2017年08月19日
増加傾向にある許しがたいセクハラ・パワハラ事件
昨日の相談である被害者の女性M.Y様は、2年強勤めた職場を、上司によるセクハラ・パワハラでいたたまれなくなり退職している。
これが原因で、現在健康保険法に基づく傷病手当金を受給中である。治療費及び精神的・経済的損害を会社から支払ってもらうべく愛知労働局のあっせんの手続きにつき相談した。
上司である男性営業部長は、当初親切で油断したが、今思えば必要以上の仕事上の手伝いをしてくれていた。ある日、交際を求められ、お断りしたところ態度が急変しセクハラだけではなくパワハラも始まったと言う。
本日はセクハラ・パワハラの内容自体については省略するが、少し変わった組織でM.Y様の場合、部長の下に課長、係長等の職位はなく部長直轄で仕事をしていたとのこと。
この営業部長が昨年4月に地元豊田市の勤務地から、営業部長を兼務したまま岡山工場の副工場長に就き、数日後には岡山に赴任した。
ところが、その後も営業部長を兼務しているのでM.Y様は、毎日日報をその営業部長に送らなければならない。ほぼ毎週金曜日になるとM.Y様を罵倒する内容の多量のメールが来て耐えられなくなった。住居近隣○○心のクリニックに通院し完治に努めたが治らず、生活の当てもなかったが止む無く退職した。
本日私が言いたいことは、これら事件の増加対策の重要性と労働局の指導等に対する疑問である。
前者については人道上の見地からも許されることではないが、個人的には経済的基礎を失うことがどれほど大変なことかを加害者にも知らしめたいほどの憤りを覚える。被害者が選択も回避もできない職務上の権限を悪用する利己的行為であるのだから、これは断じて許せない。
後者について、おや!?と思ったのは、労働局の担当者が事情を聞いた後、会社の方も行き成り労働局から呼び出し状が来てもびっくりするからM.Y様から会社宛にメールを出すよう勧めた点である。
その際いくらくらい請求するのが妥当かも一切言わず、M.Y 様が決めることだと言うのである。彼女はこのようなケースの世間相場が分かる筈もなく、そのメールで30万円を請求してしまった。これが慰謝料だけかと思ったら、医療費及び精神的・経済的損害を含めた請求額であるという。
さらに質問すると、本当は、労災請求までしたい意向がある。結果、退職までしているものの請求額が30万円では相場の感覚がゼロといえる。
しかし、請求者本人が会社に対してメールで30万円を請求したのだから、会社がこれで承諾してきた場合、通常その金額で一件落着となってしまい、M.Y様は、後に後悔をすることとなる。
会社の担当者も知り合いのようであるが、会社からは、回答を今月25日(金)まで待ってくれと言って来ているという。
回答次第では、再度の相談があるようであるが、これを労災請求までするとなると相当の手間暇を要する事態となる。業務起因性等の相当因果関係の立証は勿論だが、直接の証拠となる受信メール自体が、会社のケイタイに来ていたもので、既に機器を返還してしまった現在手元に最も重要な証拠がないのである。証人になってくれる人は複数いるというが、そんなに簡単なものではない。
相談者は大学は法学部であったが、さぼっていたので、今、法律の重要性を知り、一所懸命勉強しなかったことを後悔していると言われる。自分なりに、色々な市販本を読み研究しているようで、私への相談の前には、既述の労働局のほか、短い時間の無料相談ではあるが、弁護士相談も受けてみえる。
しかし、当事者が、経験もないのに実務の急所を把握するのは容易なことではなく、現実は、市販書を通読した程度で、立ち向かえるものではない。どんな本でもそうだが、自分の本当に知りたい部分について、満足できるまで書かれている本はほとんどないのが現状である。
労働局紛争調整委員会のほかにも、社労士労働紛争解決センター愛知があること、その特徴をお話しし、H.Pの案内もした。
宣伝になり恐縮だが、当センターは、サポート社会保険労務士のほか、弁護士もお一人サポート体制に入っていること、期日は、問題によって、1回から3回が予定されること、及び平成30年3月31日申立てまでの手続き費用が無料になっていることを強調させていただいた。
私は ADRを担当する者の姿勢として、世間相場に全く触れないのはどうかと思うのだが皆様はどの様にお考えでしょうか。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 16:40| Comment(0)
| 3 人事・労務
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