本日15:00から約1時間半、朝日新聞名古屋本社報道センターの記者からの取材を受けた。今どき私への取材といえば、公的年金消滅時効問題に限られるのであるが、なんで今!?という疑問は残る。一昨日の事前のアポでは、昨年9月の同社の記事「私の視点」をお読みいただき、私のグログもお読みいただいているとのことであった。
この件に関しては、同社でニュースとして取扱っていないこと、及び最高裁の判断が出されているのに、同社は報道しておらず、他社を含めても大きく報道しているところがないことが取材のきっかけであったようだ。この記者は、名古屋高等裁判者の記者クラブに所属してみえるとのことであるので、裁判の経緯からすると一番適切な方からの申出であった。
最高裁の判断が出た本年5月19日の直後には、厚生労働省内記者クラブ所属の共同通信社の記者からも電話があり、当面は事実だけを小さめに報道し、厚生労働省から今後の方針が出されたときに大きく報道したい旨お聞きしていた。
しかし、同省は、この事件に対する最高裁の判断は、個別問題に対する判断であると自己に都合の良いように解釈して、運用改正等の方針を示していない。
私は、既に、この事件の第一審の後半からは、国の法解釈誤りという一般論を主位的請求に変えて争っており、かつ、名古屋高裁もこれに対して主位的に位置付け判決理由を書いてくれている。
この問題に関しては、国のご都合主義に辟易しているが、このような態度を採り続けられるのも最早時間の問題となっている。今の内から、しっかりとした対策を検討され、道理の通る合理的運用をされるよう期待する。
以下に、本日の取材の概要を記したので、参考にしていただきたい。色々な質問を受けたが、今一つ腹に落ちていないところがおありのようで、時間の関係もあり、再度の訪問をされるとのことであった。
1 最高裁判決の論旨
★ 国の上告受理申立ては、理由がないので不受理決定。4人の裁判官全員一致の意見。
2 当訴訟の中での争点
★ 民法第158条1項は、現実に成年被後見人になっていない場合も、心神喪失の常況にあれば適用になる のか、ならないのか。
支分権の消滅時効は、裁定前でも進行するのかしないのか。
本案支分権は、基本権発生の翌月に発生しているのか、していないのか。
発生しているとした場合、いつが消滅時効の起算点となるのか。
裁定を受けていないことは、時効進行上の法律上の障碍か、事実上の障碍か。
本案裁定請求の遅れは、避けようと思えば、避けられるものかどうか。
基本権と支分権は独立した権利であるので、基本権に対する権利不行使は、支分権に対する権利不行使に
接続(消費者法にいう抗弁権の接続と同じ意味の接続)されるのか、されないのか。
本案の支払期月は、国年法第18条(厚年法第33条)3項か、同項ただし書きか。
障害年金支分権は、停止条件付き債権なのか、そうでないのか。
会計法が適用されると、時効の援用を要しないという規定があるので、自動的に権利が消滅してしまうの か、消滅しないのか。
3 時効にかかる障害者がどれほどいるか
★ ? 分からないが、障害年金専門で行っている社労士の言だと、社労士には難しい案件が来るので、概ね 7割は、認定日請求で、そのほとんどが5年以上経過しているとのこと。
これについては、厚生労働省発表の統計資料をお渡しして、遡及請求の割合等を厚労省に照会し、概数
は、推定可能である旨お伝えした。
4 社保庁の時効に対する従来の考え方と判決後の見解
★ 裁定前でも、国年法第18条3項の原則的な支払期月の翌日起算日で、それぞれその日から5年経過で消 滅時効が完成する。平成19年7月5日以前の受給権発生については、会計法が適用され、国は、放棄もで きないし、援用も要しないので、支分権は時効の完成により自動的に消滅する。
判決後も同じ。なお、厚生労働省の主管課主管係の見解も同じ。
5 基準の見直しの動きと有無
★ 表に出ている動きはなし。
以上
2014年11月01日
朝日新聞社からの取材
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 18:52| Comment(0)
| 1 障害年金
この記事へのコメント
コメントを書く