現在、3月10日(木)に14:30から15:30まで予定されている消滅時効問題に係る控訴審に向けた補佐人としての控訴理由書を鋭意作成中である。私は、この事件を除けば、障害年金の事件しか受けていない。この事件については、遺族年金の事案であるが事情をお聞きして、これは「救われるべきである」と考えて受任したものである。
一時間もの長時間予定していただけた裁判所は初めてであり、地域性か、この裁判所特有の配慮か、それとも事件の重要性を考えていただけたのかは分からない。しかし、有り難いことである。
受任弁護士の控訴理由書は、既に、1月4日(月)の提出期限に提出しているが、私は、その主張の補充として、少し違った視点から控訴理由補充書として主張していく。彼控訴人は、素直に認諾することはないものと予想され、色々なことをいってくるので、受任弁護士の、「書類提出は準備書面でも良い」旨の発言に対して、私は、理由書としても精一杯の主張をしておきたい旨をお願いして、ご指導いただいている。
はっきり言って、彼控訴人の主張も原審の考え方も、法律的解釈としては無茶苦茶である。この私の案については、既に、親しくしている同業者には読んでいただき感想をもらっているが、「木戸さんの言う通りでめちゃめちゃな論理を相手にしているように思えますが、そもそも弁護士も裁判官も障害年金の仕組みについて理解が足らないのもあるかもしれないですね」(原文そのまま)、「最終的には良い方向で落ち着くと思う」旨の意見をいただいている。
私は、異議申立ては勿論のこと、補佐人としての受任も、成年後見人としての本人訴訟も受けており、今後は、保佐人、及び補助人からも本人訴訟の依頼を受任する体制を整えている。本日は、私がどんな具体的主張をしているのか、その一部と概要を紹介する。
以下が、今回の書面の冒頭部分である。全文は、15頁を越えるものであるので、項目だけを記したが、彼控訴人が如何に不合理な主張をしているのかは、想像いただけるのではないかと思っている。
平成27年(行



控訴人




被控訴人 国
控訴理由補充書
平成28年1月11日



控訴人補佐人 木戸 義明 印
本件の受任弁護士による控訴理由書第1から第6については,補佐人も基本的に同じ考え方である。以下,これを前提に補充主張をする。
原審判決を誤った判断に導いた主因は,年金法の解釈誤りにある。そこで,補佐人は,労働社会保険諸法令に基づく手続等について,唯一有償による受任が独占業務として許された社会保険の専門家・実務家としての視点から,社会保険法及びその実務上の知見を述べる。
なお,原審判決は,重要な争点についても,争点としての認識もない内に判決が出されている事実に鑑み,本論に入る前に本案の争点について整理する。
本案の争点
1 本件支分権は,裁定前に時効消滅しているのかいないのか
(1) 本件支分権は,裁定前に発生しているのかいないのか
(2) 発生しているとした場合,裁定前に時効が進行するのかしないのか
(3) 本件支分権の正しい支払期月は,厚年法第36条3項の原則規定の適用か,ただし書規定の適用か
(4) 本件について,基本権に対する権利不行使を,支分権に対する権利不行使とみなせる特段の事情があるのかないのか
(5) 本件について,会計法第31条1項の「時効の援用を要せず」との規定が,機能するのかしないのか
2 裁定前には,支分権を行使できないことを認めながら,なおかつ,裁定前でも支分権の時効が進行するとする主張が,論理矛盾であるのかないのか
3 本件について,消滅時効させるために,時効の援用が必要かどうか
4 昭和45年9月10日付内簡に,法律的効力があるのかないのか
5 本案について,老齢年金と他の年金とに差異がないといえるのかいえないのか
本案は,法律自体の解釈の問題が非常に大きなウエイトを占める事件であるので,以上の点で,徹底的な議論を要する。
第1 社労士から見た事案の核心
被控訴人の「基本権と支分権の権利の発生時期を混同した主張」及びこれを容認した原審の判決は,本来,支分権について問題とすべき事柄を基本権に対する権利不行使に置き換えた主張であるので,推論の途中の一つが成立しなくても結論(時効の消滅)に導くことができない危ういものである。
それとは反対に,控訴人の主張は,重要な視点が多数あり,その内の一つが成立しても消滅時効は完成しない(権利は存在している)という関係にあるが,一応は,ここに挙げた全部について,今現在においても本件支分権が存在していることを証明する。
1 原審判決には基本権と支分権の権利の混同があること
2 本件の支払期月は厚年法第36条3項ただし書であること
3 被控訴人の支給制限の根拠は内簡のみであること
4 裁定請求時には遺族年金の支分権は発生していないこと
5 本件では支分権は会計法の規定で自動消滅しないこと
6 彼控訴人の行為は国会答弁に反していること
7 原審の判決の論理的矛盾について
第2 予備的主張について
第3 結語
この問題については、本来、単純な問題であるのだが、国が複雑な屁理屈を付けているので、一般の方には分かりにくくなっている。多くの受任弁護士もその屁理屈を裁判官に分からせるまでの論破ができていない(裁判所がとんでもない判決理由を出しているものもある)現状であり、特別の事情のある事件以外では、私の事件を除き全敗である。
要は、支分権については、継続5年間の権利不行使は、無いのだから時効消滅する訳がないのである。
結果、時効理由で、一部にでも不支給のある方は、私に遠慮なく相談していただきたい。
世の中色々で、親が不労所得を嫌い、圧力を受けておみえの方もみえれば、偏見・差別を避けるため秘密の方を優先される方もみえる。従って、このような国による違法を知っていて、請求するかしないかは個々人の自由である。しかし、ほとんどの方が、この事実自体を知らないのだからこれは、大きな問題である。
「はっきり言って、彼控訴人の主張も原審の考え方も、法律的解釈としては無茶苦茶である。」との見解を述べておられます。
原審の裁判官がこの「滅茶苦茶」な裁判を繰り返しているのでしょうか。
或いは、他の裁判であっても、同様な裁判で似たような滅茶苦茶な判旨が繰り返されているのでしょうか。
このような民法の消滅時効の法理と異なる独断的な裁判を意図して繰り返す裁判官には、憲法制定の基本原則の一である「法の支配」に反する恥さらし行為を行っているのであり、憲法76条第3項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。 」とする規定を「法律の番人」であるはずの裁判官自身が無視しする違憲の行為を繰り返しているのであるから、これを「自覚させ」「罷免され」る措置をとる必要があります。
残念ながら、このような場合の国民の「直接的」な対応策はありません。
しかしながら、「間接的」に、憲法第78条では「裁判官は、…、公の弾劾によらなければ罷免されない。…。」とし、裁判官弾劾法が定められ、その第2条1号において「職務上の義務に著しく違反し、又は …。」たときは弾劾により裁判官を罷免するものとされ、対応の法途が広く国民に開かれています。
裁判官といえども、司法の独立といっても、軽挙で勝手気ままな行動を、憲法は許していないのです。
弾劾裁判の執行体制・事務局として国会内に常設の「裁判官訴追委員会」が設けられており、国民の誰もが、裁判官の官職、氏名及び罷免の事由を記載した書面により理由を記して訴追状の提出をして罷免の訴追をすべき旨の「訴追の請求」を行うことができるようになっています(同法第15条)。
裁判官訴追委員会においては「最高裁判所に直ちに通知する」ものとされ、衆参各7名の議員を裁判官とする「裁判官弾劾裁判所」により裁判にかけられることにります。
ただし、訴追期間は「弾劾による罷免の事由があつた後3年を経過したときはできない」との制限があるので、注意が必要です。
従いまして、国民はいつどんな違法な裁判が行われているかを知らなければ手の打ちようがありません。
(詳細は「裁判官訴追委員会」および「裁判官弾劾裁判所」の各サイトを参照してください。)
このような対応をして成功に導くには、訴追の原因となる裁判の中で、消滅時効に関する法理と裁判官の判断がどのように異なって違憲・違法な裁判が展開されているかを弾劾裁判官(国会議員は法律の専門家とは限らない)に分かりやすく、提訴・控訴理由を微細にわたって示しておく対応が欠かせないことはいうまでもありません。