2020年02月29日

裁判官に関する新刊本「裁判官も人である」の通読


先週、今年1月29日に発行された「裁判官も人である 良心と組織の狭間で」(岩瀬達哉:ジャーナリスト著)を読んでみた。

多くの内容が「絶望の裁判所」及び「ニッポンの裁判」(いずれも瀬木比呂志著)と重なることは分かっていたが、副題がなくても容易に想像できるテーマについてジャーナリストが考える司法の在り方等について確認したくて敢えて読んだ。

司法組織のヒエラルキー等に嫌気が指して辞めた瀬木教授とは違った見方を期待したのである。

しかし、残念ながら、司法の現状に対する見方に決定的な違いは見当たらず、良心と組織の狭間で苦しんでいる裁判官の紹介は、いわば歴史上の人物のみで、現状についての報告はなかった。副題からすると、そのような裁判官も居ることがある程度書かれていても良い書籍であるが、私の通読での印象では生々しい現状についてはゼロである。

現実には、ほとんどの裁判官がドライに割り切り、裁判官カードに記載を要することとなる、最高裁や最高裁事務総局が期待しないような判決を出さないという事実の再確認であった。

この書籍内の記事「「コピペ判決」が横行する」と、私の行っている行政訴訟の判決理由を比べると、本年1月15日(水)に私が受けた第一審判決(岡崎支部の単独裁判)は、正に、この記事が照会するコピペ判決なのである。

この判決が、なぜ「コピペ判決」なのかについては、後日に譲ることとして、ここでは、この記事が照会する2つの原因について紹介させていただく。

この記事「「コピペ判決」が横行する」の冒頭には、以下のとおり記載されている。
「もともと正解指向が強く、順調に受験競争に勝ち抜いてきた「優等生」たちは、時間とエネルギーをかけて判決を書いても、最高裁によって偏向していると受け取られると、怪我をしかねない。それより過去の判例を機械的に受け入れ、それに則って判決を起案しておけば無難なうえ、裁判所での名誉ある地位を得やすいことを知っている。」

「最高裁事務総局に勤務経験のある元裁判官は、ため息交じりにこう語った。
「若手、中堅を問わず少なからぬ裁判官は、裁判を重大と感じる度合いが薄れていて、判決の理論構成も水準が落ちている。もっと時間をかけ、深みのあるものに仕上げてもらいたいと思うこともしばしばです。」」

「本来、判決文は、裁判官が「記録をよく読み、よく考え、証拠に照らして的確な判断を下さなければ書けない」ものだ。これを「普通の事務」のように処理することを可能にしているのが判例検索ソフトである。」

本書は、「「コピペ判決」の横行する」もう1つの重要な原因を挙げる。
それが、人事であり、その重要な判断資料となる「裁判官カード」であることを指摘している。「都心から留萌に積極的に行きたい人は、まあ、いないでしょう。だからといって、裁判所を廃止もできない」と続く。最後に引用文として、このカードについて紹介するので、読者諸氏には、色々な角度から、司法の在り方について考えていただきたい。

「希望しない任地への異動を合法化する仕組みが、すべての裁判官に提出を義務付けている「裁判官カード」である。このカードは3種類から成っていて、「裁判官第一カード」は判事補に採用する際、提出させている。これは一種の身上書で生年月日、学歴、司法試験の合格日など個人情報を記載するものだ。
そして、8月1日に提出するのが、「裁判官第二カード」と「裁判官第三カード」だ。第二カードは、自身の健康状態や過去1年間の入院歴の有無。家族構成とそれぞれの健康状態、妻が働いている場合はその勤務先などの記入を義務付けている。第三カードには、自己評価や仕事への意欲などを記載するようになっている。」

前者の判例検索ソフトについて、説明を加える。

最高裁は、前記判例検索ソフト「判例秘書」及び「知財高裁用 判例秘書」など各種ソフトを年間約7500万円かけて購入(2016年度予算額)している。

見方によっては、最高裁は、「コピペ判決」を奨励しているのである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:44| Comment(0) | 13 社会・仕組み
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