2018年04月28日
正解のない難しい相談に直面
昨日、重度の統合失調症の43歳の次男が2回目の入院中に同居中であったご夫妻から今までにないほどの難しい相談を受けた。初回入院は措置入院で約2年半、今回は保護入院で、1年半はかかるだろうとのお話である。
親子の縁は、基本的に切って切れるものではないが、籍を外してしまえば、縁が切れると思ってみえる。籍と住所、世帯の違いや、相続、扶養義務等の一般論を概略説明したが、この問題は、そんなことで解決できるような生易しい問題ではない。
行き成り、ご次男を「籍から外したい」と言われるので、世帯を別にしたいということだと見当はついたが、このような相談は初めてであるので、私も即答に窮した。電話により約1時間ほど話をしたが、20年以上も世話をし、支援し続けご夫妻の限界を越えてしまったようである。
ご夫妻は、夫78歳、妻75歳、子供は男子二人、兄は東京に行って帰ってきたくないと言っている。多分弟がいるからだとおっしゃる。ご次男ご本人は昼夜逆転の生活で、真夜中も大きな声を出したり、大きな音で音楽を聴いたりしているようである。
ご夫妻の住まいは、食堂までご次男に占拠され、寝室だけになってしまったそうである。全ての部屋は黒のスプレーで、文字とも絵とも分からぬ落書きだらけで、壁も至る所に穴が明いており、ナイフが刺さったままになってるそうで、身の危険も感じておられる。
音楽を聴いている、これが仕事だから、その内、1,000万円ほど入ってくると言っている。あるお金は全部使ってしまいお金の管理はできない。
その内、私たちも、どちらかが病気になるだろうから、次男の入院中に土地を売却して、どこかアパートにでも引っ越して夫婦二人きりで生活したいと言われる。車も2台あるのでご次男が使用しているもう一台は処分したい意向である。勿論、土地の売却代金は、ご夫妻で使いたいとのこと。
この状況をお聞きすると、ご希望の案がご次男を遺棄するものでもなく、例えば配偶者でさえ、重度の精神病の場合は離婚原因とされているのだから、このご次男に対し支援を諦めることは人道に悖るとも言えない。
世帯を別にすれば、たぶんご次男は生活保護は受けられるのであるから、ご夫妻の考え方を誤りだと決め付けることもできない。
このご夫妻に残された人生を有意義に過ごすことは、ご夫妻の権利であり、このご夫妻がこの案を考え着くまでには、考えに考え貫いた挙句の結論であると思われる。
ご夫妻が、私に求めているのは、「この考え方は、間違っているのでしょうか」というものであるから、正解は難しい。案は出したものの、未だに迷ってみえるのである。
お住まいは私の事務所の近くであるので、一度豊田市に相談に行かれて、なお疑問不安等があれば、ご夫婦で当事務所に相談に来られるようお話しした。
最終的には、悔いを残さないようなお二人の決断ということになるが、現実的合法的選択肢について、ベストの情報を提供するのが私の役割であると思っている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:06| Comment(0)
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