早いもので、今月末で開業3年半となる。サラリーマンとして二つの会社に目一杯勤め、本来は、今頃は、晴耕雨読の余生を送っていた筈の私が、社労士としてこれからも業容を拡大していこうとしているのだから不思議なものである。
そもそも社労士になろうという意思は、現職時代にはほとんどなかった。一時期、NTT時代のある女性の部下から、人事の面談時、この資格を取ることが目標である旨の話を聞いたことがあった。その時は、恥かしながら、私は、「そんな資格があるのか!?」程度の受け止め方しかできなかったのである。
NDSリースを退職後、偶然、平成18年5月17日に妻の障害基礎年金の裁定請求をした。そして、平成18年7月6日付で、裁定通知書を受けたのである。今思えば、随分早く結果が通知されたことになる。それだけ症状が重篤であったのかもしれない。
この通知を受けた時、遡及5年間分は一括支給されるが、それを越える4年5カ月分は、消滅時効が完成していると説明された。しかし、受給権者が権利のあることも知らなかった債権の消滅時効が、それを知ったときに既に時効消滅しているという説明には、どう考えても納得できなかった。色々考えた後、約3週間後の平成18年7月28日には、中央年金相談室に電話して、その根拠等を照会している。
この運用は、長年行われてきたことで、仮に裁判をしても勝てない旨の説明を受けたので、不満はありながら、その時は、不支給分の請求行為には及ばなかった。
ところが、平成19年7月6日に、年金時効特例法が施行されたのである。この法律施行により、私の疑問は当然であり、これに至った考え方は正しい考え方であるとの確信を持った。時を置かず、社会保険事務所に照会したり、豊田市が実施している市民法律相談で、弁護士に自分の考え方の正否を確認したりした。
この時、国の運用が間違っていることまでは分かったが、具体的請求方法までは分からなかった。しかし、一人の弁護士が、民法第158条の準用を示唆してくれたのである。勿論、アドバイスの内容は、詳しい弁護士に依頼して裁判を提起する方法である。
しかし、私は、これは裁判をするまでもなく、保険者に話をすれば分かる案件と考えたので、それからは、私自身による社会保険事務所への追及が始まった。この頃から、こんな不合理な運用は許されないとの想いが強くなり、いっそのこと、自分自身が社労士になって、この不合理な運用を変えさせる必要があると考えるようになった。
こんな経緯で社労士になったのだが、私の事件の具体的な進行については、弁護士のアドバイスのとおり、私が成年後見人に就任することから始めた。就任後も、同事務所、愛知社会保険事務局、社会保険庁、及び厚生労働省にも1年以上にわたり照会したり、説得したりした。また、社会保険審査官にも審査請求したが、理解は得られず、止むを得ず、提訴を決断した。NTT時代の法律事務所に委任して進める予定であったのだが、担当弁護士が独立開業して、その法律事務所にいなくなってしまい、担当者が替ってしまったので、検討の後、私が成年後見人法定代理人の本人訴訟で進めることにした。
裁判の結果は、名古屋地裁では私の主張が足りなくて、かつ、被告の論外な間違った主張に反論しなかったのもあり負けてしまったが、控訴審では1回の期日で、平成24年4月20日に逆転勝訴となった。これに対して、被告国は、上告受理申立てをしたが、最高裁は、平成26年5月19日付で、これを受付けない旨の判断を下した。
この裁判については、当初私には、何の武器もなく合理性とリーガルマインドだけで、被告の提出した書証を利用しての反論等、苦しい争いをしていた。しかし、議論を重ねていると、被告の主張が余りにも不合理で、矛盾だらけであるので、待てよ!?、これは、民法第158条の適用又は準用等の前に、被告の法律の解釈に根本的な間違いがあるのではないかと考えるようになった。そして、第一審の後半からは、これを主位的請求理由に替えて、そちらを重点に争ったのだが、第一審では、既述のとおり見事負けてしまった。しかし、名古屋高裁では、それを主位的判決理由として、画期的な判決を下してくれたのである。この反響は大きく、名古屋高裁の判決を知ったある社労士が、この争いに関する貴重な資料を送ってくれたのである。
従って、最高裁には、途中で依頼した弁護士事務所から意見書を2回出してもらい、私自身も先に紹介した資料に基づき、担当弁護士の了解の下、反論書及び反論書に係る補充意見書を4回も提出しているのである。最高裁が、判断するまでに約2年間を要していること、及び意見書や反論書等の内容を考え、4人の裁判官が全員一致の意見で判断したこととも考え合わせ、私の考え方の正しいことを再確認できたのである。
このような経緯があり、私の社労士としての業務も、当初は、就業規則等社内諸規程の作成・改正や、労務トラブルの解決等であったが、段々と、障害年金の裁定請求や、それに伴う不服申立て、及び件の消滅時効問題に関する異議申立て事件の方に重点が移ってきた。最近では、成年後見人に就任し、その権限で消滅時効問題を成年後見人法定代理人として争う内容まで受任しており、同問題については、既に数人の弁護士の先生と共同戦線を張って国と争っている。
国の運用も、年金財政が苦しいことを考え、政治的判断としてはあり得る考え方であるが、審査庁や裁判所が政治的判断をすることは許されず、国が法改正等を決断しなければならないのは、最早、時間の問題であると私は考えている。しかし、その時間が長ければ問題外である。
2015年03月28日
社労士開業3年半を振り返って
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 15:36| Comment(0)
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