私は、このブログで、偶然の重なりについてしばしば書いてきたが、今週のお客様についても、余り考えられないような偶然の重なりがあった。8日(月)に、千葉県我孫子市のE.S様から資料要請があり、9日(火)に同県松戸市のY.S様からの異議申立て事件の依頼である。日本広しと言えども、1日違いで、時効問題について同じ県から2件も照会されたのは初めてである。
新聞記事等、何か変わったことがあったのかとお聴きしてみたが、お二人とも、偶然、私のブログに遭遇したとのことである。
本日紹介したいのは、資料要請のE.S様の「年金支分権時効問題に対する考え方」についてである。この方は、広汎性発達障害と診断されたご子息に関し、事後重症とされた認定を覆すことから争い、5年を越える支分権についても争われるとお聴きしている。何人かの弁護士に当ったが、引き受けてくれる弁護士はいなかったとのことである。しかし、私のブログを見付ける少し前に、偶然、お眼鏡にかなった弁護士が見付かったとのことである。
経緯からもお分かりのとおり、この方は、相当の見識をお持ちで、しかも、意向に合った弁護士の先生も見付かったとのことであるので、資料要請と情報交換以外には私の出番はないのであるが、名古屋地裁の判決文を読まれたこの方の意見は、私の感じ方と非常に似ているところがあるので、本日は、これを紹介させていただく。
読者の皆様には、名古屋地裁の判決文を付けないと分かり難い内容となるが、その点は推測で補っていただくとして、順不同になるが、メールの抜粋を以下で記載させていただく。
『・裁判長の判旨を貫く論理は、「支分権が、基本権より遡及した期月に立ち上がり…だから消滅時効の対象になる云々」の論理であると思われます。これを支えるために、次の論理を展開しているものと判読できます。
(1)「公権的に確認する行為」(11頁4行目)→「確認行為に過ぎない」(11頁11行目)
…単なる行政サービスに類する確認行為は、 公権的に行われるものではないですね。奇妙な論理・論外です。
裁定は、最たる公権力の行使行為です。論理の差し替えです。 「確認行為」ならば、年金決定通知書ではなく「年金確認通知書」とすべきで 「証書」もこの段階で発行する必要性はなくなります。 行政不服審査法の適用の余地もありませんから、教示文も削除すべきです。
* かっての大民法学者が、片手間につじつま合わせの論理の展開をしたにすぎません。
(2)「順次発生しているものと”観念”することができる」(11頁14行目)
…これも奇妙な論理です。「観念」として発生する年金債権があるとすれば、 消滅の対象になるのも自由発想した観念債権であり、実体債権の有無とは無関係で論外です。
* 「時効の進行」と「消滅時効」の対象になる権利は、
表裏一体の関係にあるのを無視した法曹家にあるまじき論理展開です。 裁判の過程では、如何にしてこの恥ずかしさを執拗に炙り出すことが出来るかにかかっているかにあるのではないでしょうか。
(3)「裁定を受けさえすれば、直ちに支分権を行使することができる」(11頁下から10行目)、 「受給権者が裁定請求をしさえすれば」(11頁下から3行目) …この論旨の対象としている権利は、年金債権ではなく、「裁定請求権」です。
(4)法人税の徴収権の消滅時効…本件と事案を異にする」(12頁10〜13行目)
…訴訟の種は異なっても、消滅時効に関しては類似事案です。 なぜなら、税務官署の決定通知書が裁定であり、この決定までの間にはいつでも申告できるからです。
* 時効の法理は、異なる法規によって規定されても、基本は不変です。
・ また、国・裁判所の展開する論理を、具体的に当てはめてみると、言い逃れようのない不合理さが浮き彫りになります。例えば、「時効の中断」を図示するなどで可視化して、障害認定日の直後にはめ込んでみる。その後に、裁定請求が来て、更に裁定通知がくる…といったもの。矛盾が、一目瞭然となって、裁判官も奇妙な論理展開をすると(恥ずかしくて)逃げられなくなるのではないでしょうか。証拠に図を提出してはならないということは無いでしょうから…。
また、貴重なアドバイスを有り難く、心強く思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
さて、岳さやか東北大学准教授の記事は読んでおります。時効の問題には、あまりお詳しくないように思われます。しかしながら、東京大学労働法研究会に所属しておりますので、労働法研究の中枢にアピールする良いチャンスだと思い、近いうちに私の私見をお送りし、実際の窓口で行われている「裁定請求者」のあしらい方の実態をご理解していただき、また、時効の法理としてハズしてはならないのは、「年金債権の成立と消滅時効は対になっている」こと、そして、時効の進行に対する防御手段として「時効の中断」や「停止」があることなど基本的なポイントが押さえられていないことなどを遠回しに、アピールする予定でおります。
行政訴訟は、行政が直接の相手ですが、更に手強い相手が裁判官です。裁判官も人の子、厄介な判決は、なるべく当たり障りのない逃げ道があれば、逃げの論理を展開したくなると思います(だから、弁護士もいやがるものと思っています)。逃げ切れないスキのない様な論理を丁寧に展開しようと思います。暫く時間がかかりますが、結果は、必ずご連絡します。
昨年の8月から、認定請求の手続きを進め、今年の9月に、障害等級1級の決定通知を受けて、支給が始まりました。
しかしながら、当初は、書類が整っていないので、請求用紙を交付できないとされ、次には、生来の障害であるにもかかわらず、「事後重症」と訂正を強要され、遡及の道を断とうとした裁定でした。そして、「消滅時効は”障害認定日”である。」 との説明がありました。とにかく、理不尽な対応ばかりがあり、今後のためにも、何とかしなければと考えました。現在、審査請求中ですが、却下は明らかであると推察しております。しっかりと、腰を据えて対応していく必要があると考えていまして、このメガネに叶う弁護士様が見つかりました。これから始まる行政訴訟は、裁判官が逃げられない訴訟を展開して行くという視点で、準備万端で臨みます。医学書も可能な限り集めたところです。判決文や判決理由も詳細に検討したいと思っておりますので、ご送付方、よろしくお願い申しあげます。』
2014年12月13日
裁判官を説得する裁判!?
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 21:46| Comment(0)
| 1 障害年金
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