2015年03月07日

時効消滅とされた障害年金の請求の当否

 私は、標記の問題について、国の虚構を見破り、現在の運用が違法であることは比較的早期に理解できていたが、それでは、これをどのように請求すべきかについては、当初、良く分かっていなかった。従って、年金事務所と協議するなどして、日本年金機構理事長に請求したり、機構の案内に従い、厚労大臣に請求したりしてきた。しかし、この請求を認めること自体について、相当の見識者(エムズの片割れ 20130917 (火))も疑問を呈してみえる。そこまで認めると、予算上、障害認定が厳しくなると言われるのである。この議論は後日に廻すとして、私は、この請求は正しいことと確信している。

 機構からは、半年前後も経過してから、機構には本件に関する権限がない旨の回答と共に、膨大な資料が全部送り返されてきた。回答書には、厚労省とも相談していたので回答が遅れた旨の弁明はあったが、全く誠意のないものであった。それでは、本来正当な権利のある年金を請求するには、誰に請求すれば良いのかを再度文書で追及したところ、この権限は厚労大臣にある旨の回答が届いた。

 それではと、早速請求先を厚労大臣に替えて請求したところ、約3週間後に、「支分権の消滅時効の起算点は、各支払期月の翌月の初日となることから、支分権は、裁定請求前においては、時効期間の満了により順次時効消滅していくことになります。」との回答が届いた。理由を明記し、幾つかの書証も付けて請求しているのにこれについては一言も触れられていなかった。恐れ入ったことに、この回答書には、「なお、この回答は、行政処分でないことを申し添えます。」と添え書きされていた。

 この回答書は、行政処分ではないので、社会保険審査官及び社会保険審査会法(以下「官会法」という)に基づき、不服申立て(審査請求等)をすることもできない。

 これは、以前にも少し触れたが、官会法は、行政不服審査法の特別法であるので、この場合は、一般法に立ち返って、行政不服審査法に基づく異議申立てができるのである。それが正解であるとすれば、先の大臣からの回答書には、その旨の教示がなければならなかったのだが、それもなかった。

 立派な、大学の准教授でさえも、この国の虚構に騙されて、国の運用や、多くの裁判所の結果として間違った判断を支持している(ジュリスト2014 5月号102頁から105頁 東京大学労働法研究会 労働判例研究 1226)のだから、一行政担当者に全容が見えないのは仕方ないことなのかもしれない。

 しかし、これはたぶん、官僚の組織が本格的な検討を阻害しているものと推測される。関係者が一堂に集まって、忌憚のない議論をすれば、疑問点・矛盾点は幾つも出て来るので正解が探り易い。

 この方法を採らない厚労省は、私の数件以上の異議申立てに対して、未だ(早い事件は、昨年の9月3日付請求)に一言も言ってこない。異議申立ては、払いたくない厚労大臣に対してするものであるので、結果、公平性が完全には保たれない。この予防策として、私は、敢えて、弁明書の提出を求めている。本件の場合、審査庁と処分庁が一緒になるので、この弊害を少しでも除去するためである。これは、審査庁が必要と認めるときに処分庁に対して求めることが可能である旨の規定であるので、残念ながら、法律上、申立人に対する義務とはならない。

 私は、そろそろ、提出済みの異議申立てについて、不作為の異議申立てをしたく思っている。総務省の行政不服審査法の担当者によると、提出済みの異議申立てが、不作為とみなされるかどうかは、従来の審査期間に比べて異常に放置期間が長い場合だという。それでは、前例がない場合は、どのように判断したらよいかを尋ねたところ、「半年程度が目安になるのではないか」とのことであった。

 従って、一度、担当課長宛に、催促状を送り、これでも誠意ある回答がなかった場合は、不作為の意義申し立てをする。これが出されると、不作為庁は、法律上、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対する何らかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならないことになっている。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:02| Comment(0) | 1 障害年金
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