2013年12月07日

障害年金という制度は問題だらけ!!  制度そのものの認知度も低い

 私は地方都市に住む、高2と中3の息子を持つ元主婦 S.F です。今年の2月に、事後重症による障害厚生年金2級の認定を受け、少しは生活が安定しましたが、受給権を得るまでの過程で、公的年金制度の問題点に気付き不満を持っている者です。

 今までの苦労話、事後重症認定への不満、おかしな年金制度・運用について述べさせていただきます。少しでも、無年金障害者の減少に貢献できれば幸いです。

 私自身、障害年金については、無関心で、老齢年金の名前程度しか知りませんでした。去年の8月に退職した会社の健康保険組合からの手紙によって初めて知った事です。

 平成4年から過食嘔吐とパニック障害があり、入退院を繰り返し病名もわからずに苦しんでいました。平成19年ころから長年介護した母と、リハビリのため老人介護施設に入所していた父の急死という不幸に重ねて遭遇しました。加えて、勤務先でのパワハラや同僚の苛め、舅、姑との不仲、夫の子供に対する暴力等の影響で症状が悪化し、職場も長期休業ののち、退職を余儀なくされました。

 退職後、1年半は会社の健康保険組合から「傷病手当金」を貰っていたのですが、傷病手当金が打ち切りになった後、健康保険組合から、1年半通院しても治らない病気の場合「障害年金が申請可能な場合がある」旨の手紙が届きました。

 それまでは年金というと、お年寄りが60歳過ぎくらいに国からもらえるお金…位にしか考えていませんでした。それからはインターネットで障害年金のことを検索し、何日も彼方此方のサイトを見て自分なりに勉強しました。

 障害年金の申請には、「初診日」、「障害認定日」が重要であること。また、病院でそれぞれ証明できるような「診断書」や「初診日証明書」が必要であること。そして自分で障害年金を申請することが難しい事、さらには5年を過ぎた障害年金については「時効」があるという事。「自分が障害年金を申請できるかもしれないと分かったその時点で既に時効が成立している!?」 おかしな話だと思いました。

 そこで障害年金を専門になさっている社会保険労務士さん何人かに相談のメールをお送りしました。すぐに皆さん返事はくださったのですが、どれも私自身が納得できるような内容の返答ではありませんでした。

 そのうちの一人の社労士さんは「障害年金専門」とHPに謳っていたのですが、5年以上前の年金は時効が成立しており、請求は無理であるという事と、初診のころから現在の病名、症状を教えて欲しいとの返事でした。しかも病歴就労状況については詳しく私が書かなくても、病名と簡単な症状をメールで知らせてくれれば障害年金申請が通るように適当に重症になるように文章を社労士側で作るとの返事でした。

 これには驚きました。私は本当に困って障害年金について相談をしているのに、大勢いる相談者のうち一人くらい不需給になっても構わないと思って受けているのではと強い不信感を持ちました。これでは、不正受給者と疑われても不思議ではありません。

 そんな中、木戸様だけは違っていました。私の最初の断片的なメールの内容から発症当時からの時系列表を作って送ってくださったのです。まだ依頼をするとも電話で話したことも無い、全く知らない相手(私)なのにこれほど親身に対応してくださるとは正直、ビックリして天からの助けだと思いました。

 木戸様は、「遠方だから、ご主人とよく相談されて決めてください」とおっしゃいましたが、すぐに木戸様に障害年金申請を依頼することに決めました。診断書や初診証明書の手続きをしたのですが、過食嘔吐やパニック障害が出たのが平成4年頃からなので、20年以上前に遡って当時の病院へ何十回も足を運びました。幸いにも初診の病院にはカルテは残っていたのですが、主治医が開業のため退職した後でした。それから当時の状態で診断書を書いてもらうため、木戸様の助言や指示を頂きながら長い戦い?が始まりました。

 今の心療内科へは平成21年から通っており、先生は「通院して1年半を経過しているので、障害年金申請は出来るでしょう」と仰ってくださいました。

 会社から傷病手当金を貰っていた時の診断書の病名は「うつ病」でしたが、障害年金申請の際の病名について先生から「今までの状態や症状などから高汎性発達障害です」と説明されました。平成4年から大学病院をはじめとし、実に10個所以上の病院を転々とし診てもらっても、ずっとわからずにいた病名を初めて聞かされました。

 障害年金をもらうことは「とても難しい」という事をインターネットで検索していた時にあるサイトで知り、精神疾患で障害年金をもらうのがそんなに難しいの? と半信半疑でしたが、実際に体験した今はこう思います。
 
 「難しいにもほどがある!!」と……。

でも私がそう思う理由は、皆さんが考えている理由とは違うかもしれません。

 精神疾患で障害年金が難しい理由は、審査基準がものすごく高く極めて重度のうつ病患者しか対象でないから、というわけではなく

 『障害状態の証明としての診断書が、適切に作成されない』ことにあると思います。

 色々な事情で、当時のカルテ自体がないことも少なくありませんが、医師は診断書作成の素人であり、適切な診断書を書けないのです。

 精神科医は治療の専門家ですが、障害年金の診断書を書くプロではなく、主治医は正確な診断書を作成することができないのです。

 私は摂食障害と診断されていて、事前にお渡しした症状の時系列経過表にも食事にいかに苦しんでいるかといった記載もたくさんあるのにもかかわらず、診断書の日常生活の状況の「適切な食事」の判定が4段階評価中2番目の「自発的にできる」となっていました。

 実際には、障害認定日当時が一番重い症状なのに、認定日請求(遡及請求)が不支給になってしまいました。これには納得できないので不服申立てを申請することにしました。審査請求で勝つためには、最初の申請で問題になった認定日の診断書の訂正を、精神科の医師にお願いするほかはありません。

 裁定請求時の診断書は、誤った書かれ方をしたところが何カ所もありました。

●適切な食事 → 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする。
過食嘔吐で入退院を繰り返しているのに?

●金銭管理 → 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする。
食べ物を買うのに仕事をしていないためお金がなく、返す当てもなく複数の消費者金融から借金をしていたのに?

●身辺の安全管理及び危機対応 → 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする。
何度もリストカットをし、睡眠導入剤の処方された量を守らなくても?

●高卒なのに中卒?
●入院中なのに在宅?
●入院しているのに家庭内の日常生活が普通にできる?

 これに対しては、木戸様に修正依頼文を書いていただき、それを持って何度も病院の文書科へ足を運び、お願いしたのですが、直していただけたのは「中卒を高卒」、「在宅を入院」にしてくれただけでした。

 最初の診断書では上記のとおり、あまりにも事実と違った軽い病状の診断書となり認定日請求は不支給となりました。当時は入退院を繰り返しており、一番症状が重かったのにです。

 それから不服申し立てのために、当時の私の状態が分かる資料を用意し、診断書の訂正か、意見書への記名押印、訂正、追記等をいただきたい旨、木戸様が精神科の医師に再度依頼文を書いてくださいました。

 振り返れば、裁定請求当時の現症に関する診断書はすんなりと書いていただけたのですが、認定日当時のカルテに情報が少なく診断書には実際よりも軽傷の表現になっていました。最初に審査請求のための訂正を依頼したのが今年の9月中旬ですが、当時の診断書作成医は転籍しており、やっと今になって病院の外来部長の先生と面談をし、診断書を書き直してくださるとのお返事をいただきました。

 今回の申請体験で障害年金制度の問題の多さと大きさを痛感しました。適切な受給権を得るためには、実に多くの知識と配慮を要求されます。

 これから障害年金の申請をする方には、無策無対策の安易な申請で無年金障害者にならないで欲しいと思います。

 ただ何も考えずに申請するというだけでは本当は受給資格がある人でさえも審査に通らない。障害年金制度というのは、理不尽な落とし穴だらけなのです。本当に障害年金を受給すべき人も受給できない、本当に助けが必要な人も救われていない。これが日本の年金制度の現実です。そんな年金制度、仕組みになってしまっていると本当に強く感じました。

 TVのNHKやミヤネ屋でも消えた年金の特集番組を放送していましたが、遺族年金や老齢年金ばかりを取り上げているように感じます。私は消えた年金の事、障害年金の受給を知った時には時効が成立しているという不合理な内容について、ミヤネ屋の読売テレビとNHKに何度もメールしましたが返事は未だありません。

 もっと厚生労働省も障害年金を広めるように、広報の方でも、もっと動いてほしいと思います。



 事務所代表のコメント
 今週は、生の声版第2弾をお届けしました。3人程度まではお許しいただけるものと勝手に判断しています。

 本件の裁定請求は当初から2つの点で難しい面がありました。一つは、長期間の継続的な勤務ではないが、厚生年金に加入している企業だけでも7社に勤務しており、卓越したIT技術を持っているので、再就職時にも、難なく再就職を果していること。今一つは、障害認定時の傷病名が摂食障害であったことです。

 前者については、いずれの企業の場合も、研修期間が終わるころから体調不良になり、遅刻、早退、欠勤が続き、退職を余儀なくされており、保険者には、この点を分かり易く説明したのですが、保険者の見方は矢張り厳しいものでした。後者については、病歴・就労状況等申立書で、実質について、十分な説明をしましたが、分かってもらえない部分が露呈しました。

 これらについては、審査請求時に、書証を添付し、障害認定日にも2級該当である旨を証明していくことになります。

 ご本人も、「障害年金制度というのは、理不尽な落とし穴だらけなのです。本当に障害年金を受給すべき人も受給できない、本当に助けが必要な人も救われていない。」と言ってみえるように、難しい側面があります。本件について具体的に述べれば、今でこそ、すんなり表現してみえますが、リストカットのことも、多重債務のことも、最初にお話ししたときには出てこないのです。前者については、入院を繰り返していた病院の参考診断書に「自殺企図」の表現を見付け、質問して表に現れました。後者については、最初の診断書の表現に疑問を持って質問を繰り返していて、4社ほどの消費者金融で借りていたことを話してもらえました。それが分かってもそれを証明する手段が大変です。

 この方の「生の声」は、次回に審査請求関係につき掲載していただきますので、ご期待ください。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:16| Comment(0) | 1 障害年金
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