2022年06月18日

30年以上も 国と争い通したK.F氏


石川県羽昨郡のK.F氏は国による 裁定請求の受付自体の 拒否行為 及び遡及請求が 認められてからの 訴求5年間支給制限に対し 一貫して 争い続け 最終的には 30年間以上もの間 その意志を 貫き通した

事の始まりは 年金事務所等の 裁定請求の 意思表示に対して 受付はもちろん 裁定請求様式の 交付拒否 の 継続にある

この方の障害は 生後5 〜6ヶ月から 10ヶ月くらいの間に 囲炉裏に転落し火傷により 右手の5指を 失くした障害である

この場合 障害年金について考えた場合 二十歳前障害に該当する

この方があの有名な中坊公平弁護士の強い勧めで 裁定請求の意思表示を始めたのは昭和63年頃からであるが 年金事務所等は裁定請求の受付はもちろん 裁定請求様式の公布さえ 拒み続けた

その理由は初診日が 何年何月何日と 特定できなければ 請求できないというものであった

確かに 年金事務所等の 当時の運用はそのような指導をするよう 規定されていたようであるが 事の 本質から考えれば 二十歳前障害であれば 何年何月何日とまで特定しなくても 二十歳前障害に 該当することが 確認でき 初診日要件としては十分であるところ この点につき 深く考えることなく 拒否し続けたのである

この方は色々な面で運も良かった

時系列的に述べれば 第1は 中坊公平弁護士に 会えたことである

年金事務所等を13回にもわたり 訪問し続けられたことは 中坊先生が 「障害年金が 絶対にもらえる」と言われるからには 裁定請求様式を手に入れ丁寧に分かり易く申請書を提出すれば 支給されるに違いないと考えたことにある

そして実際に裁定請求が 受け付けられた 前年には 親切な担当者に出会い 「F様大丈夫ですよ 私の妹も障害者で障害年金を受給しています」 等と 励ましてくれた 担当者もいたのである

実際に裁定請求をして 遡及請求が 認められた後の審査請求や 再審査請求 提訴等に関しては 地元の弁護士が お二人揃って 「99.9%勝てない 止めておけ」とおっしゃったことに対して 新聞記事等から 私を探して電話をしてきて その後 長時間をかけ 3回も 事務所を訪問しているのである

社労士 多しといえども この事件に関する国の運用が 間違っていると 名言できる社労士は少ないのである

ここで 私は ご自分の認識として 請求人が年金事務所等に対して 継続していた行為は 一貫して裁定請求の意思表示であるということを 自覚していただいた

しかし私が 受任したときは すでに ご自分で 審査請求 再審査請求 提訴にまで 進められておりその 請求の趣旨は 「処分の取消」であった ので このまま進めば 却下の可能性が 極めて高いものであった

実際に 請求が認容された後も 信義則違反の請求も棄却され 国家賠償に基づく 損害賠償請求の側面のみであるので そのことを考えれば 容易に ご想像いただけると思われる

ところが運のいいことに 被告国は2回目の準備書面で 答弁の趣旨を 「棄却」から「却下」に 訂正してきたのである

私は これをチャンスとばかり 提出済みの訴状を提出し訴状の内容を 全面的に入れ替えた

つまり 請求の趣旨は 「処分の取消」ではなく 実質的当事者訴訟として 「消滅時効の成否」の問題に置き替えたのである

実際の裁判の世界は 必ずしも 論理に従った 進行に なっているとは限らない

従って いくら国の運用が 誤っていると主張しても これはなかなか 裁判所が認めてくれるものではない

そこで 併せて 信義則違反及び 国家賠償法に基づく 損害賠償請求の 主張を展開する必要があるが この件に関し 抜群の 能力と経験を有する 弁護士に受任を 要請することでK.F氏と協議をした

協議は整ったが K . Fには 弁護士に支払うべき 通常の着手金を 支払える 用意はない

そこで失礼を承知で 私が その弁護士に 電話をし 請求者の事情を話し 着手金については 形ばかりの金額として 勝訴した時に清算する方式で 受任していただけるものかどうかの打診をした

これに対して 神戸の S . F 弁護士は 本人の説明を聞いて 勝てると確信した時は その条件で良いとおっしゃったのである

この先生と 綿密な連絡をし 進めた第一審はいずれの請求も認められず敗訴した

これに対して もちろん控訴をしたが これも 本来は 信義則違反の 請求が 認められてしかるべきところ 国家賠償法を認めると言う 判決が下された

国は そうそうたるたる メンバーを 指定代理人に 26人も並べ 上告受理申立をしてきたが これに対しては 最高裁第三小法廷が 三行半の定型文により 受付を 拒否した

私に言わせれば このような事件に対してまで国が上告受理申立てを してくること自体おかしなことであるが 国としても 十分に 協議して後の判断と思われるので この結果を深く 反省の材料として頂きたく思うところである

特段の事情のある事案とはいえ 現実に勝訴確定させた実績を積み上げたことは 大きな意義のあることである

中に入ってみないと 分からないことの多い事案 であるので すっきりしない方は なんなり遠慮なく相談していただきたい
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:15| Comment(0) | 1 障害年金
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