この問題について、個別事情は別として、一般論として、主位的判決理由を述べ勝訴しているのは、今のところ、平成24年4月20日判決の名古屋高裁判決しかない。この裁判を、私は、「私の裁判」と呼んでいるが、その時私は、私の考え方を証明するための何の書証も持っていなかったのである。被告及び被控訴人の提出した書証を逆利用し、あとは、リーガルマインドに基づき、被告側の主張の矛盾を突いただけである。
従って、判決書では、一般論を主意的判決理由としてくれたのだが、判決理由の表現は絶対的なものではなかった。 前記の事情もあり、私が証拠を示して、一般論として、完全に証明していた訳ではないので、裁判官も判決理由には、補足の意見を加えた。 判決文の言葉を借りれば「なお、仮に、支分権の消滅時効の起算点について、被控訴人の見解を採用したとしても、次の3で説示するところによれば、本件不支給分について消滅時効が完成しているということはできない」(5頁下)というものである。
そこで国は、この言葉を楯にして、平成26年5月19日の最高裁の上告受理申立ての不受理は、 名古屋高裁の主意的判決理由を支持したものではなく、 補足の理由である「民法第158条の類推適用を認めたものである」と、未だに主張している。
しかし、現実は、最高裁から付いた被上告受理申立人の受任弁護士事務所から、2回の意見書、成年後見人としての私から、反論書及び反論書に係る補充意見書を合計4回も提出しており、不受理決定までに約2年間を要していること(酷似の上告受理申立てが、同日、約半年間で判断されている)を考えると、国の言うような勝手な解釈は成り立たない筈である。
国の主張は、論理的には、既に破綻しているので、裁判所でも徹底的に議論すれば、国が勝てる筈がないのであるが、社会保険法に詳しくない弁護士の先生の主張や裁判官の事実誤認による判断により、現実には、ほとんどの裁判で国が勝ってしまっている。
残念ながら、弁護士の先生方のほとんどが、社会保険法に詳しくないことを少し述べる。先週の 木曜日(木)、愛知県社会保険労務士会主催の社労士法改正に伴う「補佐人制度」(今年の4月1日施行)に関する研修があり、講師の西脇明典弁護士による講演があったので、その時のお話を引用させていただく。
一般的に、労働・社会保険に関して詳しい弁護士は少ない。特に後者については、 特別な顧問関係等で多くの経験を持った弁護士は別として、社会保険法に詳しい弁護士はほとんどいないとのお話であった。
勿論、講師の先生は、そこで皆様が力を発揮してほしいという結論に持っていく場面でのお話しであったが、私は、これは事実であることを今までの争いの経験の中で確認している。
たまたま、今週の水曜日(21日) 第7回 西三河自由業フォーラム(岡崎会場)があり、今年は弁護士会が 幹事役であったので、弁護士会からの参加者が一番多く私のテーブルにも3人の弁護士の先生がみえ、私は、 お3人共とお話をしたが、万能と思われている弁護士の先生でさえ、社会保険法及びその実態に詳しくないことが、この場でも確認できてしまった。
この消滅時効問題は、法律一般に関する理論だけでは勝てないのである。 それに加え、社会保険法の仕組や実態を熟知し、この両方で力を発揮しないと勝てないのである。 先の記述からも推論できることではあるが、弁護士の先生方が、社会保険法に詳しくないということは、裁判官も同様である可能性が非常に高いということである。
ここまで述べれば、私の言いたいことはお分かりいただけるものと思うが、原告側に 勝率が悪い現状の消滅時効問題についても、この両面で力のある者が、徹底的に議論すれば、 一般論においても、原告側が勝てる筈だということである。その場が、第一審であれば最高であるが、仮に最高裁になっても構わないので徹底的に議論し、国の破綻した論理を完全に崩壊させてほしい。勿論、私に成年後見人、又は補佐人として役割を付与していただければ、喜んでその役割は全うさせていただく所存である。
2015年10月24日
年金消滅時効問題 法解釈誤りという一般論での勝訴の成否について
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:35| Comment(0)
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