2018年04月21日

法廷外活動のスタート


私のライフワークは障害年金の消滅時効にかかる違法、不合理の改善であるので、本日もこのテーマに関し記述します。

平成29年10月17日の最高裁第三小法廷の身体(左下腿切断)の障害に係る判決の悪影響は大き過ぎ、行政訴訟においても比較的公平な判断を下すことで有名な M . F 裁判長でも、平成30年4月11日名古屋高裁判決では本問題の根本的な部分については、説示を避け、単に、「その他、控訴人は、縷々主張するが、いずれも理由があるとは認められない」と無難に判決を下された。

しかし、この問題において消滅時効を完成させるには、「現実的期待可能性が必要である」旨を判決文において明記してくださった。具体的な表現は、下記のとおりである。

「この点、民法166条の「権利を行使することができる時」の解釈においては、単にその権利の行使につき法律上の障害がないというだけではなく、さらに権利の性質上、その権利行使が現実に期待できるものであることをも必要と解するのが相当であるところ(最高裁昭和40年(行ツ)第100号同45年7月15日大法廷判決・民集24巻7号771頁、最高裁平成4年(オ)第701号同8年3月5日第三小法廷判決・民集50巻3号383頁参照)、平成19年改正後の国民年金法においても、支分権の時効については従前どおり会計法及び民法166条の規定を適用する余地はあるから、控訴人の病状が上記主張の程度に至っていたと認められる場合は、消滅時効は進行しないと解すべきである。」(12頁下から4行目)


ここで原点に返って考えてみましょう。障害年金は、憲法第25条2項に基づき具体化された差押えや公課まで禁止された重要な権利です。

このような重要な権利について、上記のとおり、事実関係の審理をしてみないと、本当に消滅時効が完成しているのかどうかも分からない事案を、一律に支給制限しているのだから、これは受給権者にとっては差押え以上の悪影響があり、年金法に違反している行為であることは明確です。

行政庁が内簡により立法権を侵害し、ほとんどの下級裁判所で、司法が政治的判断をしていることは明らかです。私の始めた法廷外活動は、先ずは、これらの違法について不服申立ての道を閉ざすのを止めさせようというものですが、その手助けを地元代議士に依頼したのが以下の文章です。この問題の本質についても簡記していますので参考にしてください。

残された現実的改善方法は、当局のキーマンに改心させるか、最高裁において、上記の判例を修正させるような判例を出させる以外に有効策はありません。

その点、国の主張は矛盾だらけですので、不服申し立てが受理されるようになれば、効き目は大きいものと考えています。なぜなら、厚労大臣は、真面に反論できないので、入り口で無理やり拒否しているのが事実だからです。


平成30年4月18日
衆議院議員 ?? ?? 先生
愛知県豊田市汐見町 4−74−2
木戸社会保険労務士事務所
代表者 木戸 義明 ㊞

異議申立て却下の違法 是正依頼について


前略 私は、平成29年11月に、標記について、「ご依頼の件について」を????様経由で提出させていただいた汐見町在住の社会保険労務士です。

私が問題としている本題は、「障害年金の支分権の消滅時効が、法定条件である裁定の成就前に成立してしまってよいのか」、という根本問題ですが、これは、問題自体が保険者国(以下「国」という)の屁理屈により複雑になってしまっています。しかし、私が先生にお願いしているのは、この本題についてではないのですが、私の表現が悪く、先生に誤解されている部分が生じてしまいましたので、再度分かり易く資料を作り変えました。宜しくお願い申し上げます。

この問題の本題は、障害年金の5年遡及を越える遡及分につき、年金決定通知書への付記(前回別紙1参照)により、違法に支給制限していることですが、私が先生にお願いしている内容は、そのこととは別問題の、明らかな行政の違法(不服申立ての窓口自体を違法に閉ざしていること)を指摘し改善を求めるものです。その違法とは、正当に受け付けるべき不服申立て(具体的には、厚生労働大臣に対する異議申立て)を、私が代理人を務めるものだけでも、約2年間も放置したうえ、屁理屈を付けて、まとめて20件以上を一挙に却下しています。

これには、更なる違法が加わっています。余りに対応が遅いので、不作為の異議申立てをしていますが、これに対しては、未だに、行審法の定める、なんらかの行為書面による不作為の理由明示もありません。何の対応もしたくないのであれば、その場合は提出済みの書類を返してくれるよう要請していますが、電話での回答は、3回とも、返却をするのにも決裁が必要だとの返事でしたが、未だに、却下決定の前にあるべき、何の対応もありません。

旧行審法第50条第2項には、「…20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。」と規定されていました。上記不作為は、明らかに行審法違反ですが、行審法には罰則規定のないことをいいことに、厚労省は、故意に違法を強行しています。国民を虫けらのように考えているのです。

たまたま私の場合、まとめて処理されたわけですが、これは誰が行なったものでも、たとえ一件でも、そのようなことがあってはならない事柄ですので、早急な是正を求めるものです。

この行為及び担当者の応対からは、今後も同様の違法行為の繰り返しが見込まれることから、早急な是正を求めるものです。

これは、本題に対するいわゆる口利きとは異なり、正当な窓口を閉ざしている当局に対して、正当に受理し、審理をせよ、と是正を求めるものです。行政が採るべき当たり前の行為への注意喚起です。

別紙1には、最近の本題に関する高裁の判決正本(写)を添付しましたが、これを読めば分かるように、障害年金につき、本当に消滅時効が完成しているかどうかは、事実関係を審理してみないと分からない問題(判決13頁5行目参照)です。

それを一律に上記の付記により不支給としているのは、違法であることは明確です。この違法を行っているのは、一番遵法精神を発揮すべき所管行政庁です。これに対して不服申立ての方法がないなどということは、社会保険審査官及び社会保険審査会法(以下「官会法」という)の一般法である行審法では考えられないことです。

現に、別紙2では、この付記を行政処分とみなして(2頁10行目参照)、社会保険審査官は勿論、あの要件審査の厳しい社会保険審査会でさえも受理し、審理の上、棄却しています。

却下の違法理由については、前回述べているので割愛しますが、理由があるからとはいえ、これを全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という)から監督官庁であり、種々の協力関係にあり、かつ多くの受諾業務までいただいている厚労省に対して、連合会から物申すことは難しいようです。

弁護士会は、法務省が監督官庁ではないので、自由な発言をし、活発な活動をしていますが、連合会は、同じようにはいかないようです。

私は、愛知県会の前会長にも現会長にも、組織として動いてくれるよう話していますが、個人としては、いくらやってもらってもいいが、この問題に対して組織として行動を起こすことは難しい旨の回答を受けています。

??様からお聞きした先生のご意見(組織を通して上げてもらった方が良い旨)は、ごもっともなことですが、上記の理由で社労士会の組織からの働きかけは困難です。しかし、この違法は、行政庁として許されることではないので、社労士会の現状をご理解の上、宜しくお願い申し上げます。             草々


添付物
別紙1 判決正本(写)平成30年4月11日名古屋高裁 平成28年(行コ)第97号
未支給年金支給請求控訴事件

別紙2 裁決書(写)平成25年7月31日 平成24年(国)第264号 社会保険審査会

別紙3 内簡(写)昭和45年9月10日社会保険庁年金保険部国民課長ほか2名

別紙4 注釈民法(5)総則(5)川島武宜編集 有斐閣 平成25年1月30日 復刊版第1刷発行


参考(私の考える大きな問題点)
1 今回依頼の手続き上の問題の問題点

@ 本件につき、年金決定通知書を受けてから5年以内であれば、訴訟の提起はできます。しかし、障害年金の受給権者のほとんどが経済的弱者であり、弁護士への着手金は勿論のこと、収入印紙代や予納郵券代も払えないのが現状であること。
A このような行政の違法を見逃していたら、行審法の目的である「簡易迅速な手続きによる国民の権利利益の救済を図ること」、及び「行政の適正な運営を確保すること」は不可能となり、この目的達成のための手段である「広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くこと」も不可能となってしまうこと。
B 問題となっている付記は、行政処分と同時にその一環としてなされ、公定力があるものとして取扱われているので、本来、別紙2のように、官会法に基づき受理されるべき内容である。社会保険審査会では、これを「行政処分ではなく事実行為だから」との理由で、複数の事案を却下しているが、行政庁による故意による違法を行審法の対象外などという所管省の主張は論外であること。

2 本題における問題点
@ 過去分の年金の支給を5年間に制限している根拠は、内簡(別紙3)以外には何一つとして存在しないが、これは、旧社会保険庁の3課長から地方機関に発出されたもので、立法の手続きを経ていないので、行政による立法権の侵害行為であること。
A 国は、上記内簡により運用しているものではないと反論しているが、他の根拠は何一つとしてないのであるから、これに基づいて運用していることは明らかである。この反論内容は、老齢年金にしか当て嵌まらない、潜在的抽象的観念論により、本来独立した権利である基本権と支分権を混同した解釈・取扱いであり、この推論は、障害年金においては、論理に飛躍が生じていること。
B 初診日証明を含む裁定が、法定条件であり、法定条件は条件の規定が類推適用されること、及び年金の支払期月は、期限のある債務であるので、期限の到来が民法第166条第1項のいう「権利を行使することができる時」であること(別紙4、282頁6行目参照)は、絶対的真理である。もう少し詳しく述べれば、裁定前の支払期月は、不確定期限である(国年法第18(厚年法第36)条第3項ただし書)が、不確定期限といえども、期限の到来が「権利を行使することができる時」である。国は、それさえ認めていないので、全国の下級裁判所で混乱が起きており、中には、信じられないような滅茶苦茶な説示内容(喉頭がんの事案の説示内容を吟味せず、そのまま引用し、重度の精神の障害の事案に「…、年金支給の基礎となる障害の有無やその状態それ自体は、受給権者が最もよく知り得る事実であることにも鑑みると、…、権利の性質上、裁定の通知を受けるまでその権利行使が現実に期待できないものであるということはできないから、…。」、「裁定の法的性質は上記(2)で説示したとおりであるところ、裁定について規定した国年法16条、年金の支給期間及び支払期月について規定した国年法18条が、国年法第3章第1節「通則」に設けられていることからも明らかなとおり、国年法は、年金給付を受ける権利の発生及び行使の方法について、障害基礎年金と他の種類の年金との間に差異を設けていない。」及び「…、厚生年金保険法の規定及び趣旨に照らすと、行政処分庁は、厚生年金保険法47条に定められている障害年金の受給要件が満たされているか否かの判断や、…判断について、裁量権を付与されているものではないと解される」等と説示する等)も顕在されること。
C この権利は、憲法第25条第2項に基づき具体化した、年金法においても、差押え、及び公課までもが禁止(国年法第24条、第25条、厚年法第41条)されているほどの重要な権利であるが、支分権という具体的な既得権であるにも拘らず、国の違法により侵害されてしまっていること。

                      連絡先
木戸社会保険労務士事務所  
代表者  木 戸  義 明
471−0041豊田市汐見町 4−74−2
TEL 0565−32−6271
FAX 0565−77−9211
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posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 09:46| Comment(0) | 1 障害年金
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