2016年03月19日

神戸の裁判への期待

私が障害年金(例外として、遺族年金の事件も一件受任)支分権消滅時効に係る法解釈誤りを問題にしている事件について、私は弁護士ではないので、これがベストの手段であるとの検討結果に基づき、不服申立制度を基本として請求手続を進めている。

これについては、来る平成28年4月から、行政不服審査法が改正施行され、事務の進行上、及び公平性・公明性上期待の大きいものがある。

私がこの事件について裁判を始めたのは、平成22年3月31日提訴の法定代理人成年後見人の本人訴訟として、私の妻の事件が最初であり、この事件については、平成24年4月20日の名古屋高裁の逆転判決で、従来の判断になかった画期的な判断が下された経緯がある。平成26年5月19日付で、最高裁第二小法廷の判断により確定し、 既に3年7カ月分の年金と約8年弱分の遅延損害金を受領している。

この時の国の主張が余りに身勝手で、矛盾だらけであったので、これは法改正又は運用改正を要すると、私の諸活動が始まったのである。

それでも、受任事件について、いきなり裁判というのは種々の面でなじまないので、当初は試行錯誤をした時代もあり、日本年金機構理事長や厚生労働大臣に対する請求から始めた。不服申立て期間内の事件については、年金決定通知書の教示に基づき、この方法なら敵も受付けざるを得ないだろうと、審査官への審査請求、及び審査会への再審査請求の請求手続をしていた。しかし、いずれも事件そのものに対する位置付けを誤ったり、違法な根拠を正当な解釈と位置付けた理由付けによる棄却又は却下をされてきた。このこと自体も同じ内容の事件において、審議され、誤った理由により棄却されている事件もあるのだから、おかしな話だが、本日はこのことが主題ではないので割愛する。

研究の結果、行政手続における請求方法は、不服申立の一般法である行政不服審査法に基づく異議申立てをするのが正当な手段であることを突き止めたのだが、国は未だ、その認識がない。 従って、国はこの問題に対して、教示をしてこなかったので、通常の不服申立期間を経過しても、問題の支分権の時効が完成していない限り、この手続きに基づく請求ができることになってしまう。

裁判の話に戻るが、私の場合、既述の不服申立手続を終えた場合に、初めて裁判を検討する(私の頭の中には、受任当初からその人その人に合ったベストの選択肢はある)のだが、障害年金の受給権者は、一般的には稼得能力を失ったり減退させている方なので、当然経済的弱者が多い。従って、私やご両親、子供、兄弟姉妹等が本人訴訟支援の体制で対処するのが当初の対応であった。

この場合も、本人は障害者であるので、裁判長の言われることを理解できなかったり、本人が入院してしまったり、裁判所に出向いただけで血圧が上がってしまったりで、アクシデントが続き十分な対応ができなかった。途中から受任弁護士に代理人になってもらったりして、法廷闘争を続けてきた。

この場合は、受任弁護士が基本的な主張はしてくれるので、平成27年4月1日の改正社労士法の施行日以降は、私は社会保険法の専門家として、実務経験上からの意見を述べれば役割は果たせるという利点はあるが、限られた短い期間内での受任弁護士との意見調整には苦労した。

ところが、この神戸の事件は、訴状は勿論、準備書面の提出から書証の選択まで、私の信念に基づいて対処できるのである。勿論、本人は判断能力や行為能力はないとしても、意思能力はあるので、本人との意見調整は十分に行うのであるが、微調整を要するのは、実際には、本人の経験や環境・経歴の部分のみで、基本的な主張部分に相違はある筈もない。

偶然のことだが、この神戸の事件のご本人は、私の事件の全資料の謄写を申請し、約5万円を費やしこれを入手してくれた(変に思われる方もみえるので、弁解すれば、私の資料は、事情により、最高裁での意見書を書いてくれた弁護士の所属事務所に保管中である)。この資料の中には、私の事件で、控訴審において初めて提出した 愛知県社会保険労務士会 三河中支部の研修会資料があり、翻ってみれば、そこで私は、 この事件に関する核心部分について質問をしているのである。

そして運が良いことにその時の講師が、正義感に満ち、大胆さも兼ね備えた相談室長であったのだ。この方は、上部機関である当時の東海北陸厚生局に照会し、ご本人は、自衛隊員における最高裁判例まで調べられ、上部機関の見解が、意に沿うものでなかったので、「もし、このような事件を受任された先生方がおみえでしたら、是非、最高裁まで争い勝訴してください」、とおっしゃったのである。 そうでもしないと変わらない保険者の体質を見抜き公言されたのである。

もしかすると、名古屋高裁は、この資料を見て真剣に検討したのかもしれない。保険者内部の現場第一線の責任者ですら、原告と同じ考え方をしているのだから、ここで裁判所が本領を発揮しないでどうするのだ、と自身を鼓舞したのかもしれない。

いくら、裁判官の独立が保障されているからといっても、従来と全く違った市民寄りの判断を下すのには、余程の根拠と確信がなければできないことである。

勿論、今週3月16日(水)に第3回期日を終えた神戸の事件では、この書証も追加して、裁判官にも分かり易く主張しているので、この事件については、特に、裁判所の良識を期待している。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 19:24| Comment(0) | 1 障害年金
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