2017年04月08日

厚労省主管課長への働きかけ


先月30日(金)10時21分、今までに提出してあった障害年金支分権消滅時効の取扱いに係る異議申立書に対して、いよいよ決定がでる旨の通知を受けたのだが、ここに至るまでには、2年半以上の期間、継続的に、主管課長は勿論、担当者を含め機会あるごとに国の運用が合理的でなく、違法である旨を訴え続けてきた。

今までは、法廷闘争の記事が多数を占めたが、これを機に、事件の本家本丸である厚労省年金局事業管理課長への依頼や抗議内容を最近ものを含め3週連載で紹介する。これにより、国の対応姿勢等について理解を深めていただければ幸いである。

平成27年3月10日

消滅時効問題の早期対処の依頼について

厚生労働省年金局
事業管理課長 様
申立人 K.K
A.S
Y.O
S.O
K.A
Y.S
T.I
N.F
上記申立人代理人 木戸 義明 ㊞
    

前略 諸処曲折を経て、私は、上記の8名から異議申立て事件について代理受任し、支分権消滅時効の違法な運用を訴え、厚生労働大臣に対して異議申立書を提出しています。

この違法な運用は、正しいこととして長年行われてきたことですが、現在の運用を止むを得ず認めるとしても、何度も何度も、保険者が受給権者に裁定請求を促し、それでも裁定請求しない等特段の事情のある老齢年金の一般的事情のケースのような場合のみのものの筈です。

しかし、障害年金等の場合のように、受給権者が受給権の発生を知り得ない場合にまでこの運用を拡大して、裁定前に消滅時効を進行させている現在の運用は、法解釈上あり得ない違法な行為です。120年ぶりに改正が予定されている民法の消滅時効に関する要綱案は、「知ったときから5年」です。これは、現行法でも同じ考え方を採っており、名古屋高裁がはっきりと判示しています。なぜ、違法かを下記7点に集約し簡記しますが、この点だけからみても違法は明らかです。

@ 裁定を経なければ支分権は行使できない(国年法の場合第16条)のだから、裁定前には、支分権の消滅時効は進行しない。
A 基本権と支分権は独立した権利だから、基本権に対する権利不行使は、当然には、支分権には接続(消費者契約法にいう「抗弁権の接続」と同じ意味の「接続」)されない。
B 障害年金は、障害認定という「停止条件」が付いているので、裁定前には、権利が発生していない(行使できない)。
C 本案の支分権の支払期月は、国年法第18(厚年法第36)条3項ただし書であるので、裁定前には、期限の未到来の債権です。
D 本案では、消滅時効完成の絶対的要件である「権利不行使期間継続5年間」(会計法30条)の要件を満たしていない。
E 会計法第31条の「援用」の規定は、消滅時効完成要件を満たした時に適用となるものであり、そもそも、消滅時効完成要件を満たしていない本案では、適用とならない規定です。
F 現在の運用の根拠規定は、昭和45年9月10日付、社会保険庁年金保険部国民年金課長ほか2名の発出した内部通知である内簡であるが、これは消滅時効制度の目的・趣旨を無視した運用であり、法令ではないので、法令の規定に反するこのような規定は無効であり、国の運用を正当なことだと判断する根拠とはならない。逆から言えば、同義の実定法の条文は見当らない。

申立人の中には、こんなに待たされて、要請済みの処分庁からの弁明書も示されないようでは、早く提訴したい旨の話もあります。

私は、その前に、不作為の異議申立てをすべきと思っていますが、それが出されると、「不作為庁は、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない」(行政不服審査法第50条)とされています。

本案については、私の事件「平成24年4月20日の名古屋高裁判決 障害基礎年金支給請求控訴事件」で、貴省としての心積もりはある筈ですし、私の妻以外の事件では、私が最初に係わったK.K様は、平成24年10月13日付で、日本年金機構理事長に対して、内容証明による「催告書」を出されています。本件受任者では、K.I様は平成25年10月25日付で、日本年金機構理事長に対して私が代理受任して、連名で支払い請求書を出しています。そして日本年金機構は貴省と相談されているそうです。問題提起の内容は全て同じです。

このような経緯から、不作為(決定遅延)の正当な理由は見出せず、審査庁の怠慢のみが遅れている原因と思われます。

総務省の行政不服審査法の担当者にお聴きしたところでは、不作為とみなされる期間については、同様事件に関して、従来の審査期間と比べて異常に長期間である場合等との回答をいただきました。それでは、同様事件がない場合はどうかとの質問には、半年程度が目安になるのではないかとの回答でした。

既に、上記8名の内3名については半年を経過しています。これ以上審査庁の誠意が見られない場合は、次の手段に移らざるを得ません。

貴省には、優秀な人材が豊富にいるのですから、私は、関係者が一堂に会して、忌憚のない議論をすれば、採るべき道は明らかになるものと信じています。現在の運用も政治的判断としてはあり得る考え方です。しかし、審査庁が政治的判断をすることは許されません。最高裁で、とことん議論すれば、法律的解釈となるので国の運用を是とする判断は決して出ません。

早急に善処していただきたくお願い申し上げます。                 草々
             
 以上

posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:50| Comment(0) | 1 障害年金
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