私は、2011、11、2の、「グログを始めるに当って」、において、「ある状況にある人には朗報となるべき活動をしている」、と書きましたが、この内容が、標記記事タイトルのことです。
一昨日、私が成年後見人として、訴訟代理人をしているある事件の地裁(第一審)判決がありました。私は、この判決において、画期的な判断の出ることを期待したのですが、無理でした。判決文自体、理路整然としており、双方の言い分も良く理解していただいている内容で、16ページにも及ぶ内容でしたが、一点の矛盾点もなく、現行法制下では概ね妥当な判決と評価できるものでした。しかし、この内容のテーマは、法令の解釈が明確になっていない不透明な部分が多い、廻間に当る部分ですので、私は、やや、法的安定性に重きを置き過ぎた判決と感じました。
「画期的な判断」、という意味は、障害基礎年金の支分権(基本権に基づいて各支払期月(隔月偶数月)ごとに支払われるべき具体的な年金を受給する権利のこと)は、公的年金では、数十年に亘り、裁定請求前の、仮の支払期月の翌月初日から起算して、順次5年を経過することにより消滅時効が完成するという保険者(国)の運用・解釈に対して、その権利を実際に行使する機会もない状態で消滅させてしまって、本当にそれでいいの?という考え方のことを言います。
実社会において、どこに問題があるのかを実例で示さないと分かりずらいので、単純化した例で示します。一級、又は二級の障害等級に該当すると支給要件の一つを満たす訳ですが、多くの人たちがその内容を知りません。また、例えば、精神障害の場合ですと、被保険者自身が、自分が障害を負っていると思っていない人も多くいます。我が国では、これは概数ですが、約700万人の障害者がいると言われています。その内、約200万人が障害年金を受給しているそうです。すると、残りの500万人は、被保険者でないとか、障害等級に該当しないとか、障害者と認識していないとか、公的年金は受給しなくても良いと思っているとか、色々な人がみえる訳です。
問題は、この500万人の中に、障害年金の制度が分かりにくかったり、その他種々の事由で、本当は障害年金を受けられるものなら受けたいという人が沢山いることです。
単純に分かり易い事例で示せば、上記の事情で、10年、15年と遅れて裁定請求する人が相当数存在することです。15年の例で言えば、保険者は5年分は一括支給してくれていますが、残りの約10年分は消滅時効の完成を理由に不支給としているのです。困ったことに、当人は障害を負っているので、経済的に困窮している人が多いという現実です。これを、おかしい、と考える医師、及び弁護士の方たちは、多くみえます(社労士は少ないですね)。何がおかしいかと言えば、現行の保険者の運用・解釈ですと、具体的な年金を受給できる権利である支分権が、支給期月や支給額が具体化しない内に消滅時効が完成してしまっているということです。私は、公的年金制度は、国民生活にとって重要な制度ですので、合理的でない部分は、できるだけ早期に改善しなければならないと考えています。
私は、この活動を、裁判、オピニオンリーダーを巻き込んだ法改正活動、地道な市民活動等により一歩一歩進めていく積りですので、支援者を一人でも多くしたいと継続的に運動しています。
今回は、朗報をお伝えすることができず、残念です。
2011年11月26日
障害基礎年金の消滅時効の起算日の適正化について
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 22:45| Comment(0)
| 1 障害年金
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