労働契約法及び高年齢者雇用安定法の改正に伴い、その多くが非正規社員である有期雇用労働者をかかえる中小企業の経営者は、現在、無期転換制度と現在の就業規則や労働協約との複雑な関係に直面し、大変な状況に陥っています。大変な状況というのは大きく二つに分かれます。その一つは、法改正の趣旨が理解できず、不要な心配をしている場合です。他の一つは、ある程度法改正の趣旨は理解しているが、自社の雇用の実態が、法改正の趣旨どおりに実施できないような、幾つかの事由がある場合です。
後者については、改正法自体が、経営者に理不尽な無理なことまでを要求していないこと、及び、経営者自身が、ある程度問題を認識し、時期的なことも含め、相応の対策を考えているのでそれほど心配にはならないが、問題は前者です。
前者の経営者は、不安が膨らみ対応策も方向も分からないので、効果のない余分な事をいくつも行ってしまいます。しかし最近は、これらに対応可能な、通達、解説書、マニュアル本等が幾つか出てきています。会社によっては、今年3月までにしなければならないことが沢山あるので、必然的に、解説書等も、段々と分かり易く具体的になってきています。 これらを読んで理解できる 経営者は良いのですが、誤解してしまう可能性のある場合は、これらの内容に詳しい社会保険労務士や弁護士に相談されるのが最善と思われます。後からではどうにもならない問題もあるので、この見極めはしっかり行っていただきたいと思います。
ここでは改正法について、労働契約法の雇い止め法理についてのみ述べます。労働契約法第18条(平成25年4月1日からは、19条となる)の適用について言えば、一つは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態が存在した場合、いま一つは、労働者が期間満了後の雇用の継続を期待することに合理性が認められる場合です。 前者が東芝柳町工場事件の最高裁判例の考え方を採ったもので、後者は日立メディコ事件の最高裁判例の考え方を採ったものです。
現在では、前者の場合はほとんど見当たらないので、現実の対応としては、後者の場合について考えれば良いものと思います。また、いわゆる純粋型の有期雇用の場合、期間が長期になったとはいえ、原則どおり期間満了をもって雇用契約は終了になります。経営者が本当に心配しているのは、やる気も無く、健康にもすぐれず、何度注意しても悪癖が治らないやる気も能力のない者に対してまで継続雇用しなければならなくなるのではないかという不安です。しかし、このような場合、改正法自体が、懲戒解雇、及び退職事由に該当するような場合にまで、継続雇用を要請していないので、本来は全く心配要らないことなのです。しかし、従業員の不始末等について、きちっと書類に残してない会社が多いので、実際に契約を終了させるときには安心できる状態でない場合が多いようです。
これからは、顧問社労士の腕の試される機会が増えるものと推測しています。
2013年02月09日
有期労働者に関する法改正対応策
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 23:04| Comment(0)
| 3 人事・労務
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