2017年01月28日

未知に対する応対でその組織の体質が分かる


本日は、私が関係した3共済組合の対応について、消費生活アドバイザーの視点から所感を述べる。私は、障害年金に関する仕事のウエイトが大きいので、旧共済組合に関係する事件にも時々遭遇する。その時の体験談である。

最初に関係したのが、農林漁業関係職員共済組合である。北海道のK.T様の時効消滅とされている障害年金の一部の期間に、同共済組合に係る期間分が存在したのである。

該当期間及び金額は、年金決定通知書等から計算できるのだが、この分について、該当共済組合に請求するのか、この分を含めて厚労大臣に請求するのかが分からない。共済組合の担当者を調べ、先ずは電話によりお伺いを立てた。

最初は、何のことを言っているのかよく分からなかったようであるが、10分ほど説明したところで概ね理解されたようで、厚労省の担当者と意見調整して、後日お知らせする旨の回答を得た。その時に、共済組合に係る時効に関する内容に触れた部分の約款の(写)の送付も図々しくお願いしたのだが、気持ちよく了解していただき、後日の本題のご返事では、もし、請求が認められた場合は、厚労省で一括して合せた分をお支払いして、後は、当共済と厚労省の内部関係で処理する旨の明解なる内容であった。

次の経験では、同様の内容について、国家公務員共済組合が相手方であったのだが、お客様の手元の資料には、不支給分の期間、金額、不支給理由の何もないのである。

上記と同様の説明と依頼をしたのだが、一向に要領を得ず、私の話している内容も理解されていないようで、事前に請求人本人名義で送ってあった依頼文書の内容についても把握されていなかった。結論として、当初発出した書類を全部送るから、それを見ていただき、それから話しましょうということになった。

話しを戻すと、この担当者の方は、障害年金の遡及支払いは5年間に決まっており、それが正しいことと思い込んでいるので、これ以上話が進まないのである。

通常、どこの保険者の資料を見ても、受給権の発生年月、それ以降の年金額と適用期間、及び何年何月分以前分は、時効消滅により支払われない旨が記載されているのだが、この一切の資料が存在しないのである。

ご担当者曰く、時効消滅しているのだから、それがいくらであっても関係はない、しかも、5年を越える遡及分については、裁定請求時に支払のない旨の「念書」を取っているので、それで十分というのである。

「基本権と支分権は独立した権利で、受給権者は基本権に対する権利不行使はあっても、支分権に対する権利不行使はないから、消滅時効が完成するための要件事実が満たされておらず、この不支給は違法である」と説明しても、分かる筈はなく、上記の考えを変えない。そして、大変忙しいからか、それ以降1ヵ月以上が経過しているが何も送られてこない。

過日は、愛知県市町村職員共済組合に対する障害共済年金の裁定請求代行を受任した。請求資料及び説明資料に加え、角2の返信用まで用意されていた。そして、加給に係る書類(戸籍謄本、住民票、及び所得証明等)は、認定される等級によっては、不必要なものであるので、最初から提出する必要はなく等級が決まってからで良いといわれる。細かく言えば、それぞれのメリットデメリットはあるのであろうが、基本的にはどこにおいてもこの取扱いで十分である筈だ。

これらのサービス・対応の違いから感ずるところ、組織のトップ等がいくら崇高な理念や行動指針を持っていても、現場でサービスの提供を実践するのは現場の職員であるので、少々の負担になっても常日頃からの研修やトレーニングが必要であることを痛感する。勿論、同じ組織においても、個々の担当者によってサービスの質に差が出てしまうことは中々避けがたいことであるが、今まで体験したことのないような事柄に対する対応には、その組織の体質のようなものが現れ易いので、研修等に当っては、CS重視の基本的な心を重視した教育が欠かせない。

年金事務所では、上記の加給に係る書類は、極端な場合、棄却の可能性が高い場合においても、最初から全ての書類の提出を要請される。お客様に過大な負担をお掛けしている場合が相当数あるので、お客様本位のサービスに改善していく必要を検討願いたいものである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 17:29| Comment(0) | 13 社会・仕組み
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