一昨日8月31日(土)は、久方ぶりに社会保険審査会の公開審理に代理人として出席し、一言だけ申し述べてきた。何故、一言発言するのに遠方まで出かける必要があるのかということであるが、容認されるか棄却されるかでは、本人の人生が変わってしまうほどの大事だからである。
結論から言うと、この一言というのは、「受給権者本人は、自分の病状を事実より重く見せて障害年金を受給しようといった気持ちは全くない」ということである。そしてこのことは、「後半担当したTお客様相談室長も私と全く同じ意見であること、診断書裏面の記載がオール1であることを確認もせず提出していることからも明らかです。」と念押しすることでした。
この話は、今年2月4日(土)の「極端な不実記載診断書の無効を主張した審査請求の行方」の続きの話である。7カ月も待たされた上、公正な審理が期待できないようでは、憤り爆発である。審査会にはくれぐれも良識的な判断を期待する。
この事件の病状そのものは、精神障害の診断書の表面では、本人の居住地近隣の胃腸科・外科クリニックの医師が、5つの病状を指摘しながら、裏面の日常生活能力の評価では、4段階又は5段階評価の一番軽い記載をしたので、当然、認定日請求が棄却され、審査請求、再審査請求に進んだ事件である。
公開審理の参加に当って問題の胃腸科・外科クリニックの医師による日常生活能力の訂正資料と健康保険の傷病手当金請求用の診断書を作ってくださっていた医師の意見書を準備した。
前者の資料をもらうには、受給権者の母親と私がお昼の休み時間での話し合いを目論み、受給権者本人が書いた日常生活の困り事をまとめた資料を提出し、診断書裏面の記載の訂正を求めた。
最初は、10年以上昔のことは思い出せないし、カルテにも書かれていないので訂正できないと言われた。しかし、診断書を書いていただいたのは2年弱前のことだと話すと話し合いができる状態にはなった 。
「私に何をせよと言うのだ」と言われるので、当時の日常生活能力について、本人がほとんど先生に伝えきれていなかったので、当時の日常生活の要点を整理したメモをお持ちしたので、これを参考にその点の見直しをしていただきたい旨を二人でお伝えした。先生は、会社に籍があるのだら就労に支障がないと書かれているが、実際は退職間際には就労困難であったし、日常生活能力の判断では、父母との共同生活の実態ではなく、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断することとなっている、とお伝えすると、「私は精神科医ではないのでそんなことは知らん」と言いだされた。
だから「最初から書かない」と言ったとか言い出したが、結果、私の判断を示せと言われるので、書く気になってくれたのかと、本人のメモを見ながら、7項目中6項目を鉛筆でチェックした。先生は、ほぼそのとおりにボールペンで記入し、訂正印を押してくれた。
ところがである。これは私の指示で直したものである旨、備考欄にその旨を書き、本日の年月日を書けと言われる。これは、指示ではないので、私の案を示すと、それではダメだと言われる。
結果、私は、正しいこととの自信があったので、先生の言われる内容で私が記入し、裏面の左側の訂正は、終わったが、昼休み時間との関係もあり、裏面右側の判断にまでは話が進まなかった。
その後8月18日(金)には、独立開業された傷病手当金の診断書を書いてくださったMメンタルクリニック のR.Mを訪問し、障害認定日当時の状況と、傷病手当金の診断書を書いた当時の状態は、医学的見地から見ても相違ない旨の意見書を書いていただいた。
これがスムーズに進んだのは、初回訪問時の精神保健福祉士の H 様のご配慮が大きかったと思われる。
H様は、本人の申し出内容では十分な理解が得られなかったとのことで、この意見書の趣旨について、私に電話照会をしてくださり、文章の表現についても、2回目の診察に間に合うようにパソコンで清書して、準備万端整えて下さっていたのである。
公開審理当日は、一人目のY参与及び3人目のK参与は、問題の診断書は、医師の故意によるものではなく、精神科の医師ではなかったことによる不具合いであるので、精神科の医師の意見書等を参考にして、認めてあげるべきであるとの立場を述べられた。
一方、二人目のW参与は、診断書の訂正依頼はやり過ぎの感があり、慎重に対処すべきである。この診断書も一つのポイントであるので処分はやむを得ないとの意見であった。
前置きとなる事項を長々と書いたが、本日のテーマは、審査長の一言の是非である。
「何かあった時」というのは、虚偽申立てのことです。従って、甲第9号証の2は、資料とはしません、と言われたのである。
これは、私の立場も考えてのことかもしれないと素直に受け入れたが、本来、胃腸科・外科クリニックの医師の反応が普通でなかっただけのことである。
裁決理由を見てみないと、本件に関する社会保険審査会の公平性については何とも言い難いところではあるが、本件診断書の訂正をめぐるやり取りが、異常であったと判断されたことは間違いのない事実である。
審査長としては、この医師が条件を付け始めた時点で、「そうですか、分かりました。それでは、本件については、訂正依頼は諦めます。」と引き下がるのが正解であったと考えておられるのか、私からは、定め難いところである。
幾ら専門医でなかったにしても、理不尽な診断書に対して修正の道がないというのもおかしな話であるので、審査長の判断によれば、どこまで進めるかは、相手方の医師の出方次第ということになってしまう。
これもおかしな話であるが、何事につけ、一旦起ってしまったことを正していくには、5倍、10倍の努力と時間を要するので、重大な影響を受ける事柄には、屋上屋を架す慎重さが求められる。
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