私は、現在、中部3県の社労士会合同の研修、「法的対応能力養成講座」を受講している。原則1〜2カ月に1度、金曜日に15時から19時まで開かれる。ほぼ毎回宿題が出され、任意提出ではあるが、今回は6人が回答を寄せた。受講生は300名ほどいると思われるので、宿題の提出率は2%である。この講座は、連続3年目だが、私は2回目の参加で、事情は詳しくない。聞くところによると、講師が厳しく、散々酷評されるので、宿題を提出する人は少ないという。個人的には、その方が楽しく為になると思うのだが、そのように考える人は少ないようだ。
講師は、藤川久昭青山学院大学法学部教授、弁護士、株式会社DeNA監査役である。マイクが要らないくらい声が大きく、毎回懇親会に参加していただける気さくな人柄の東大法学部卒の秀才である。昨年は、3時間/1回、8講座であったが、今年は、それでは時間が足りないと、自ら提案されて、4時間/1回、9講座になった経緯がある。熱血漢であるので、時折、経験された出来事に関する所感が聞けて楽しい。
今日のテーマは、この講座での1回目の宿題に関するものである。この宿題は、ある中堅規模の会社の上級管理職が二人、ほぼ期を一にして退職し、過去2年分の時間外手当等を請求した事件の訴状を作成する内容であった。2回目の宿題が、これらの訴状の一つを選び、選んだ訴状に対する答弁書と証拠説明書を作る内容であり、提出期限が迫っていたので、私も出された訴状を比較することとなった。出題とは違った事例について回答した1つを除き、5つの回答を見て、余りの違いに感ずるところ多く本日のテーマにした。
ざっと、主な違いについて述べる。1 訴訟物の価額:328万円から3,006万円、2 時間外賃金みなし(定額制)賃金分:控除した者2名、しない者3名、3 原告の表記:二人を区分しない者2名、区分した者3名、4 遅延損害金の起算日@賃確法(14.6%適用)関係:請求なし1名、賃金支払い日の翌日起算1名、退職日1名、退職日の翌日2名、A賃確法以外:ア 法定利率 :6% 1名、5% 4名、イ 起算日:各賃金支払い日の翌日1名、判決確定日の翌日4名、5 請求根拠(マルチアンサー):労働時間管理の客観的記録なし1名、時間外勤務等が常態化1名、黙示の命令1名、指揮命令下1名、労務提供の事実3名、追認!?1名、みなし労働時間制かつノー管理1名、割増賃金請求権の存在2名、6 付加金の請求:しない1名、する4名といった概要である。
おそらく、訴状の作成を本職とする弁護士であれば、これほどのバラツキは出なかったものと推測する。勿論、労働問題は、答があって無いようなところがあるが、それにつけても、バラツキが過ぎる。勿論、この中には、基本となる考え方一つで、方向も大きさも変わって来る性質のものもある。
問題は、本来全員が一致すべき事柄まで、バラついていることだ。社労士法等の規制上、我々がすぐに、業務上訴状を提出することはないが、あっせん、調停、審査請求、及び再審査請求には、既に携わっている。
私は、これではお客様に安心して事件を依頼していいただける状態ではないと現状把握する。お客様が、どの社労士を選んでも、基本的な部分では、全て、お客様の権利が全うされるよう、業界全体の力を向上させる必要を痛感する。逆に、根拠のない社労士の主張により、お客様が振り回されるようなことがあってはならないので、自らの法的対応能力についても、早急に向上させたい。
2013年09月28日
考え方次第で大きな違い!?
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:49| Comment(0)
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