2015年12月12日
この問題は誰が一番の専門家なのか !?
最近、私の事件( 平成24年4月20日判決の 未支給年金支給請求控訴事件)の最高裁における不受理決定を知った横浜市のお客様が、 大きな法律事務所を訪ね、 同様事件について勝訴見込みを相談していた。 2週間ほど調査をした結論は、「木戸様の判決は、特殊な判決であり、各種事情を考慮してこの事例に限り判断を出したのだろう」とのことであった。慎重に調査をして、お二人で対応をしてくれたとのことであるが、私に言わせると、この結論は外れであり、応対の内容についても、当たっている面もあるし、外れている面もある。
以下に、相談内容の概要を述べる。
国民年金法も改正され、かつ、学者の見解も、時効遡及は難しいとの主張が多数であり、名古屋高裁の判例はある意味死んだ判例(その事例のみに限定したという意味)と考えた方がいい。訴訟になっても勝訴できる見込みはかなり薄いであろう。
可能であれば、一度木戸様や名古屋高裁を担当された弁護士に話を聞いてはどうか。そして、どうしても継続したいのであれば、それでも受任できないではないが、費用が結構かかるので、木戸様と集団で動けばどうか。また、社会保険に精通している弁護士は全国でも数人であろう。
法律事務の専門家である弁護士の先生に、ここまで言われると、私は、単純に考えていたが、この問題は複雑な問題なのかもしれない。私は、第一審の後半からは、国の法解釈誤りという一般論に主位的主張を変えており、そして、名古屋高裁も、それを主位的判決理由としているのであるが、その面は、少しも公になっていないことになる。そして、訴訟でも勝ち目は薄いと回答しているのだから、これは、判例や文献の調査と、国の主張の検討が足らないと言わざるを得ない。
この判決と国民年金法の改正は、直接には関係しない。これは支分権の消滅時効の規定が国民年金法に直接規定されただけの問題であり、問題の本質とは全く関係しない。そして学者の見解も昨年5月号のジュリストの東北大学S.D准教授の見解を読めばよく分かるが、事実誤認が多過ぎる。そして、平成24年4月20日の名古屋高裁判決は、唯一の最高裁判例(平成7年11月7日 本村年金訴訟上告審判例)の考え方に合致した真理を捕らえた名判決なのであるが、多くの有識者でさえ、それが分かっていない。
後半のアドバイスは概ね当たっているが、私は、こんな当たり前の主張に対して多額の費用がかかることは、障害年金受給者の実情を考え許せなく思っている。従って、 訴訟までしなくても、異議申立ての段階で解決させるべきだと思っているし、訴訟の場合でも、私は必要最小限の費用に抑える工夫をしている。
この工夫の一つが先週紹介した保佐、又は補助相当の場合の「代理権付与申請」である。これにより、私が法定代理人になれば、法定代理人として本人訴訟ができることになり、着手金も不要だし、成果報酬も後見事務報告に基づき、事後(成果報酬を受領後)に、額も支払い時期も家庭裁判所が決めてくれる。
集団で動くことについては悪くはないが、事件の解決までの時間については、こちらの方が長くなってしまうと懸念される。そして、これは私か受任弁護士の先生に話を聞いてみないと誰にも分からないことだが、名古屋高裁担当弁護士は、期日延期願を出してくれただけで、何一つ主張していない。 1回の期日で終わってしまい、判決文には受任弁護士事務所の各弁護士名の表示はあるが、私が成年後見人法定代理人として主張した内容で結審している。
これらを考えた場合、この問題を解決するには、社会保険及び一般法務に関する両方の知見と経験を有しないと、国の主張に対して太刀打ちできないことになる。そして、相談する人も、どこに相談して良いのかも分からないことになる。まだ、相談される方は、問題意識があるのだから道は開かれる可能性があるが、問題なのは、重要な国民の権利が侵害されていることを、ほとんどの国民が知らないことである。
私は、本当は、主管省である厚労省の関係者(一番の専門家)が、一堂に会して議論すれば簡単に解決する問題と提言しているが、保身第一の官僚はそれをしない。ここが一番の問題である。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:27| Comment(0)
| 1 障害年金
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