2016年08月27日

ご自身での審査請求の実施


7月24日(日)に、私のブログの愛読者と思われる群馬県の56歳の女性E.T様から電話をいただいた。AD/HD(注意欠陥多動性障害)と広汎性発達障害(アスペルガー症候群=自閉症スペクトラム)があると言われる方だが、ご自身では、それゆえ「やることが遅い」と言われるが、考え方も行動もしっかりしてみえる。

この方は、1年分の幻の障害年金と、案内不備による二十手間を強いられたことについて、不服があり、年金事務所の担当者からは、決定のあった日の翌日から3カ月以内に文書又は口頭で住所地の社会保険審査官に審査請求できる旨案内されていた。相談内容は、年金事務所において、口頭で不服の内容を伝えたので、これで審査請求は終わっていると思っていたところ、未だ、入り口にも立っておらず、7月29日(金)には、期限の3カ月が到来してしまう、という内容である。

この問題は、公定力のある行政処分(裁定:年金決定)の取消を争うものではないので、本件のように間違った教示(不服申立をいつまでにどこにできる等を対象者に知らせること)がされたり、教示自体が無い場合、不服申立期間が経過してしまっても、不可争力(国民側から取消等を求めることができなくなる効力)が生じてしまうことは無いことを先ず第一にお知らせした。これにより、E.T様の肩の荷は下りたように感じられた。

お聞きするところによると、私は、20頁くらいにわたる類似の内容の記事をアップしているようで、それを参考にして、手書きで審査請求書を作っているが、もう少しで出来上がるのだが、29日に間に合うかどうか分からないという悩みである。

この幻の障害年金問題については、年金事務所及び社会保険審査官自体が、問題の本質を理解しておらず、お客様に対する教示を誤っており、仮に、無理してその日までに審査請求書を提出しても、本来、訴えたい内容は、処分の取消しではないので、正式には、却下されてしまうこと。間違って、受理されても、屁理屈を述べられ棄却されるに決まっていること、をお知らせし、ここで無理をする必要のないことをお伝えした。

本来この請求は、事実行為(観念の通知)とされている時効消滅の完成がないことである旨を説明したが、既に、ご自身で苦労され、18頁にも及ぶ請求の趣旨及び理由を手書きで作ってみえたので、これ以上苦闘を続ける気力をなくしておみえで、その日の内に、私が受任して審査請求(平成28年4月1日改正施行の行政不服審査法に基づく厚生労働大臣に対する審査請求:旧法の異議申立てに相当)することが口頭契約で成立してしまった。この方は、国の考え方はおかしい、おかしいところを国に伝え直していただきたいとのお考えがあるので、話しは早かった。

早速、作成途中の審査請求書を郵送してくださったが、私からも、基本情報を記入できる様式を送ると共に、必要な関係資料の送付もお願いした。

数日後、資料を見せていただくと、この方の場合、二つの問題が浮き彫りになった。一般の例に加え、当初認定日請求について案内をしていないという不具合があることである。この方の未支給分は、丁度1年分であるので、年金事務所が最初から認定日請求を案内しておれば、いずれの期間も5年以内となるので、時効消滅する期間自体が全く発生していなかったのである。

ご自身で作られた審査請求書はしっかりした考え方が書かれており、私は、保険者にこの考え方を伝えるのも大事なことであると考えたので、私は、審査請求時の書証として、このほぼ完成しているお客様が作られた審査請求書を提出する積りである。

詰り、遡及請求が認められたときの受給権発生は、平成21年5月であり、事後重症とされた当初の裁定請求が、平成26年7月22日であるので、この場合の遡及5年間分は、平成21年6月から平成26年5月までの分となるので、丁度間に合ってしまい、1カ月分の失権も生じないのである。

幸い、改正新法の適用案件であるので、相手方には、弁明書の提出が義務付けられているので、この点についても追及し、更に反論書の提出も予定している。

お客様の作られた文章の内容は、時効消滅とされた分の年金の支給を希望すること、分かり易い図解、裁定請求申請にあたって、遡及請求の経緯、不服申し立てに向けて(ご自身の心積り等)、発達障害が分かるまで、障害者自立支援法に支えられて、統合失調症の叔父と我が国の申請制度について、「国の時効運用誤りが確定、障害基礎年金の不支給の事例より」私が思うこと、等をA4、18枚にわたって丁寧に書かれている。

年金事務所の窓口担当者は、多くの場合、適切に対応していただいているのだが、どこの職場にもあるように、時として、おかしな対応をする方がみえる。年金については、その方の将来を左右するほどの大きな影響を与える出来事であるので、心構え、及びスキルの向上にもっともっと努めてほしいものと祈念している。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 11:58| Comment(0) | 1 障害年金
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