2017年03月18日

国の詭弁を許す下級審判決


いつものことで、おかしいと思うのは障害年金に係る消滅時効の裁判所での取扱いである。国は、消滅時効に関する民法の規定「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」(民法第166条1項)を、自ら引用して、障害年金の支分権(母権である基本権に基づき月々支払われる具体的債権)が裁定前でも進行し、時効が完成すると主張している。

おかしいというのは、国は、少なくとも厚労省は、障害年金については、裁定請求時には、権利行使できないことを十分に知っているからである。

この民法の規定の立法趣旨は、消滅時効は権利不行使の状態が継続することを事実的基礎として認められるものであるから、いまだ権利が行使できる状態になっていない時に消滅時効が進行するのは適当でないからである。

これを対比すれば、ほとんどの方は即座に国の主張の矛盾に気付く筈である。国は、権利行使できない時は、時効が進行しないという規定を用いて、詭弁を弄して権利行使できない期間の障害年金を時効消滅させているのである。

以前も紹介したが、私はある弁護士に、「裁判の書面には、過激な言葉は使わないよう」指導を受けたが、その時の実例「虚構」(弁護士の言い替えはフィクション)よりも、「詭弁」の方が過激性は強いと思われるが、今後私は、敢えて「詭弁」を使っていきたく思っている。

この国の考え方が実際に運用されているから、障害認定日から5年(正確には5年1ヵ月)を越えて裁定請求が遅れるとその受給権者は時効が完成しているとされた期間分の不支給を受ける。

障害年金については、難しい問題があり、数百万円の請求や時効中断よりも、秘密の方が大事だと言われる方が時たまみえる。世間の偏見や差別をお感じであるからである。

従って、国の判断で一方的に支給制限を解除せよとまでは私は言わない。しかし、裁定請求遅れに、やむを得ない事情があり、支払いを希望する方には、裁判まで持ち込まなくても、行政が実情を確認するだけで支給すべき性質の年金である筈である。

なぜなら、国の主張も、国を勝たせている下級審判決も、時効の完成の説明・理由に詭弁を弄して裁定請求時には権利行使できない障害年金を、権利行使できると断言しこれを断行しているが、これは中学生でも分かる誤判断で、社会正義にも反するからである。

この単純明快な道理が頭の良過ぎる方たちには分からないようであるので、今後私は、名古屋高裁及び大阪高裁において、既に(案)を公開したように、人証をもってこの矛盾を頭の良過ぎる方たちにも分からせようと決意している。

受給権者の権利を護るべき厚労省や公正を保証する最後の砦である裁判所で、本来の使命が守られていなければ、社会秩序の根幹が崩壊する。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:49| Comment(0) | 1 障害年金
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