2017年01月14日

余りに遅い改正行政不服審査法施行後の厚労省の対応  これはもう一つの公害だ!!


改正行政不服審査法は、平成28年4月1日に施行されている。この法律の目的部分は大きな変更はなく、簡易迅速かつ公正な手続、国民の権利利益の救済、及び行政の適正な運営の確保である。

ところが、折角、その目的を果たし易いように改正された同法は、私が提出している障害年金支分権の消滅時効問題については全く機能していない。

私は、新法適用の同事件を、平成28年3月9日に最初に受任し、平成28年6月29日付で審査請求書を提出し、平成28年6月30日に受理されている。ところが、未だに担当審理員の選任通知もない。

改正法では、極力公平性を図るため、処分に関与しない審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名し、審査請求人及び処分庁に通知する義務がある。

ところが、審査請求書受理後7ヵ月も経過した現在、上記のとおり未だに、審理員の選任通知もないのである。これが、公務員のやることかと改めて無責任な体質にうんざりさせられている。改正法は、平成26年6月13日に公布され、内容は十分分っており、2年以内の施行が明らかにされていたのだから、普通の民間企業であれば、施行に間に合うように準備を整える。

対して、重要な社会保障を担当する厚労省では、施行前には、何の準備もしていなかったものと思われる。これを急いでも、同省にとって何のメリットもないから、力を入れていないものと思われる。しかし、国民の権利を護るべき立場の国の行為として、このような横暴が許されて良いものではない。地方自治体によっては、同法の改正を積極的に広報しているところもあるくらいだ。

旧法の場合、不作為の規定に関し、不作為の異議申立てがなされてから、20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は不作為の理由を書面で示す義務規定があったが、改正法では、上記の審理員制度が導入されたので、行政の恣意により遅らされることはないだろうとの考慮から、この対応義務の規定は削除された。

しかし、不作為の審査請求自体の規定が削除されたのではないので、しばらく待って、何の進展もなければ、不作為の審査請求を実施する予定である。そして、なおかつ円滑に進められないようであれば、国家賠償法に基づく損害賠償請求を提起し、その請求額には、弁護士費用も含める旨の通知も必要と思っている。

このような、立法上の善意の配慮を逆手に取った怠慢が改善されないようでは、3年後の法の見直しを待つ前に改善策を強く要請しなければならない。その有効策は、上記の実行であると思っている。

まして、この事件は、全く同じ程度の診断書を提出していたのにも拘らず、誤った理由付により事後重症とされていたものであり、保険者自らが、障害認定日請求を認めるという「処分変更」をした事件である。従って、処分変更を認める前日までは、保険者も支分権(隔月で支払われている具体的債権)の存在を認めていなかったものであるので、保険者がその存在を認めていなかった年金が権利行使できる訳がなく、権利行使もできない支分権が時効消滅する訳がないものである。

このように考えれば、違法な支給停止に考えが及ぶ筈がないのだが、保険者は深く考えずに、昭和45年9月10日付発出の内簡の指示に基づき運用しているから、自らの違法に気付かないのである。内簡は、裁定請求時から逆算して5年間支給にとどまる、という発想だから、これに従えば、この運用が正しいことになってしまう。

実は、改正法適用の審査請求書は、既に2件提出しており、2件目の事件も、保険者に責任のある事件であったのだ。保険者の窓口の初動ミスにより、病名から、事後重症扱いは適当でないことは、普通の担当者なら気付くものを、認定日請求の説明もせず、事後重症で処理された案件であった。依頼者はそのために多大な迷惑を受けているのだが、審査請求の担当者は意に介しない。困ったことである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 15:12| Comment(0) | 1 障害年金
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