2016年07月16日

みんなねっと読者向け活動報告について

時効消滅とされた障害年金奪還に係る活動報告 @

社会保険労務士 消費生活アドバイザー 木戸 義明


皆様のほとんどの方が、障害年金の遡及請求が認められた場合の遡及支払が、5年間である旨の法律が存在すると思ってみえます。しかし、そのような法律は存在しません。あるのは、公的年金の時効期間が5年間である旨の規定のみです。従って、支分権に対する継続5年間の権利不行使自体が存在しない、全く実態に合わない、不合理な遡及5年間運用は、法律の解釈を誤った、国の違法な行為なのです。

そして、皆様は、この時効消滅とされた期間にも、負ってしまった障害により、苦しみ続けてこられたのです。この障害は、容易に取り去ることはできません。この点、皆様は、受給権のある全期間について、障害年金の支給として、報われて「当然」なのです。

私は、この障害者の命綱ともいえる重大な権利について、最も遵法精神を発揮すべき国が、長年に亘って公然と違法行為を続けていることを絶対に許せず、この点の法改正、又は運用改正を目指して、既に8年間以上、活動を継続しています。

私の実践活動の主なものは、審査請求(旧法の異議申立て)、訴訟、関係機関等への働きかけ、及び執筆活動です。直接結果の出る活動として、前2者について少し詳しく述べます。

私は、主として、行政不服審査法に基づく審査請求(平成28年4月1日の改正施行前の厚生労働大臣に対する異議申立て)をしています。なぜなら、事前の費用がほとんどかからないからです。そして、改正施行後は、当該業務に関係しない比較的中立的な立場の職員が、審理員に選任され、進捗管理をするように改善されました。また、従来は、不服申立て側の一方的主張のみで終わることがほとんどでしたが、改正後は、弁明書の提出が義務化され、弁明書に対して反論書が出せるので、裁判と類似した形に近づき、議論ができる体制に変わっているので、今のところベストの方法といえます。

次に力を入れているのが、裁判です。裁判では、私は、弁護士ではないので、直接訴訟の代理人となることはできず、成年後見人の本人訴訟、並びに保佐人、又は補助人として代理権付与を受けての本人訴訟(成年後見以外では、家裁によっては、訴訟の代理権は弁護士に限るとしているので、代理権付与されない場合には、本人訴訟の同意と本人訴訟支援)、及び社労士の資格による補佐人として、受任弁護士とともに主張・立証していく活動をしています。

過日、私が補佐人を務める遺族年金の消滅時効に係る裁判において、今年の5月12日(木)の福岡高裁判決において、今までほとんどの下級裁判所で示されていなかった判断が示されました。これは重大な意味を持つものです。

「控訴人は、障害年金の例を出して、裁定については裁量的判断が含まれると主張するが、基本権の発生要件として被保険者の死亡という明確な事実を要件とする遺族年金と、様々な症状のある障害の存在を要件とする障害年金とを同列に論じることは相当ではなく、失当である」との部分です。

これを反対解釈すれば、遺族年金は別として、様々な症状のある障害の存在を要件とする障害年金においては、少なくとも、その症状によっては、支分権の消滅時効は消滅していない〔裁量的判断によって処分できるので、裁定前には、支分権は発生(時効進行)していない〕と述べているに等しいのです。

これは、従来、国、及びほとんどの下級裁判所が、主張・説示してきた内容、「裁定は、受給権者が請求した内容を相違ないものかどうか公権的に確認する単なる確認行為である」との内容と、正反対のものです。今までの下級裁判所では、この旨の判断は、どこの裁判所も示していなかったことです。

この裁判官の判断によれば、障害年金に係る私の主張・考え方は認められたことになります。私の最も力を入れているのは障害年金であり、皆様は、障害年金に係る方たちです。私は、老齢年金については、裁定請求さえすれば、100% 現実に支給される実態、保険事故の存在、及び発生時期の客観性、並びに国の失権防止の努力に鑑み、現在の国の運用も仕方ないものと認めているのですから、基本的に、障害年金について私の論理を認めていただければ、ほとんど目的を達成できることになります。

今後、私が健康である限り、節目節目で実践活動報告をさせていただきます。

(みんなねっとでは、毎月第2木曜日と第4木曜日にメールマガジンを発行しています。私も過日定期購読の登録をしたばかりですが、7月14日版、48巻において、私が、みんなねっと本誌で、昨年8月号から11月号まで連載記事を載せていること、及びアドレス等を紹介していただきました。この紹介とブログのアップとは2日間のずれはありましたが、今後も、節目節目で、このような活動報告をさせていただきますので、ご活用くださいませ。)

posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:18| Comment(0) | 1 障害年金
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