2021年09月18日
待ちに待った 障害年金支分権消滅時効事件の2勝目
令和3年9月15日10時30分 本ブログにも何度も登場している石川県のK.F様の事件の名古屋高等裁判所金沢支部の判決があった。
この事件は、年金事務所等の受付窓口で、初診日が何年何月何日と 特定できないと受付拒否及び裁定請求様式交付の拒否をされたとういう特別な事情があったとはいえ、第一審で敗訴している事件を逆転させたのであるから、素直に喜ぶべきと言わなければならない。
ご本人には、「今日は最高の日」といって感謝されたが、私は、この判決に満足はできない。
ご本人にとっては、約30年間(不服申立て及び裁判自体の期間は約5年間弱)という長い闘いであったので、記者会見においても涙を堪えきれなかったのであるが、私は44号最高裁判例を大法廷において修正していただきたく思っているので不満である。
この判決において、具体的に更に何に不満があるかといえば、この事件についても、最高裁 44号判決を引用して、5年間支給制限を遵守していることである。
一方裁判官の立場に立てば、最高裁に類似事件について既に判例が存在する場合、その判例に背くような判決は書けないことは分かっている。
本人も支援者も、この事件については一刻も早く決着を付け、実利を得たい側面もあるので、この問題について控訴人側から上告又は上告受理申立てをする予定はない。おそらく、国側も上告受理申立てはしてこないものと思われる。
しかし、この問題はこれで終わるものではない。そもそも、「裁定前に障害年金の支分権の消滅時効が消滅しているか否か」については、私は、日本年金学会に論文を提出する予定をしており、また、社労士法第25条の38に基づき、全国社会保険労務士会連合会から厚生労働大臣に対して労働社会保険諸法令の運営の改善に係る意見の申出をする予定であるので、本質論については、そちらの方で改善を実現したく思っている。
裁判における争いを全て諦めたわけではないが、このような特別な事情のある事件については、早く決着をして実利を得た方が得策である。
他に、そもそも論で争いを継続している事件もあり、44号判決が存在する以上、その争点において下級審で勝訴判決を得ることが現実的には困難であるので、最高裁まで争う覚悟を決めた他に特別の事情のない訴訟において争って行きたい。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:06| Comment(1)
| 1 障害年金
名古屋高等裁判所金沢支部の判決では「最高裁 小法廷 44号判決を引用して、云々」との件ですが、予防的な主張については如何されたでしょうか。
確かに「使ってはならない小法廷44号判決を引用」であり、引用誤謬と言うほかはありません。
つまり、
債権たる基本権及び支分権にかかわる消滅時効の最新の判決は「大法廷H29.12.06NHK受信料請求事件」であります。年金受給権についても、ほぼ、そのまま適用できる論理構成をしているからです。
裁判官は引用すべき「大法廷の判決」を無視し、これより古く、しかも「小法廷」を敢えて(強引に)引用したのです。
そこで「小法廷 44号判決の引用は、間違いになります。最新のNHK大法廷の判決を引用すべきです。」とあらかじめ主張することで、大法廷を引用せざるを得ないことが十分に考えられます。
なお、最新のこの大法廷判例は、裁判所web頁から削除されております。次で検索できます。
http://wwwb.dcns.ne.jp/~nnkn/NHK_hanrei.pdf