2015年09月26日

朗報中の朗報

本日は、私にとっても、このブログの定期訪問者である読者にとっても、この上ないほどに喜ばしい法改正情報をお知らせする。勿論、障害年金の消滅時効問題に大きく関係してくる法改正情報である。

何をそんなに喜んでいるのかというと、改正 行政不服審査法の施行が近いことである。「近い」を具体的に言えば、あと半年前後で施行されるのではないかと思っている。平成26年法律第68号としての公布が平成26年6月13日であり、公布の日から2年を超えない範囲内の政令で定める日が施行日であるので、私にとっては、これ以上のグッドタイミングは無いほどの日程で、つくずく自分の運の良さを感じる。

しかし、残念なことに、この改正法が適用になるのは、施行日以後の処分(事実行為とされている消滅時効問題を含む)に係る手続きであり、既に、継続している事件等については適用にならない。だが、私にとっては、今年4月1日の改正社会保険労務士法による「補佐人」制度の新設以上の意味を持つものである。

この改正の最大の利点は、総務省に「行政不服審査会」(以下「審査会」という)が設置されることである。しかし、この消滅時効の問題は、行政処分ではなく、事実行為とされているので、この問題が審査会で受けていただける問題であるかどうかは微妙である。法の趣旨(権利利益の救済、行政の適正な運営)、及びここでいう「処分」には、「公権力の行使に当る行為を含む」ことを考えると、受けてくれるべきと考えるが楽観はできない。しかし、仮に審査会が受けてくれなくても、審査請求段階の手続きが議論できる体制に変更されているので、法改正の意義は大きい。


現在の方法では この年金を奪還するには、最終的には、裁判によらなければ中々実現し辛い環境にあった。ところが、審査会で受けていただければ、裁判をしなくても奪還できる可能性が格段に増すのである。現在、私は 厚生労働大臣に対して全国のお客様から異議申立書を11件提出しているが、一番早い方では、既に1年が経過するのに、厚労大臣からは、要請済みの弁明書の提出もない。

担当者の話では、決済を取るだけでも2か月を要するというのだから、問題外である。問題外というのは、例えば、不作為の異議申立てをした場合、法の規定では、20日以内に何らかの行為をするか、書面により不作為の理由を示さなければならないこととなっているが、それさえ実現不可能な無責任な体制となっているからである。これは、行政不服審査法には、罰則規定が無いからであるに違ない。

問題は、所要期間の問題だけではない。現在の方法では、最初から最後まで、処分庁と審査庁が一緒であるので、例え、申立人が正当な主張をしても、支払いをしたくない厚労省が請求を容認する可能性は少ないものと思われる。改正法による審査会では、委員の人事権は、社会保険審査会委員のように厚生労働大臣ではなく、総務大臣になるのである。この事は、私たちには大きな事である。

ここで手続きの主な変更点を述べる。
改正法では、審理員(法9条)が置かれ、進捗管理が担保される。弁明書については、「審査庁が処分庁に求めることができる」との規定であったが、「審理員は、処分庁等に求めるものとする」(29条2項、旧22条)との義務規定になった。反論書の提出については変わりない(30条、旧23条)が、双方の書類を必要な所に提出する義務を課し(44条)た。詰まり、議論できる体制が敷かれたのである。そして、裁決の時期についても、審査庁は、審理員意見書が提出されたときは、遅滞なく裁決をしなければならない(44条)とした。

また、処理期間についても、標準審理期間の設置(第16条)が努力義務とされており、従来の姿勢とは、法の趣旨自体が、国民の権利利益を救済し易くする方向に随分と変わっている。正当な主張をすれば、ここで決着がつく可能性は大幅に拡大した。裁判ともなると、手数料(訴額に応じた収入印紙代金)、予納郵券(送達用の切手代)、多額となる弁護士費用(着手金、日当、成果報酬、実費等)が必要となり、一般的には、経済的弱者である障害年金の受給権者等には手がでない。特に、負けた場合にも負担する必要のある着手金が高額であることが問題である。

ところが、今後は、例えば、受給権者のお父さんでもお兄さんでも、できることになる。難しそうであれば、私に相談していただければ、ご自分でできそうかどうかのアドバイスもさせていただく。そして私は、受任する場合も、障害年金受給権者の情況を考慮した手掛け易い料金体系を設定している。

今まで私は、最終的に裁判になった場合の対応の体制も十分に用意をしてから、当初の異議申立てを受任していたが、今後は、もし、審査会で受けていただけるような体制が確立されれば、新制度の審査請求時には、この準備は、例外的なケースで済みそうである。この違いは大きく、今後は、もっと多くの方に私のスキルを利用していただけるものと確信している。

この事件は多面的な問題があり、受任弁護士と意見調整をするのにも苦労があったところだが、今後は経済的な問題だけではなく、この苦労からも少しは開放されるように感じられる。常に体制を整えておくのと、例外的なケースだけ受任弁護士を探すのとでは雲泥の差である。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:33| Comment(0) | 1 障害年金
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