2016年07月09日

K.I様事件 名古屋地裁第1回期日

今週の6日(水)10:35 障害年金支分権消滅時効の問題について、結果、本人訴訟をすることとなった事件の初回期日であった。「結果」というのは、予定では、年金問題の訴訟は私に代理権付与してもらう予定であったのだからである。

これが、家裁の調査官と書記官の勘違い等によって、認められなかったのである。
訴額は、1,399,700円 と、類似の裁判で、私が係る事件では、一番小額であるが、この方K.I様の現状を考えると、この請求の実現も極力早くしないと、障害年金の遡及請求で得た資金も直ぐに底を突いてしまう。

この方の場合、ほかにも刑事、民事(離婚に伴う損害賠償等)両面で、弁護士に代理委任を予定していたのであるが、家裁には、未支給年金の請求である行政訴訟も、これと同様に行うものと勘違いされたのである。

この方の場合、請求期間としては、丁度1年分しかないのだが、子の加算もあり、通常の基本額と比べると、倍近くの金額となっている。

私が、この事件を受任するきっかけとなったのは、親しくしている障害年金を専門としている社労士からの相談であった。苦労して、認定日請求を得たのに、名古屋市は、年金の遡及請求を得たのだからと、生活保護費の返還を求めてきたという。この取扱いは、全国まちまちで、「今後の分でいいよ」という行政機関から、他の行政区に転居してからでも徹底的に追及してくる行政機関まで、幾通りかのパターンがあるという。

この方は、20年間もの婚姻期間があるのに、慰謝料も財産分与もなしで、元夫の作成した離婚協議書に署名押印させられている。遡及分の障害年金についても、約1/3は、子供を使った方法で、元夫に取られてしまったという。

当面の生活保護費の返還については、障害年金の請求時期が生活保護の申請時期よりも早かった(前であった:詰り、この時に既に使用又は処分可能な財産があったとみなされる)ので、返還阻止は無理だろうと前置きして、着手金なしで本人名での支援を約した。

その他については、このまま進めば、経済的破綻は目に見えていたので、この方には支援者が必要と判断し、成年後見制度の説明をしたところ、私を候補者として進めることで決断されたものである。

主治医の先生の判断では、保佐相当とのことであったので、未支給年金の請求訴訟については、冒頭の代理権付与申請となったものである。

結果、本人訴訟に切り替えて、私は、形式的には、同意書を裁判所に提出したに過ぎないが、当日は、資料と概略の流れを説明し、困ったときのサインを決めた。指1本は認める。2本は聞き直す。3本は認めない、又は不都合である。補佐人といえども、原告席の隣には座れないので、傍聴席の一番近いところからのサインである。

このように厳格な裁判所ではあるが、意外な一面もあった。私と原告本人との関係を慮って、書類の送達場所を私のところにしても良いとの提案があったのである。これは助かる。たぶん、50頁前後の第1準備書面と、100頁前後の書証が提出されてくるので、大助かりである。

読者の方々には、もうお分かりと思うが、私が収支度外視でこのような訴訟をしている一つの目的は、国に運用改正なり法改正を決断させることにある。

幸い、名古屋市には、成年後見制度利用促進事業というものがあり、専門職に対する申請手続き費用及び報酬を市がほぼ全額補助してくれる制度がある。従って、この方は、この訴訟については、国に収める手数料(収入印紙代)12,000円と予納郵券8,000円弱で訴訟を提起でき、勝訴の場合の成果報酬も家庭裁判所が決めてくれるので依頼者としては安心である。

この利用促進事業は、行政により区々であり、名古屋市の場合、市町村民税非課税世帯であれば利用できるが、例えば、豊田市では、財政が豊かであるにも拘らず、今のところ、生活保護世帯か市長申立ての場合にしか利用できず、ほとんど、機能していないという。

利用可能性のある関係者には、遠慮なく私への具体的相談をお勧めする。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:58| Comment(0) | 1 障害年金
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