2015年01月17日

裁判というものの機微

 先週紹介したのは、東京都A区に住所を持つ、N.Fさんである。現在は、神戸に住む息子さんと同居し、東京と神戸を行ったり来たりしてみえる。今週は、私が予想したとおり、このN.Fさんに振り回される1週間であった。15日(木)には、敗訴の判決が下される可能性が高いというので、色々心配して、思い付いたことを直ぐに行動に移してしまう。そして、大事な物でも直ぐに失くしてしまう。私の送った社労士手帳は、失くしたから再送せよという。今時残っている訳がない。私に送るべき委任契約書もその控も、返信用封筒も失くしている。FAXが必需品になっているのだが、買って来たインクリブンをどこかへ置き忘れてきて、受信できないという。リボンがなくても発信はできるのではないかと送信を促しても、送りたくないものであるのかそれに沿った動きはしない。

 因みに、ご本人は統合失調症であるが、天真爛漫で、私には、ご自分が病気になる要素が考えられない。電話中、私は、段々大きな声になってきて、敢えて、お客様を叱りつけているのだが、その途中でも時々大笑いしてしまう。

 私が忙しいので頼めないと思い、神戸の居所の近くの社労士に書類を作ってもらうよう依頼したという。今までのようにちゃらんぱらんなことを書いてもいけないので依頼したとのことであるが、それが何のための書類であるのかを確認しても分からない。私が考えつく有効な書類と言えば、裁判を続ける上で、ご本人が言いたいことをある程度自由に書ける「陳述書」くらいであるので、もし、趣旨が違っていたらその内容に書き替えてもらいなさい、と言ってあるが、どのくらい意味が伝わっているのかも分からない。

 あれ以来、どうにも落ち着かないご本人と話をした結果、岡山に事務所のあるある弁護士を尋ね、受任を依頼するのがベストとの結論になった。その先生は、できれば第一審の地裁から弁論を継続したい旨の意向であったので、ご本人の弁論再開願いに加え、この先生からも同様の書類を提出していただけた。裁判所には当然委任状を提出してあるので、判決書は、この受任弁護士の所に届くことになるが、ご本人は、どうにも気になるのか、私の止めるのも聴かずに、東京地裁の書記官室に顔を出したようである。

上記の経緯であるので、判決書は見せてもらえなかったようであるが、敗訴の結果と原因の中心的なところは聴き出したようである。従って、次善の策について、何度も電話がかかってきて、色々気になる側面について、対症療法的に自分の考えたことを沢山いうのであるが、基本的に、物事を自分の都合の良いように解釈しての対処策であるので、結果、総合的見地からの最善策とは縁のないものである。私が、止めていたので、東京地裁へ行ったことも、敗訴の結論も私には伝えないでの諸提案であるので私にとっては、前提条件を確認しないところからの聴聞となる。前記を確認すると、恥ずかしそうに、そんなことは当り前だから省略したように弁解するが、底抜けに間抜けなところと、一面、鋭いところとを併せ持った方である。

 この方と電話していると、長くなるし、同じところに帰って来てしまいどうどう巡りが続くので、私は段々声が大きくなり、喉が嗄れてきて声が詰まるようになる。仕方ないので、一昨日一晩寝て考えた最善策を結論的に話したのだが、本人はその提案に満足していない。折角、好条件で受けてくださる比較的近くの弁護士が受任してくれるというのに、不満なのである。

 この最善策というのは、控訴は諦めて、現在の生活の本拠地である神戸地裁に給付請求訴訟を提起するというものである。控訴すれば、前回の1.5倍の収入印紙と予納郵券を納める必要があり、これに関連して、必要な書類等を用意し、多大な労力と時間を要することとなる。しかも、高裁では、十分な議論はできない。改めて提訴できるのとは大きな差である。

本来、厚労大臣がした処分に対してなすべきものであったが、これを間違えていたため、いずれも却下となり、結果、実質的にはやり直しができることになりそうである。

なぜ、このような一見一事不再理に似たようなことが許されるかであるが、ご本人が、再審査請求や訴訟を提起したのは、前者については、審査官の決定に対する取消であり、後者については、社会保険審査会の裁決に対する取消訴訟であったからである。詰まり、今度請求するのは、保険者国に対する給付請求であるので、形式も内容も同じものではないから、実質的なやり直しができる(勿論、休み明けに、神戸地裁に確認する)のである。

 裁判所の担当書記官も、主任のH氏もご親切な方で、N.F様の事例を例にした私の一般的な質問に対して的確に回答してくださった。N.F様がいうには、「私が、訳の分からないことをしているから見るに見かねてのご親切であろう」とのことであったが、この辺の感じ方は、健常者そのものである。

 この方N.F様は運が良い。まだ、判決書を見ていないので分からないが、岡山の事件のA.M様の事件では、残念ながら今の所救済策が私の頭の中には出て来ない。その点この方は、発想が豊かで、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで、一つが当ったのかもしれない。

 おまけに、今度は、私に成年後見人をやれというのだから、この人の発想には、ついていけないところがある。

 たった今、21:30過ぎに約束の電話をしたところ、書類作成を依頼した社労士が私のグログをファイリングしていたのを見付け、私にください、と全部もらってきたという。これも奇遇である。奇遇と言えば、この事件の東京地裁の裁判長が、私の事件の名古屋地裁の裁判長を務めたM.M裁判長であったのだから、奇遇が続き過ぎる。昨年に引き続き、今年も奇遇が幾つも重なりそうな予感がする。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 23:12| Comment(0) | 1 障害年金
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