先週のグログ、生の声版の二人目の投稿者F.Sさんの訂正済みの診断書がN大学附属病院から届いた。訂正というより、ほとんど作り直しである。私の指摘したカ所は全て直してあり、待ちに待ったものだ。幾ら上司でも、他の医師が一旦作ったものを簡単には直せないと伺っていたので、面談後とはいうものの例外中の例外であると感謝している。内容は、ほぼ期待したとおりのもので、強力な武器を得た感じだ。これを得るためにどれだけ苦労したことか。

 実は、この外にも彼女に関係の深い内科医に、当時の日常生活能力についてだけでも意見をいただこうと、意見書と依頼文を出していたのです。今でも通院している近くのT内科医院、当時入退院を繰り返していたT.N病院です。前者には、「当時のことは見ていないので書けない」と断られ、後者には、「参考診断書までの協力が精一杯で、これ以上は何もできない」と断られていた。前者は兎も角として、後者には、当時の日常生活を記載したカルテがあるのではないかと期待したのですが、流石に内科医が精神科に関する記載は、例え、日常生活能力に限定しても書けないようである。

 しかし、かつて、保険会社に提出した日にちの違う診断書を数枚書いてくれていたり、F.Sさんからは、「事務の方も当時の方と一緒」と聴いていたので、少し期待していたのだが甘かった。この病院には、「自殺企図」の大きな情報をいただいているので、感謝こそすれ不満はないが、医師の良心と思える頑なさに意見書の入手は阻まれてしまった。

 結果、一番ほしかったN大学附属病院から、意見書ではなく、期待通りの診断書がいただけたのだから、こんなに嬉しいことはなく、早速、昨日、担当の社会保険審査官に届けてきた。本当の担当者はお休みであったのだが、向い合せの机にみえる、幻の障害年金問題でお世話になっている社会保険審査官にお預けしてきた。

 余りの嬉しさに、先週の続きのようなことを書いてしまったが、本日の主題は幻の障害年金と法的対応能力養成講座の話である。過日、裁決例による 社会保険法 加茂紀久男著を拾い読みしていて、保険者代理人(国)が、社会保険審査会の公開審理の席上、既に、平成8年11月時点で、「裁定前には、支分権の消滅時効は進行しない旨」の見解を表明している事実を確認した。これでは国は、社会保険審査会向けの顔と、受給権者等向けの全く正反対の二つの顔を持つことになり、法律の専門家でなくても到底許せることではない筈だ。従って、これを審査請求書の補充意見として提出した。

 冒頭、担当社会保険審査官から、申し訳ありませんが、「この問題は、私では結論を出せない。公開審理の場のある社会保険審査会で判断してもらった方が良い問題である」旨の発言を得た。予測はしていたものの、少し失望したが、A厚生局のY社会保険審査官のように、無理矢理屁理屈を述べて行き成り却下するよりも余ほど良心的だ。

 想定範囲内のことで、着手金の料金にセット割引を設けているくらいだが、この場合、どのような理由が書かれるのかは見当が付かない。「前例がない」等になるのですか、と打診したが、「前例がない」とは書かないという。このような場合、結論を保留したまま、社会保険審査会に移送する方法が許されているのであろうか。残念だが幾ら考えても分からない。

 この日は忙しく、午後3時から7時までは、9月28日(土)のブログで紹介した、専門コース研修(労働実務)法的対応能力養成講座の第7回講義の日でもあった。この研修は、3県合同の企画で行われているが、社労士法の第8次法改正に向け、社労士全体の法的対応能力の向上が期待されているところであり、他の都府県会にもお勧めしたいくらいだ。少し、程度は高いが、努力すれば最善の程度に替えられる筈だ。先生の感性と雑談を含めた解説等が実に適切で、示唆を与えてくれるところが多い。私は、休憩時間や講演後にしばしば質問をさせていただいている。その回答も簡潔明瞭で実に素晴らしい。また、先生はサービス精神も旺盛で、お忙しいのにも拘わらず、研修終了後の5月頃には、レジュメ集を作って渡してくださるという。

 ここでは、その回答までは書けないが、最近の私の質問は以下の4つである。なお、Q2及びQ3は、ある事例問題に関しての、論点探しに関する休憩時間を利用した質問である。これについては、先生から「同じ疑問を持っている人もみえるかもしれないので、皆の前で質問してくれると有難い」言われてしまい、公開されてしまったが、仮定の問題が入ることと、恥ずかしさから個人的な質問になってしまった。

Q1 時効の援用効の大審院判決(大判昭9.10.3)と現行の取扱い
Q2 従業員ゼロの合同労組の労働組合性
Q3 弁護士3名による団体交渉の有効性
Q4 行政事件訴訟法第14条1項及び2項の「出訴期間の遅れた場合の正当な理由書作成業務等」の業務上受任は弁護士法第72条に抵触するか

 最後の9回目は、模擬裁判であるが、それ以外は、一貫して、基本事項の確認講義と事例研究で、訴状・答弁書の作成と論点探り等である。先生曰く、この論点を間違えると裁判では負けてしまう。私も全く同感で、色々なケースで目の当たりにしている。従って、実務では、極めて重要な作業だ。

 11月16日(土)に紹介した広島高裁岡山支部の事件は、私が成年後見人として争った事件と全くと言っていいほど類似した事件で、名古屋高裁の判決文まで出しているのに、なぜ高裁でも負けてしまったのか。

 これは、争うべき論点が違っていたというほか言いようがない。以下は、論点の表現ではなく、主張内容で表現しているが、主な違いを比較すると以下のようになる。

受給権者側の主張
1 情報提供義務違反(国民の約4割しか障害年金を知らない)
2 年金時効特例法の趣旨類推適用
3 信義則違反
4 国家賠償法による責任追及
【結審前に、支分権の起算点は、裁定通知が届いた翌日である旨を主張している。(間に合っている筈が採用されていない。これは、裁判官の考え方の違いではないように感じる)】

私の主張
1 支分権の独立性(基本権への権利不行使は当然には支分権に接続されない)
2 国第16条には、既に定着した最高裁判例がある。(裁定前には支分権は行使不能)
3 いつでも行使できるのは、基本権だけである。(民法第166条1項)
4 この場合の支払期月は、国第18条3項但書き適用である。(納期未到来)
5 障害年金は、停止条件付き債権的債権である。(障害年金の特殊性)
6 国の運用は、時効援用の国会答弁に反する。
7 障害年金と老齢年金、及び遺族年金とは手続き上も大きく違う。(国の情報提供努力等。重度の精神障碍者の場合、裁定請求が遅れたことに本人の落度は全くない。)
8 支分権は具体的請求債権である。(金額未定では、請求も支払いもできない)
9 国の行為は、実際の運用と裁判での主張が異なる。(約2カ月分の誤差が生じている)
10 裁定(決定)通知書の「時効消滅不支給通知部分」には、行政処分性はない。
11 上記10以外の不支給理由は、デュー・プロセス上なお更見付からない。
12 会計法第31条2項(援用を要せず、放棄もできない)は、時効が完成してからの問題である。本件は未だ時効が完成していない。
13 国は、上記2を、既に平成8年11月に認めている。
14 国の誤りは、「時効援用しない事務処理誤りに係る認定基準」に該当する
(平成24年9月7日)(年管発0907第6号)
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:42| Comment(0) | 11 所感
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: