この度、少し前に、社会保険労務士法の改正法案が、国会の各委員会の全会一致の決議で通され、3つの大きな改正点の内、一部は来月4月1日から施行される。改正点の概要は、@ 個別労働関係紛争に関する民間紛争手続において、特定社労士が単独で紛争の当事者を代理できる紛争の目的価額の上限を120万円に引き上げたこと A 従来の民事訴訟法の補佐人の制度とは別に、社労士が、労働社会保険諸法令に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である代理人とともに出頭し、陳述をすることができることとすること B 社員が一人の社労士法人の設立を可能とすること である。
注意を要するのは、@ については、全てに120万円の規制がかかっていると誤解されている場合があること、例えば、労働局でのあっせんの場合は無制限であること A については、従来の補佐人制度との違い、B については、メリットデミリットの十分な検討であろう。
当面、私に一番関係するのは、A の追加規定である。2月21日のグログには、特殊なケースとして、公的年金の消滅時効問題について、私が青年後見人法定代理人として本人訴訟をできる環境に進んでいる旨をお話ししたが、これまた何と不思議なことに、タイミングよく、社労士法の改正があり、本人訴訟支援の行い易い環境が整ってきたのである。
陳述できるということは、補佐人の立場で、陳述書を書き、法廷で陳述できることは勿論のこと、受任弁護士が作成する訴状や準備書面についても、相談・指導業務として関与できる機会が急拡大するということである。考えようによっては、私は色々幸運に恵まれ、法改正までが、まるで、私のライフワークを応援してくれているように感じる。
施行日については、@及びAが、すぐ目の前の4月1日、Bが平成28年1月1日である。この面でも、私が受任している異議申立て事件の進行状況や、訴訟にまで発展してしまった事件への関与状況をみると、改正内容も施行日も、まるで私のために改正してくださったように好都合である。
だからと言って、私は、私の事件でもそうであったように、裁判を好んでいる訳ではない。私の事件では、1年以上にわたって、保険者の各窓口を説得したり、社会保険審査官に審査請求までしている。
他の、業務としての受任事件でも、日本年金機構理事長や厚労大臣への請求をし、現在では、厚労大臣に異議申立てをしているのである。
ここで、行政が目覚め、異議申立ての段階で決着を図れば双方にメリットは大であるのだが、行政が、合理性のない屁理屈を続けるのであれば、解決は裁判以外にはない。現在のところ、最終的に主張を保証されている手段は裁判しかないのである。従って、裁判での手続きは、本案についても重要となる。
過日お客様と話をしていて分かったことだが、お客様は、障害年金は5年遡及までである旨の法律の規定があると思ってみえたのである。そのような規定は実定法にはなく、あるのは、内部通知である、昭和45年9月10日付の社会保険庁年金保険部国民年金課長外2名から、都道府県民生主管部(局)保険課(部)長外2名に宛てた内簡のみである。
これは法令ではないので、法令の規定に反するそのような通知は無効である。国は、この内簡の趣旨に合うように、恥かしくなるような屁理屈を繰り返しているが、国のこの虚構は法治国家である日本の裁判所が許す筈がないものと判断している。
勿論、政治的判断としては、内簡の運用もあり得る考え方である。しかし、法治国家の不服申立て審査機関や裁判所が政治的判断をすることは許されない。従って、国は、法改正なり運用改正をする以外に正しい措置はないのである。
2015年03月21日
社会保険労務士法の改正施行
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 16:10| Comment(0)
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