2015年05月30日

不服の根本に答えていない 社会保険審査官の決定書

先週の土曜日、私が大変お世話になっている愛知県社会保険労務士会政治連盟会長の小嶌招啓(あきひろ)氏から電話をいただいた。同氏は同氏の関係者から障害年金について相談を受けられたようである。その概要は、事後重症認定の裁定(決定)書の内容に不服で、父親が代理人として社会保険審査官に審査請求したが、棄却され、再審査請求を如何にすべきかとの内容であった。

同氏は、私の尊敬する人格も高潔な優秀な社会保険労務士であるので、勿論これをご自分でやろうと思えばでき、今では息子さんも多方面で大活躍の状況である。にも拘らず、このような重要な事件の受任事務に開業3年8カ月の私を選んでくださったようで、私は、その事に驚きと大きな喜びを感じた。早速、日程調整に入ったのだが、翌週は28日(木)しか空いた日がなく、業界の事情に疎い私は、失礼にもその旨告げてしまった。ところが その日は県会も、政治連盟も総会の予定日であった。大変失礼なことを言ってしまったので、その翌日の24日(日)に相談を受けた。ご丁寧なことに小嶌会長が本人とその父親を連れてきてくださった。しかも、私が礼を呈すべきところ、逆に、素敵なお土産と金一封までいただいてしまった。

審査請求書の内容を読むと至極ごもっともな内容であるが、社会保険審査官は根本原因に 一言も触れていなかった。現実によくある話であるが、これでは審査請求人が納得する訳がない。

事案の概要は、統合失調症による認定日請求による裁定請求に対し、障害認定日と請求日の診断書が全く同じ内容の診断書であるのに拘わらず、 事後重症しか認められていないことに対する不服である。 本件では、認定日請求が認められないことにより、保険者自身が認めている、遡及 5年分の一括払いもなく、この事件については、障害厚生年金も受給できないことになっている。これは非常に大きなことで、この不当な取扱いは許せない。

社会保険審査官は非常に厳しい表現をしている省令に該当する「障害認定基準」を理由に、障害認定日にはこれに該当しないと断言している。その根拠として、主治医に対する質問書の回答内容を上げているが、その回答書にはそのような内容は書かれていない。その回答書に書かれているのは、初診日の状態と比べ安定している状態であり、 2級相当の障害を認めた障害認定日の症状と比べた評価はない。この基準の厳しい例示が適切であれば、ほとんどの既存受給権者は不該当になってしまい、この事件の本人も、請求日にも不該当になってしまいそうである。厄介なことに、社会保険審査会もこの基準を使うことを適当としている。(ここで誤解のないように付記させていただけば、この基準は、「法令」ではないので、裁判所では、これが使われるとは限らない。詰まり、裁判になれば、判断が変わるだけではなく、判断基準も変わるのである)

ここで私たちが間違ってはいけないのは、決定書の内容に引きずり込まれないことである。 問題は最初の処分を下した保険者(事務センター)がした障害認定日には不該当とした主な理由である。これは年金事務所経由で聞きだせるのだがこの父親はご存知ない。そして、今問題になっているのは、都道府県ごとの不支給割合の不均衡である。

法律上は客観的に障害状態になり、他の条件を満たした時に受給権が発生する事になっており、このような格差は一切あってはならないことになっている。私の問題にしている支分権の消滅時効についても、保険者国は、「受給権発生の翌々月の初日が支分権消滅時効の起算日となる」と主張している。これが成り立つのは法律の定めのとおり、障害年金の受給権が客観的に成立するという事実が真正なものである場合のみにいえることであるが、国も裁判所もそのことに気付いていない。

国が言うように、受給権が客観的に発生するものであれば、少なくとも、主治医と認定医は障害状態の評価・認識が一致しなければならない。少なくとも、概ね同じ評価となる筈であり、もっと言えば、私たちの評価ともニアーイコールとなるべきものである。それが同じ認定医であっても、都道府県別に約6倍もの格差が出来ていたのであるからここは厳しく追求しなければならない。

 ここまで書けばお分かりのとおり、この事案は、正しく私が先週「最近、私が気になっている点」として指摘した、2の問題「裁定請求時に、意に反し事後重症認定とされた事件が多い」であるのである。

 やっぱり、年金業務監視委員会は復活させる必要がある。


posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 14:37| Comment(0) | 1 障害年金
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