2019年08月03日

被告第2準備書面による答弁の変更


以前から、厚生労働大臣に対する審査請求事件を受任していた石川県のK.F様は、障害年金支分権消滅時効の問題について、私と知り合う前に、既にお一人で提訴してみえた方である。

本年7月18日付けの被告第2準備書面において、それまでは、原告の処分の取消し請求に対して、その棄却を目論んでいたようであるが、却下の答弁に変更してきた。

私が、K.F様からの審査請求代行を受任し審査請求書(行服法改正新法適用が審査請求、旧法適用が異議申立て)を提出したためか、私がある事件について社労士として、却下の違法を追及し、国家賠償法に基づき損害賠償請求訴訟(本年5月25日、及び7月6日ブログ参照)を提起したことが原因かは定かではないが、これは大きな変更である。

原告のK.F様は、最初は裁判自体を簡単に考えていたようである。原告から色々な書類が出て来て、これは一人では対応できないと私に本人訴訟支援を要請してきた。

当初、私は、審査請求事件を受任したときは、既に提訴済みの裁判は、比較的早期に棄却されると思っていたので、K.F様にも、その時に給付請求事件として提訴すれば良い旨をお伝えしていた。

ところが、被告から答弁の変更が出たのであれば、これに的確に対応するため、原告も訴状の全面訂正をすべきではないかと考えたのである。

新たに提訴するとなると、収入印紙代だけでも93,000円必要であり、約8,000円の予納郵券代も必要となる。この事件と同じレベルまで進めるのに相当の期間がかかることを考えるとダメ元で挑戦してみる価値は十分にある。

といって、被告の主張を認めるのではない。最高裁判例の説示、及び社会保険審査会の考え方・加茂紀久男氏の考え方を引用し、年金決定通知書への時効消滅した旨の付記は、裁定と同時に不可分一体としてなされた「行政庁の処分」であるから、原告の当初の請求は正当である旨を述べた後の訴状の全面訂正である。

加茂紀久男氏は、裁判官としての経験も豊富で、本件の消滅時効問題についても我が国屈指の有識者である。社会保険審査会が、「裁定の法律的性質は確認処分であると解されているにせよ、受給権の行使には必ず裁定を経なければならないとされており、裁定前に支分権を行使することなどおよそあり得ないところからみれば、裁定がないうちに年金の支分権の時効期間が進行を開始するとは考えられない。」(第2版101頁6行目〜同頁9行目)とまで言っていることを、国が、裁判の場で、その考え方を否定して良いのであろうか。

そして、裁決例による社会保険法 の発行の趣旨・目的からいっても大変な矛盾が生じることとなり、国民からの信頼は益々遠のくと思われるが、我が国の数十年後の行政及び私法は大丈夫だろうか。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:48| Comment(0) | 日記
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