2019年03月16日

最高裁判例の論旨に勝てる新しい論理 書証も確保


勿論、障害年金支分権消滅時効の問題である。これについては、平成29年10月17日に身体(左下腿切断)の障害に係る最高裁判決が出されて、以後、これに沿った間違った下級審判決が下されているところであるが、本日は、この判決の結論が誤っていることについてこの1点に絞り、簡潔簡明に述べる。

平成28年7月29日(金)には、沖縄から田舎の私の事務所まで提訴の準備のためT大法学部卒のお若い優秀な弁護士M.O氏が調査にみえた。残念ながら、その時には、私自身がこの新しい考え方に辿り着いておらず、この件に関する的確なアドバイスができなかったのであるが、この主張であれば、被告国も裁判所もこの真理を否定できないはずである。

今後も提訴の準備をしている事件が多数あるので、この主張を軸に主張を展開する。

1 元々独立した権利(甲第●号証)である支分権の消滅時効の問題であり、支分権について「継続5年間の権利不行使があったかなかったか」の単純な問題であるが、本件類似事件について反論に困った国が、基本権に対する権利不行使を支分権に対する権利不行使とする主張を構築・主張し、それを裁判所が認めたから、話が複雑になっているだけの問題である。

2 唯一の最高裁判例であった本村年金訴訟上告審判例(H7.11.7)では、「裁定前に時効が進行し、完成することがある」などといったおかしな判断は示していない。むしろ、裁定前には、支給が受けられない(権利行使できない)といっている(甲第●号証)。

3 現在の判決のほとんどは、結論として、裁定前に支分権の時効が進行し完成するというものである。

4 しかし、それは、1で述べたように、本件類似事件の取扱いに困った国が、基本権と支分権を混同させた理論を主張し、原告側がうまく反論できなかったので、裁判所が国の主張を認めただけのことであり、それは正当とはいえない。その最たるものが、H29.10.17の最高裁判決である。

5 従来、この国の主張に対して原告側が的確に反論していなかったので、論理法則にも経験則にも反する奇っ怪な判決が出回っていたのである。

6 これは、この判決が正当であることを意味せず、H29.10.17最高裁判決の第一審の裁判官は、国の主張した支払期月に疑問を呈していた(甲第●号証)。

7 従来の被告の主張の誤りを指摘して、正しい解釈を示す。
(1)従来の被告側の主張は、民法第166(1)の「権利を行使することができる時」は、解釈の結果としては、裁定後の原則的な支払期月である各支払期月の翌月の初日である。

(2)しかし、そもそも、民法第166(1)の「権利を行使することができる時」の解釈は、期限の定めのある債権については、それが、確定期限であっても、不確定期限であっても、期限の到来時である(甲第●号証)。

(3)国年法18(3)及び厚年法36(3)は、期限を定めた条文であるので、本件の正しい支払期月は、各法各条3項ただし書である(甲第●号証)。

(4)ただし書の解釈は、原則的な偶数月の支払期月まで待つことなく、直ちに(奇数月でも)支払うべきものであるという解釈となる(甲第●号証)。

(5)従って、具体的な支払期月は、裁定前にはあり得ず、裁定のあった月の翌月となる。

 よって、従来の解釈は、法律上の障害である条件未成就、及び期限未到来の債権について時効消滅させているものであり、その意味において、明らかに違法である。
 なお、この新しい解釈は、絶対的な真理である。
以上

posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:26| Comment(1) | 1 障害年金
この記事へのコメント
1. 支分権の消滅時効を適用する時期の特定には、関門が二つあります。
まず、支分権の独立時期がいつになるか…にあります。これが、最初の関門になります。
次に、支分権が独立したとしても、民法第166(1)の「権利を行使することができる時」に至っているかの確認が必要になります。第二位の関門です。
2. この二つの関門を経て、初めて、消滅時効の起算点が確定します。
3. 最初の関門…支分権の成立時期ですが、おおせのとおりH29.10.17の最高裁判決の誤判は明らかですね。
決定の裁定の後、最初に到来した偶数月を
支払期月とし、支払が開始されます。
4. ここで重要なのは、支分権は、この支払期月がくると、独立するということです。
独立すると、その支分権にはその支払期月が後々までも付いてまわる、つまり、支払期限も固定するということです。
従って、後から、追加の支給の必要が生じても、それは履行遅滞による支払となります。それでも、何時に支払うかを決めておく必要から、18(3)ただし書きを設けていると解釈するのが自然ではないでしょうか。
5. 最高裁判例(H7.11.7)は、既に成立している基本権を前提に、残された遺族には支分権だけでも決定の裁定を経ないと成立しないとする判例です。従って、当然に、基本権の成立前に支分権の成立などあり得ないという解釈に展開できます。
6. なお、消滅時効の対象になる支分権については、法102条1項括弧書きで既に明らかされています。
つまり、
「年金給付を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに(中略)支払うものとされる給付の支給を受ける権利を含む)」と規定しています。
「年金給付を受ける権利」とは、年金基本権のことであり、
また、
「支払期月ごとに(中略)支払うものとされる給付の支給を受ける権利」は支分権のことですから、
この括弧書きでは、「年金基本権に基づき支払期月ごとに(中略)支払うものとされる支分権」を消滅時効の対象にしていることになります。
7. 基本権に先行して成立する権利ごときものを対象にするものではありません。
Posted by reiwa at 2019年04月03日 16:36
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