2017年10月07日

障害年金の認定日請求訴訟での補佐人就任


これは、控訴審での補佐人就任であるが、例によって、第1準備書面補充書(案)を公開する。


平成29年(行コ)第??号 障害年金不支給決定取消請求控訴事件
控訴人  ?? ??
被控訴人 国 (処分行政庁 厚生労働大臣) 

第1準備書面補充書(案)


平成29年10月31日

名古屋高等裁判所 民事第3部 御中

住所 〒???-???? ???????????????
控訴人  ?? ??
携帯番号 ???−????−????

住所 471-0041 愛知県豊田市汐見町 4ー74ー2
控訴人補佐人 木戸 義明 ㊞




 補佐人(以下「私」という)は、労働社会保険関係の法定手続き業務については、唯一有償で代理受任できることを許された専門職であるので、原判決及び被控訴人の障害認定に係る判断が違法であることを、主に実務及び事件の経緯・実体から控訴人の主張を補充する。

第1 被控訴人の主張は一次判定の判断誤り結果を踏襲しているだけのこと
 障害年金の等級認定は、障害の状態が日常生活及び労働に支障となる困難度から判断されるのが基本中の基本である。
 ところが、本件における被控訴人の判断は、「障害状態認定表(新規裁定用)」(甲第●号証)からも明らかなように、「摂取障害(F5)」という「病名」から単純に一次判定で「認定日は病名F5で不該当」(甲第●号証)とされ、二次判定においても、その誤りが見直されることもなく当然の如く、踏襲されている。
 この誤りの原因は、当該業務の繁忙にもある(例えば、更新の事案では、新聞記者情報によると一次判定に要する所要時間は、1件当たり約40秒ともされている)が、当時本来の病名である「特定不能の広汎性発達障害(F84.9)の認知度が低かったことにもある。
 本件に限って言えば、控訴人は、14医療機関を越える各種の受診科(受診先一覧表甲第●号証、公開審理資料別紙6、52頁)を尋ね病名及びその原因を探ったが、病名も原因も分からなかったのが厳然たる事実である。
控訴人が初めて広汎性発達障害であることが分かったのは、F心療クリニック(T.M
医師)に平成21年10月7日から通い始め約3年間経過後である。経験豊富なT.M医師でさえ、病名及び原因を特定するのに、休みなく定期的に通院して約3年間を要しているのである。
 被控訴人は、病名さえも定かでない障害に対して、その誤った病名「摂取障害(F5)」により、かつ障害の状態で判断すべき障害等級を病名で判断するという大きな過ちを犯していたのである。
 この誤った判断に対して、止める勇気と正義感に満ちた行動を起す者がおらず、担当行政庁により誤った決定がなされたのが本件であり、この処分は違法である。

第2 S.O医師はご自分の書いた診断書が誤りであること及び訂正すべきものであることを認めていたこと
 私は、S.O医師に対して合計3回の診断書の見直しをお願いしている。明らかな客観的な誤記載が多数あったからである。結果、S.O医師が自ら作成した診断書の過ちとその影響の大きさに気付き、自ら診断書を訂正すべきと判断したのは、同医師が既にほかの大学に転出した後であった。
 S.O医師が、「自ら訂正すべきと判断したことが確かであること」については、ご本人が私に対してわざわざ電話を下さり、ご自分の現在の立場を話され、今は訂正できる立場にない旨を説明後、T.S医師を紹介して下さったことからも明らかである。
 しかも、T.S医師がどのような立場の者であるかを私に説明し、かつ、T.S医師に診断書の訂正を依頼するための具体的な方法までお伝えいただき、そのとおり、T.S医師にも話してくださっていた。
 被控訴人は、過ちを認めたくないのと、単純に、善悪は別にして、支払いたくないという理由から、S.O医師の記載した診断書の内容が好都合であったので、これを正しい診断書であると主張し続けただけのことである。
 以上の経過からすると、S.O医師は、訂正を要すると判断しながら、自ら訂正するにはそれができる立場になかったのであるから、T.S医師の診断書は、S.O医師の訂正の意を汲んだ診断書とみることができ、これを採用するのがベストな方法であることは間違いのないことである。
 また、医師は個人の資格で診断書を作成しているが、本件のように、S.O医師が大学病院の職員である場合、その組織から転出したときに自らが作成した診断書に誤りがあっても、独自の判断で、大学病院の医師としてその診断書を訂正することは組織の論理からいってできることではない。
 本件は、S.O医師が、個人の開業医であったなら、間違いなく、ご本人が更なる訂正を実行していたと思われる事案である。
 従って、現実的に可能な最善の策としてS.O医師が選択されたのが、T.S医師への引継ぎである。しかも、T.S医師はS.O医師の信頼できる上司であったとのことである。ゆえに、T.S医師の診断書は、S.O医師の訂正の意思を汲んだ最も尊重すべき診断書と見ることが妥当である。

第3 病状及び障害の状態は障害認定日現症が一番重度であったこと
1 控訴人の状況は正に事後重症とは異なるものであること

 そもそも事後重症とは、「…、障害認定日において前条第2項に規定する障害等級(省略)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に至ったときは、その者は、その期間内に同条第1項の障害厚生年金を請求することができる。」(厚年法第47条の2第1項)と規定されているものであり、障害認定日現症では、症状が軽く、障害等級に該当しなかった者が、その後重くなったときに適用されるものである。
 本件の控訴人は、そもそも、障害認定日現症において、「該当する程度の障害の状態になかったもの」ではない。そして、同日後、障害等級に該当する程度の障害の状態に至った者でもない。障害認定日前後の障害の状態が一番重かった者である。
 障害認定日前後での入退院の繰り返しでも明らかなように、障害認定日前後が一番重篤な状態にあった者であり、事後重症とされたこと自体が実体の把握の欠如を物語る事件である。
2 控訴人本人の病状及び障害の状態の経緯
 一般に、心の病の改善には、「急性期」、「回復期」、及び「再発予防期」の3ステップがある(甲第●号証、77頁5列目、79頁図表)とされている。
 これを控訴人に当て嵌めて考えてみると、障害認定日現症においては、「急性期」であったことは明らかであり、請求日現症においては、「回復期」、又は「再発予防期」であったものと思われる。
 「急性期」が最も強く症状が現れる時期である(甲第●号証77頁6列目)ことは、本書のみならず幾多の文献でも述べられており、本件では、現症一覧表(甲第●号証、公開審理資料別紙4、46頁)を参照していただければ、一目瞭然である。なお、この一覧表は、審査請求時から提出しているが、モノクロで複写されているので見辛く、機能していなかった。この状況の推移等は、本人尋問における陳述とも整合しており、本件を理解するには重要な資料であるから、鮮明なカラー印刷物で確認をしていただきたい。
3 公開審理時の参与でさえ認めるべきと発言していること
 本件については、平成27年3月19日(木)に社会保険審査会の公開審理が開かれている。その折、Y参与は、「64sの者が36sに急減することは、異常であり、当時は、広汎性発達障害という病名はなかったのだから認めるべきだ」との意見を述べられた。
 ここでの、「なかった」の意味については、「精神障害の認定事例として特定不能の広汎性発達障害は、未だ一般化していなかった」といった意味合いと思われるが、このY参与の判断が客観的な見方というものである。
 控訴人は、好き好んで入退院を繰り返していた訳ではない。長年、病名も原因も分からず、苦しみもがきどうにもならなくて、いわゆるドクターショッピングをした状態になってしまったのである。20年以上も苦しんだ挙句、障害年金の遡及請求までが認められないのでは、理不尽も極まりない。

第4 結語
 よって、被控訴人の処分は違法であり、理由がないので取消されるべきである。
以上

posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 09:39| Comment(0) | 1 障害年金
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