2014年08月30日

月刊 社労士の効用

 全国社会保険労務士連合会が発行する雑誌に「月刊 社労士」がある。A4版100頁くらいの毎月15日発行の機関誌である。機関誌といっても、業界外に方にも、関係行政機関の方や弁護士の先生等にもちょくちょく読まれているようである。私は、社労士業を開業し、この2年11カ月の間にこの機関誌の恩恵を4度受けている。

 この4回の効用は大きなものばかりで、ベースになる部分で自信と確信を深めることができた。初回は、このブログでも主テーマになっている、年金時効問題の支分権の消滅時効の起算日に関する会員投稿記事200904月号の「― 実例!社会保険の再審査請求 ― 寡婦年金を不支給とした処分を取消し 社会保険審査会の公開審理を迅速に救済」(6頁物)である。これは、直接起算日について書かれたものではないが、考え方の基となっている部分で関係してきた。名古屋高裁の判決後、大阪会のI.F先生から紹介され、この先生からお送りいただいた資料が必要カ所の全部ではなかったので、早速、県会の担当者にお願いして、関係部分をFAX受信した。こんなに素晴らしい記事が載っている機関誌であれば、他の記事も見てみようという気持ちと、これは、将来も使える資料だと判断し、連合会からバックナンバーを2冊取り寄せた。

 この記事の内容、主に、国年法第16条の解釈の部分が私が代理人を努めた名古屋の事件の国の法解釈誤りという一般論に係る根幹部分と深い関係があり、これを熟読した私は、これは最高裁でも勝てると確信した。たぶん、これがなければ、不安でゆったりした心境で仕事や日常生活を送ることができなかったのではないかと、紹介者とこの記事に今でも感謝している。しかも、この記事の内容は、著名判例本村年金訴訟上告審判例(H071107)の考え方と一致していたのである。この頃の機関誌名は、「月刊 社会保険労務士」と言っており、B5版であった。しかし、会員投稿記事については、現在のように文字制限(2,000文字程度!?)がなく、詳細に書かれていたので私は幸運であった。

 2回目の恩恵は、一昨年9月号に私自身の投稿記事(写真入り2頁物)が掲載されたことだ。新規登録した入会時に、T.K会長から投稿を勧められた縁もあるが、名古屋高裁のほぼ完全勝訴後のタイミングと重なった。これは、ずいぶん多くの方にお読みいただき、過日岡山から相談にみえたM.S様(先週0823(土)紹介)も、依頼先弁護士にこの記事を見せてもらったと言ってみえた。

 3回目の恩恵は、今年7月号掲載の「社労士業務のポイント 行政不服審査法と社労士の事務代理業務」の記事だ。たった1頁の記事だが、この記事により、私は改めて、行政不服審査法を研究することができた。現在私が受任している未支給年金請求事件についても、行政の積極的姿勢が無くても、官会法による審査請求等を却下されても、この不服申立ての一般法に立ち戻り合理的に手続きが可能で、入り口論で余計な論争をしなくても良いことが発見できたのである。しかも、これには、弁明書が出される可能性もあり、それについて反論書の提出もできるので、社会保険審査官に対する審査請求よりも格段に公平性が確保できる。

 最後の4回目は、今月号の「社労士業務のポイント 社会保険料の削減ができる?」の記事である。この記事によると、「誇大広告と目されるものを含み数万件に及ぶ広告が検索される」とのことで、「…誤った指導は許されない」と書かれている。これについては、私が縁を持ったある有名な先生は、10種類くらいの小冊子を作成してみえるが、その中にこの問題をテーマにして顧問先獲得の手段としていたものがあった。私は是々非々で考え、これをいただいた当時から反対の考え方を持っていた。なぜか、これを実施することにより、その企業の直後の経費は削減できるが、実施後は、随時の反対給付は削減することになり、将来の年金受給額は削減することになるから長期的に見れば、従業員にとってもその企業にとっても益にならないからである。同じ考え方が、更に詳しく記載されており、意を強くした。

 人間最後は、自分一人である。周りの人を見ていても思うことであるが、幾ら偉い方でも、仮に尊敬する方でも、支援してくれる方でも、その方に頼り切ってはいけないと思う。自身で分別できる力を付けることが重要である。その意味で、そのための資料を与えてくれた月刊 社労士には深く感謝する。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 13:02| Comment(0) | 11 所感
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