2019年10月26日

パワハラ研修受講にあたり思い出す事件


昨日、10月25日(金)、県会の令和元年の初めての研修があった。演目は下記についての、西脇明典弁護士の講演である。
「ハラスメントトラブル」
・トラブルに発展させないために
・パワハラ主張にならないために

法制化の今後の見込み、パワハラ予防、申告されたときの対応等について、膨大な資料に基づき、約2時間半お話しされた。細かい「指針」(ハンドブック)等も出されるようであるが、定義が明確化され法が施行されれば、増加傾向にあるこの手の事件が減ることは期待できる。

この研修を受けて思い出すのは、本ブログで紹介した下記の記事内容による受任事件である。

20180512 セクハラ・パワハラ事件のあっせん申請について
20180609 セクハラ・パワハラ事件の中間報告について
20180929 セクハラ・パワハラ事件のライン情報復元による立証方針の決定
20181215 セクハラ・パワハラ事件の和解成立

結果、100万円の目標(請求額は300万円超)に対して、80万円を取れたのだから、申立人側の証拠の少なさから考えれば、運が良かったと言わざるを得ない事件であった。

8万円ほどかけて行ったラインの復元は、全部の期間が復元できたわけではなく、肝心な部分が復元できなかったのである。

それでも相手方が和解に応じたのは、和解に応じれば、労災申請を中断する旨を和解条件にしたからだと思われる。

色々調査している過程で、相手方は、30分未満の超過勤務手当を全て切捨てして全く支払っていなかったことが分かったのである。これは明らかな違法で、申立人の該当期間の金額換算では2万円にも満たなくて、しかも、時効を主張していたが、相手方としては、労災申請をされれば、200人以上の対象従業員全員の分につき改善命令等が出されることを避けたのであろう。

事件の本質とは直接関係しないことから攻めたわけで、証拠不足を補う手段としてはいささか後ろめたい行為であったが、この事情をあっせん委員にも分かり易くお話しして、和解の内容として入れていただくこととしたのである。

結果、運が良かったというのは、訴訟ではなく、あっせんを選んだこと、及びそのあっせん機関として、社労士会労働紛争解決センター愛知を選んだことが成果につながったのである。

なお、セクハラ・パワハラの事実、及び長期間の通院等については、事実確認後、これは救われるべき事件であるとの認識で、主張に万全を期したことは言うまでもないことである。


しかし、裁判であれば、証拠不足で負けていたであろうし、他のあっせん機関であれば、3回もの期日を設けてくれないので、成果には結び付かなかったものと推測される。加えて、3人のあっせん委員の中には、弁護士が1人おり、社労士2名、弁護士1名の構成であったので、事件の全容につき幅広く考察していただけた可能性もある。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:42| Comment(0) | 3 人事・労務
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