2018年10月20日
任意後見制度のメリット
一昨日の相談は、ご本人(Y.K様、22歳、男性、以下「本人」という)のご祖母(Y.F様、77歳、6年前に未亡人)様からで、2つの問題についてであった。
1つは、アスペルガーと診断された本人のこと、今1つは、ご自身が知人(A氏、50歳前後)に投資(貸金)した2400万円が2000万円以上返ってきていないという問題である。
後者については、社労士の係る問題ではないが、当事務所は、豊田市が全戸に配布している「豊田市 くらしの便利帳」の「相談」の頁右下に写真入りで広告を載せているので、社会保険労務士の知名度の低さのせいもあり、色々な関係の相談が入る。
後者については、お付き合いの深い弁護士の先生を紹介したので、本日は、前者の問題と、その後の電話で依頼された障害年金の問題に絞り所感を述べる。
障害の状態であるアスペルガーについては、約50分の電話相談の間には、「本人が障害者であることを認めたくない」という発言のあったことを心に留めていたので、私の方から障害年金の話は全くしなかった。しかし、2回目の電話では、ご祖母様の方から、今では、本人も障害年金を受給したい意向である旨をお聞きしたので、これについては、私が裁定請求代行をする旨の契約の運びとなったので、以下の話は割愛する。
問題は、ご本人の当面の生活である。本人のご両親は健在で、岐阜県のM市にお住まいである。ご祖母の娘さんが本人の母親であるが、ご祖母からみると、ご両親ともが子供の指導、ケアーについて、無関心で手薄であるとお感じで、本人も、ご祖母に懐いていて、「あの家には、2度と帰らない」と言っているようである。
以前、本人の生活状況を危惧したご祖母は、本人を前掲のA氏に紹介し、A氏が就労、日常生活の面倒をみるように依頼(命令!?)したようである。
ところが、A氏は、ある会社の安城支店を任されていたのであるが、その支店が廃止されて、今では、自営でペンキ屋さんをしているとのこと。その経営もうまくいっていないようで、本人は、少しばかりの手間賃と3食を与えられていたが、今では、無給になり、2食になっているとのことである。
これでは、ご祖母としては、将来は勿論、当面の健康のことも心配で、電話相談と相成ったのである。この2人は、うまが合っているようで、本人は、今後もA氏と一緒に居たいようである。
本日、当面の予定として、A氏が、仕事の関係で、2カ月ほどの予定で横浜に行くので、これに同伴させて良いかどうか等の了解を求めにご祖母のご自宅に2人で来るという。本人は、既にその気になっており、ご祖母も、特段反対をするお積りはないようである。
しかし、ご祖母は、上記のとおり当面の健康は勿論であるが、それ以上に本人の将来のことを心配しておみえで、ご自分が、万一の時は、許される範囲で、本人に相続させたいお積りである。
このような状況下、本人及びご祖母のご意向に沿った支援を考えた場合、法定後見では、即応性も確実性も担保されないのである。
色々検討してみると、平成14年4月施行の任意後見制度の移行型を選択するのがベストであると私は判断した。勿論、公証人の先生とも移行型実施に伴う具体的な事前相談を必要とするが、私は上記の状況からはこれがベストであると考えている。
移行型というのは、後見契約とは別に、任意後見監督人が選任されるまでの間の法律行為や見守りなどについて、委任契約を締結し、委任事務を行う方式をいう。
本人の判断能力が低下した時点で、任意後見監督人の選任の申立てをするまでの時限的措置であるが、この契約の内容を工夫することによって、即応性、確実性の効果もあるのだから、ベストな選択といえるのである。
私は、今まで、いずれも法定後見制度として、成年後見人2件、保佐人1件を経験しているが、本件について考えた場合、委任契約の中身について、労働(雇用)契約等について、どこまでタッチできるか等未知の部分もあるが、この初めての機会を、本人及びご祖母にとって、満足していただけるよう最大限の努力をする積りである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 12:24| Comment(0)
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