2016年04月30日

一事不再理について

本日は、一事不再理に関するあれこれを実例に挙げて述べる。これにより何を言いたいかというと、何事についても疑問を持って、とことん考えることが大事だということをお伝えしたい。そもそも、私が社労士になったのも、このようなブログを250本も続けることになったのも、私にその姿勢があったから起こったことである。

人は幼少期には、何に対しても疑問を持ち、「なんでなんで」と身近な者に次から次へと質問をぶつける。一つの疑問は、更なる疑問を呼び、際限がない。そしてその頃の脳は大発展を遂げる。しかし、残念なことに、この姿勢は、ある一定年齢に達すると、脳も楽をしようとするのか、次第に衰え、この好奇心は徐々に減退してしまう。

幸い私は、少し変人であるので、未だ、何か変だということに対しては人一倍の鋭い臭覚を持っている。ところが、一事不再理ということに関しては、安易に考えており、理解不足であったことを最近知った。

元々、一事不再理については、刑事訴訟法上の考え方と民事訴訟法上の考え方とは、考え方の根本を異にするのであるが、私は後者においても原則的な考え方 に重きを置き過ぎていたようである。

S.H様の障害厚生年金事後重症裁定請求事件について、再審査請求の公開審理の当日の午前中に電話を受け、その時からこの事件を受任したことは既に紹介済みであるが、結果、続編が発生してしまった。

この方の事件については、審査会が私との約束を破って、平成26年3月31日に障害基礎年金の2級の裁定を下してしまい、これは、形式上は容認処分であるが、実質は棄却の処分であったので、申立人には勿論不服があり、私は審査会に対し、どのような対応策があるのかを尋ねた。

審査会は、これは不服申立制度の最終審であるので、これに対しては裁判しかないという。そこで形式上の容認処分に対する裁判という余り例のない裁判を私が支援して行ったのだが、三者の合意で取り寄せたカルテの情報に、原告と看護師との会話があり、その内容が、「今回の入院が糖尿病の初体験である」というような原告の発言があった。ここを被告に指摘され、裁判所もこれを認めたので、裁判は負けてしまった。原告は疲れ切ってしまい、ここで諦めてしまったので、この裁判は確定してしまった。

ここからが本日の本題であるが、行政と司法(裁判)は別物であるので、裁判で確定してしまった事件についても、行政では一事不再理にはならない。

具体的にきっかけを話すと、昨年10月からの初診日の取扱いの変更である。これは、 初診日の証明ができないがためのみで、障害年金を受給できない人たちを救済する目的で、従来20歳前障害の場合についてのみ認められていた第三者証明(原則 複数)の制度を一般の場合にも認めるというものである。

そこでS.H様と話をして、この制度を利用して再挑戦することにした。ところが当初から難関が予想された。それはこの事件が事後重症請求であったことである。当然、再挑戦も事後重症請求となるのだが、事後重症請求は65才以降にはできない制度になっているのである。

案の定、年金事務所でも2週間程度をかけて検討してくれたが、同じ答えが返ってきた。 そこで私は、普通に考えればその通りだが、審査会が約束を破り独断で処分をしてしまったという事務処理誤りをしている。この運用改正の文書には、勿論事後重症はダメだとは書かれていない。しかし、本件は本人がたまたま65歳を越えてしまった。この点を考慮していただきたいとお願いした。そこで担当者は上司と相談し次のような回答をしてきた。

前回の処分に対して審査請求がなかったというのである。つまり、前回の処分は 審査会の裁決に基づき行われたものであるが、これは審査会の裁決とは別物で、あくまで行政庁(厚労大臣)の処分であるから、それに対しては審査請求ができたというのである。考えてみればその道理はもっともである。そうすると、私は、一事不再理について早合点をしていたことになる。

ところが本件については、はいそうですか、といって引き下がることはできない。そうであるならば、審査会は2回も間違を起こしていたことになる。再度述べれば、私との約束違反で一言の断りも無く裁決をしてしまったこと、及び審査会の裁決には、裁判以外に対処策が無い旨回答したことである。従って、本件が事後重症であったがために本人に不利になっては理不尽である。

この事件については、平成10年10月9日が初診日であったのかなかったのかだけが争点に絞られてきており、今回の運用改正の目的も、初診日を確定できない者の救済であるので、上申書でもどんな形でも良いので特別の検討をお願いしたい旨再度申し入れをした。

現在、年金事務所等において検討中であるが、未だ回答はない。

世間では一事不再理を早合点して、中途半端な結論に甘んじている事件が多くあるものと推測し警告させていただいた。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 09:26| Comment(0) | 1 障害年金
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