2013年10月05日

幻の障害年金支払い請求手続きに新たなケース

 朝日新聞が、「私の視点」で記事投稿を採り上げてくれ、早いもので3週間が経つ。未だに日によっては、2〜3件の問い合わせがある。主に電話での照会となるので大変である。メールのできる人にはアドレスをお聴きするが、未だに、ご本人の奥様お一人がヒットしただけだ。車の運転中に、転送先に指定してあるスマホが鳴ったり、会議中、接客中のことは日常だ。

 この度、正式に裁定から6年半超経過しているケースを受任した。変わった案件としては、3例目である。以前のブログでは、裁定から10年以上経過した人からの依頼を、私の力ではどうしようもなく、お断りした旨記載したが、今度はどうして受けたのか、という疑問が湧くかもしれない。

 勿論、その方が、勝てないかもしれないことを理解した上で、悔いを残したくないから是非とも受けてほしいと言われたのが一番の受任理由だが、次の事由にもよる。

 その人は、この6年半超の間、一貫して国の不合理・不誠実を主張し、国からも何通かの回答書をもらっているのだ。この辺の粘りは私の軌跡と酷似している。この回答書には、国の考え方がお決まりの文言で書かれているのだが、回答する方はそれが正しいことだと思っているので、お客様の怒りを収めるための、リップサービス的な文言も入れる。もっと、具体的にいえば、「今後とも、お客様に対する十分な説明、信頼される対応を旨とし、お客様の立場に立った親切丁寧なサービスの提供を行ってまいる所存です」といった文言を回答書に入れているのだ。

 国が、このような対応をしておきながら、裁定から5年 + 6カ月経過(催告のある場合、Max)していることを理由に、時効の援用をすれば、民法第1条2項の信義則違反、同条第3項の権利の濫用に当る、と私は判断した。また、別の側面から見れば、これだけの回答書が揃っておれば、国家賠償法に基づき損害賠償請求すれば、ほぼ間違いなく勝てる状況にある。私が、裁判を受任することはできないので、その時は、弁護士に引き継ぐことになるが、国は、ほぼ確実に負ける国家賠償法を選ばないだろうと予測している。そちらを選べば、相手は手強い弁護士ゆえ、国は二重の不利を担ぐことになる。

 当初、思ってもいなかった遺族年金の事件を受けたり、裁定から5年(催告の無い場合)を経過する事件を受けたり、幻の障害年金も色々の展開を見せてきた。世の中広いようで狭く、私の書いた事例と病名も、裁定請求が遅れた事由も、窓口の対応も、消された期間まで全く一緒という方もみえた。中には涙ながらに話される方もみえる。訴えたい気持ちも分かるし、不満も分かる。ジーンとくるのを堪えてできるだけ冷静に対応するのだが、ご本人、ご家族の皆様の健康を願わずにはおられない。遠方の方が多く、一人住まいの方もみえ、障害者ご本人の問い合わせの方が多いので、、突然電話も繋がらなくなってしまうと心配だ。

 裁定請求の遅れた理由も色々あるが、特に、胸を詰まらせるのは、「親として障害を認めたくないから躊躇していた」という事由がある。言い替えれば、ご本人は統合失調症で裁定請求できる能力は全くないことを意味している。しかし、その不利益は本人に帰属し、国は、この遅れた事由は、「法律的な障碍に該当しない」という。また、裁定請求手続き時に、窓口の担当者から、「5年遡及を越える分は不支給承知」の旨の記名・押印をさせられたと憤慨している方もみえる。これでもう請求できないと思ってみえる方もみえるし、印を押して良いかどうかの質問もある。これには、印を押さなければ先に進まず、印を押したことは権利を放棄したことにはならないので、と押印を促している。

 過日は、北海道の女性弁護士からの問い合わせの概要を紹介したが、昨日は東京の男性弁護士から問い合わせがあった。しかし、過日同様、弁護士が受任して、本当にお客様のためになるのか不安を感じた。

 昨日は、思い切って、裁判とした場合、今の段階では、必ず控訴され、上告受理申立てとなるので、私は、お客様には、3つの先例がある社会保険審査会の裁決を目指すことをお勧めしている旨話した。その先例を教えてほしいという。取り敢えず、メールで依頼してほしい旨伝え電話を切ったが、「障害者から高い着手金を取らないでほしい」というのが私の本心だ。これからは、直截、着手金の額と、次に進んだ場合の取扱いをくらいは聴いてから情報提供しようと思案中である。「弁護士=全て善人」とは限らないので心配だ。いっそのこと、アドバイスをしない方がお客様のためになるかもしれないと迷っている。今後は、きっぱりと、「障害者が高い着手金を支払うことは(1回とは限らない)、障害者のためにはならないと思っているのでお断りします」と言うべきか。これを実行すれば、立ち入ったことに踏み込まずに済む。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:31| Comment(0) | 1 障害年金
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