来週から、再来週にかけて、裁判にまで発展してしまった公的年金の消滅時効問題の重要な期日や判決が集中している。地元の事件では、4月22日(水)に、私が、改正社労士法に基づく補佐人として、受任弁護士と共に名古屋高裁の法廷に立つことになっているが、私の考え方が、どこまで裁判官に通じるかは未知数である。しかし、被告国からは、私と受任弁護士が議論を重ね作成した控訴理由書に対して、反論らしい反論はない。
被控訴人の反論内容は、「控訴人の主張は、原判決の判断に誤りがあるとして種々の点を指摘するが、いずれも、原審における主張の繰り返しか、独自の見解に基づいて原審の判示を論難するにすぎず、到底原判決の事実認定及びこれに基づく判断の根幹を揺るがすものではない」と主張する以外は、原告の請求額が、実務運用の計算方法と比べると9円多いと指摘するのみである。この9円の差は、400万円を超える請求額に対して、被告の実際の支払月(偶数月)に合わせた場合の端数整理の問題であり、本事案の争点ではない。訴状で主張されている争点に関し、原審判決では争点としての認識もなく、判決文には全く触れられていない旨を指摘しているのに、その点についてさえ反論がない。
この被控訴人の反論後に、私が、第一審の誤判断の前提になっている部分の事実関係について意見書で実態を陳述するので、本来は、被控訴人は、これらに対して反論して来るべきであるが、これ以上反論すると矛盾点が増すばかりで、自己に不利になるので、控訴審は1回の期日で結審する可能性もある。
現在の運用の「法解釈違反という一般論」に限っても、純粋に法解釈論でいえば、原告側が負ける筈がないのに、第一審の名古屋地裁の本人訴訟では、十分な論争をしてない状態で、結審の打診もなく終結しているのだから、裁判長の指揮権は大きなものである。そして、裁判所という司法の最先端で、政治的判断としか思われないような判決理由が示されているのだから、私の忌憚のない感想は、「目を見張るほどの科学の進歩に比べ、法曹界の改革が驚くほど遅々たるものである」というものだ。
いずれにしても、この公的年金の消滅時効の問題については、今月中に今後の取るべき道は予測できる状態になる。勿論、決着はまだまだ先のこととなるが、進むべき方向や行き着き先が見通せるということである。
私が、社労士を志したのは、この不合理な運用を法改正等でもって改善させることが一番大きな目標であったのだが、実は、今一つの目標があり、それは、「日本の産業を支える中小事業主様へのお役立ち」である。これも大きな課題であるが、開業当初は、就業規則及びその周辺社内規程の全面改正や労働トラブルの解決や予防に従事していた。
年金時効問題のような分かり難い、かつ対象者が認識し辛い問題に、開業当社からお客様が付く訳がなく、社労士業として一般的な業務で、私の企業法務の経験を活かせる業務を受けていたのである。消滅時効の問題に関する現在の多くのお客様は、新聞記事やたまたまホームページ等で出会った偶然の積み重ねから成り立っている関係なのである。数件は、弁護士の先生からの紹介もあったが、その先生は、新聞記事や月刊社労士、ホームページ・ブログ等から情報を得られているので、いずれにしても、ごく限られたチャネルからしか顧客になっていないのが現状である。重度の精神障害者が直接情報を得ることは、色々な事情で成り難いので、親や子供等を含めた支援者からのご縁もあって成り立ってきたものである。
従って、現在ご縁のあったお客様は、一面、一定以上の知識や環境に恵まれた方であるとも考えられ、実際は、この情報を必要とするほとんどの障害者の方は、情報自体を知ることもなく、裁定請求から5年を経過してしまうこととなるものと思われる。
考えれば切がなく、心配すれば切がないので、当面、私ができることは、司法に間違いのない判断を促すことであるとこれに傾注している。幸い、これが出来易い環境を社労士法の改正で整えていただいたので、私の持っているものは全部吐き出す積りでいる。
ところで、タイトルの「原点回帰」であるが、3月で開業3年半となったのだが、折よく私が目指す第二の目標に係る、タイミングの良い提案等に恵まれたのである。一つは、当市では初めて、ある事業者と当市が官民共同事業として、豊田市「くらしのべんり帳」を今年6月から市内全世帯に配布する。偶然、私の事務所にもお話があったので、「労働問題」についても、少し宣伝させていただいた。これは、A4版カラー刷り、150ページ程度のものが予定されており、3年間使われる。
そんなことをしている最中に、商工会議所から「2015アラパーのご案内」が届いた。名古屋商工会議所が事務局を引き受け、県内22商工会議所が年に一度の大商談会を開催するというのである。しかも、全て無料。
まだまだ、第一の目標に係る時間が多く、余り業容を拡げることはできない当事務所ではあるが、このエントリー用に特別企画の商品を用意したのである。言ってみれば、社労士としての手続業務をしない相談・指導業務専門の安価な顧問契約である。幸い、私は企業法務経験が豊富で、経理部所管案件以外の全ての分野での法律相談を受けてきており、企業で起り得るほとんど全ての事案について相談・指導に応じられる。端的に言えば、社労士が行う経営コンサルティングである。
勿論、宣伝をしたからと言って、直ちに顧客化に結び付くものではないが、ここでは、今までに蓄積されたリーガルマインドやTQC活動やその支援の経験、及び国との裁判で勝訴した経験が活かされ、効能面においても経済性の面においても顧客に満足いただけるサービスが提供できるものと自信を深めている。
2015年04月18日
そろそろ原点回帰時期 !?
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 17:55| Comment(0)
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