2017年12月09日

2年後を目途に最高裁判例の変更を目指す


昨日は、G法律事務所との共同受任事件で、第一審を11月30日に敗訴した事件の今後策について六本木まで出向き打合せをした。我々の事件とは全く無関係な、10月17日の身体(左下腿切断)の障害に係る類似事件の最高裁判例の煽りをくらった敗訴である。1時間半弱の打合せではあるが、今回はかなり突っ込んだ検討ができた。

最高裁判例は、司法の世界では極めて重いもので、今回の東京地裁もこれ幸いと確たる理由も述べず、平成7年11月7日の判例(本村年金訴訟上告審判例)と、今回の平成29年10月17日の2つの判例を根拠に原告敗訴としているのである。

前者の判例は、通算老齢年金に係る判例であり、後者の判例は、身体の障害に係る判例であるので、本件精神の障害について射程が及ぶものではないという考え方もある。ところが、一旦最高裁判例が出てしまった以上、判決即判例と位置付けられ、「障害年金の支分権は裁定前でも進行する」という判断については、ほとんどの下級審裁判官に引用されてしまうのである。

それでは、それを司法的に修正するには手段はないのか!?、10月17日の最高裁判例が全ての場合に準法規的に適用されて良いものであるのか!?、を考えた場合、そんなことはない。

流石に、最高裁は、論理法則や経験則に反する判決は出していない。後者の判決においても、規定の明確性や裁定請求をすれば受給に結び付く点については、私が、国の運用をやむを得ないものとしている老齢年金と類似している。

しかし、障害年金においては、法定条件である「裁定」(国年法第16条)に包含される内容として、初診日証明義務が裁定請求者(受給権者)に義務付けられているという特徴がある。老齢年金の裁定には、これがない。ここが老齢年金と障害年金の絶対的な違いであるが、国も裁判所もこれを未だ認めていない。そして、法定条件は「条件」の規定が類推適用される。

初診日証明の重要性については、以下で簡記するが、全ての場合に当て嵌まり、これが成就しないと後のことは一歩も進まないことを見流してはならない。

障害年金を受給するには、3つの要件が必要不可欠である。これを簡記すれば次の3要件である。

@被保険者期間中に初診日があること(20歳前障害は例外あり)
A一定の期間において国年令別表又は厚年例別表1の定める障害の状態にあること(この一定の期間にも、初診日は必ず絡む。)
B初診日の前日において保険料納付要件を満たすこと(20歳前障害は例外あり)

従って、初診日が決まらなければ、それ以降の事柄は何一つとっても一歩も進まない。基本的に、障害認定日及び各支払期月は、被控訴人が考えているように、初診日さえ決まれば、当然にやってくる。しかし、初診日が決まらなければ、被控訴人が弁済期(支払期月)と主張する各支払期月も到来しない。

このことにより、社会保険関係訴訟の実務 法務省訟務局内社会保険関係訟務実務研究会編(252頁左から2列目)が述べる、「国年法及び厚年法上の年金の支分権の消滅時効の起算点も右の原則に従い、裁定後の分については各支払期月の到来の時であるが、裁定前に支払期が到来したものについては裁定時(ただし、初日不算入)が起算点となる。」との記載が真実であることが確認できる。

これを時系列で考察すれば、初診日の証明は裁定請求前に行われることは絶対になく、裁定請求前にこの条件が成就することは絶対にない。

この考え方は、既述のとおり、停止条件付債権に係る規定がズバリ適用されるものではないが、論理法則に適った説明は可能と考えている。

我々の目標は、2年を目途の最高裁大法廷での勝訴(控訴審では現状基本的に勝訴は無理)であるので、緻密に丁寧に主張すべく今から準備を始める。

2年以内に達成しないと、異議申立て却下から3年以内に国賠訴訟を要する身体の障害の方たちの訴訟提起に間に合わなくなってしまう。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 12:10| Comment(0) | 1 障害年金
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